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不登校の定義とは?文部科学省の基準「年間30日」を解説

不登校

「最近、子どもが学校を休みがち…これって不登校なのかな?」 「何日休んだら不登校って言われるんだろう?」

お子さんが学校に行きたがらない様子を見ると、保護者として心配になり、このような疑問や不安を感じるのは当然のことです。

まずは「不登校」という言葉が何を指すのか、その正確な定義を知ることで、現状を客観的に把握し、落ち着いて次のステップを考えることができます。

この記事では、文部科学省が定める不登校の公式な定義や、基準となる「年間30日」という日数について、そして不登校になる背景や理由まで、分かりやすく解説します。

お子さんの状況を理解し、今後の対応を考えるための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

文部科学省による不登校の定義

まず、国がどのように「不登校」を定義しているのかを見ていきましょう。現在、学校現場や行政で用いられているのは、文部科学省が示した定義です。

定義の全文とその分かりやすい解説

文部科学省は、不登校を以下のように定義しています。

「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」 (参考:文部科学省「不登校の現状に関する認識」)

少し難しく感じるかもしれませんが、ポイントは以下の3つです。

  1. 理由: 心理的、身体的、社会的な要因など、さまざまな背景がある。
  2. 日数: 年間で合計30日以上欠席している。
  3. 除外: 明確な「病気」や「経済的な理由」での欠席は含まない。

つまり、「本人の怠けやわがまま」ではなく、何らかの困難な事情によって「行きたくても行けない」状態が続き、その結果として年間の欠席日数が30日以上になった場合を「不登校」としています。これは、統計調査上の定義であり、支援の必要性を判断するための一つの目安です。

心理的・情緒的・身体的・社会的要因

定義にある「要因」とは、具体的にどのようなものでしょうか。これらは一つに特定できるものではなく、多くの場合、複数の要因が複雑に絡み合っています。

  • 心理的・情緒的要因】
    漠然とした不安感、無気力、友人関係の悩み、先生との関係など、本人の心に関わる問題です。

  • 身体的要因
    朝になると頭痛や腹痛がするなど、身体的な症状が現れるものの、病院で検査しても特に異常が見つからない「心因性」の症状などが含まれます。

  • 社会的要因
    家庭環境の変化(転居、両親の不和など)や、学校のシステムや雰囲気に馴染めないといった、本人を取り巻く環境に関する問題です。

登校しない、またはしたくともできない状況

この表現は、不登校が単なる「登校の拒否」ではないことを示しています。

「登校しない」という言葉には、本人の意思が介在しているように見えますが、その背景には複雑な心理があります。一方で「したくともできない」という表現は、本人は学校へ行くべきだと分かっている、あるいは行きたい気持ちがあるにもかかわらず、心や身体が言うことを聞かずに行動に移せない、という葛藤状態を表しています。

不登校は、本人の甘えや怠けではなく、エネルギーが枯渇して動けなくなっている状態なのだと理解することが重要です。

不登校の背景には、発達特性やグレーゾーンといった「目に見えにくい困難」が関係している場合もあります。詳しくは、以下の記事で親が取るべき対応や相談先を紹介しています。

基準となる欠席日数「年間30日」

不登校の定義で最も気になるのが「年間30日」という具体的な日数ではないでしょうか。この数字の数え方や意味について、詳しく見ていきましょう。

「年間30日」のカウント方法

ここでいう「年間」とは、4月1日から翌年3月31日までの学校年度を指します。この1年間で、欠席した日数の合計が30日に達した場合、文部科学省の調査上「不登校児童生徒」としてカウントされます。

重要なのは、これはあくまで国が全国の状況を把握するための統計上の定義であるということです。「29日なら大丈夫」「30日になったら問題」というような、白黒をはっきりさせるための線引きではありません。

連続した欠席である必要はない

「30日」と聞くと、1ヶ月間まるまる休むことをイメージするかもしれません。しかし、不登校の定義では連続した欠席である必要はありません。

例えば、週に2〜3日休む「五月雨(さみだれ)登校」や、月に数日ずつ休む「飛び石登校」のように、断続的な欠席であっても、年間の合計日数が30日以上になれば定義に該当します。

お子さんが休みがちになっている場合、連続していなくても欠席日数を記録しておくと、状況を客観的に把握しやすくなります。

なぜ「30日」が基準なのか

「なぜキリの良い数字ではなく、30日なのですか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。

この「30日」という日数に、絶対的な医学的・教育的根拠があるわけではありません。これは、文部科学省が長年にわたり調査を行う上での統計的な区切りとして用いられてきた数字です。

一つの考え方として、1ヶ月の登校日数は約20日なので、30日の欠席は1ヶ月半近く学校に行っていない計算になります。これだけ長く休むと、学習の遅れや友人関係の希薄化など、学校復帰へのハードルがより高くなる可能性が指摘されています。

しかし、最も大切なのは日数そのものではありません。たとえ欠席が数日であっても、お子さんが学校に行くことに強い苦痛を感じているのであれば、それは支援が必要なサインと捉えるべきです。

不登校の定義から除外される理由

不登校の定義には、「病気や経済的な理由による者を除く」という一文があります。つまり、年間30日以上休んでいても、不登校にカウントされないケースがあるということです。

病気による欠席

インフルエンザ、骨折、手術を伴う入院など、医師によって明確に診断された病気や怪我が原因で学校を休む場合は、不登校には含まれません。

ただし、先述したように、原因がはっきりしない頭痛や腹痛といった心身の不調は、不登校の「身体的要因」と見なされることがあります。この判断は、医師の診断書だけでなく、本人の状況を総合的に見て学校側が行うことが多いです。

経済的な理由による欠席

学費が払えない、制服や学用品が買えない、通学費がないなど、家庭の経済的な困窮が原因で物理的に通学できない場合も、不登校の定義からは除外されます。

現在の日本の義務教育課程(小・中学校)では、就学援助制度などもあるため、この理由で長期欠席に至るケースは非常に稀です。

その他の正当な理由

上記以外にも、以下のような学校が「やむを得ない」と認める正当な理由での欠席は、不登校の欠席日数にはカウントされません。

  • 親族の不幸による忌引き
  • 自然災害(台風、大雪など)による通学困難
  • 感染症の流行に伴う出席停止(例:新型コロナウイルスやインフルエンザでの学級閉鎖など)

不登校になる主な理由と原因

文部科学省の調査によると、不登校のきっかけや理由は多岐にわたります。子どもたちが学校へ行けなくなる背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

(参考:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」)

無気力・不安など本人に係る状況

調査で最も多くの割合を占めるのが、「無気力・不安」です。特定のいじめやトラブルがあったわけではなく、漠然と「学校へ行く気力がわかない」「なんとなく不安」と感じるケースです。

いじめを除く友人関係をめぐる問題

「いじめ」も大きな要因ですが、それとは別に「友だちと些細なことでケンカした」「グループに馴染めない」「仲間はずれにされるのが怖い」といった、日常的な友人関係の悩みも不登校のきっかけになり得ます。

学業の不振

「授業についていけない」「勉強が分からなくて面白くない」「テストの成績が悪い」といった、学習面でのつまずきが自信を失わせ、学校から足が遠のく原因になることもあります。

親子関係や家庭内の不和

子どもにとって家庭は最も安心できる場所であるべきですが、親子関係の悩みや夫婦間の不和、過度な期待などが、子どもにとって大きなストレスとなり、学校へ向かうエネルギーを奪ってしまうことがあります。

重要なのは、これらの原因は一つだけとは限らないということです。多くの場合、いくつかの要因が複雑に絡み合って、子どもの「行きたくない」「行けない」という気持ちにつながっています。
より詳しい原因の種類や、保護者が取るべき対応については、こちらの記事で解説しています。

「登校拒否」と「不登校」の違い

以前は「登校拒否」という言葉がよく使われていましたが、現在では「不登校」という言葉が一般的です。この2つの言葉には、どのような違いがあるのでしょうか。

「登校拒否」から「不登校」への変遷

かつて、学校へ行かない・行けない子どもたちは「登校拒否」と呼ばれていました。この「拒否」という言葉には、本人の意思で反抗的に学校を拒んでいる、というネガティブなニュアンスが含まれがちでした。

そのため、保護者や子ども自身が「わがまま」「怠けている」と責められたり、自分を責めてしまったりする一因にもなっていました。

「不登校」は状態を示す中立的な用語

このような状況を踏まえ、1990年代後半から文部科学省は「不登校」という用語を公式に用いるようになりました。

「不登校」は、良い・悪いという価値判断を含まず、単に「学校に登校していない(できていない)」という状態を示す中立的な言葉です。この言葉の変更には、子どもを問題行動として捉えるのではなく、何らかの困難を抱え、支援を必要としている存在として理解しよう、という社会の意識の変化が反映されています。

不登校の定義に関するQ&A

ここでは、保護者の方からよく寄せられる不登校の定義に関する疑問について、Q&A形式でお答えします。

保健室登校は欠席扱いになるか?

教室には行けないけれど、保健室や相談室など、校内の別の場所で過ごす「保健室登校(別室登校)」は、原則として「欠席」にはなりません。

ただし、これを「出席」として扱うかどうかは、最終的に校長先生の判断によります。多くの学校では、子どもの状況に合わせて柔軟に対応し、出席扱いとすることが多いです。

遅刻や早退は日数に含まれるか?

不登校の定義である「年間30日の欠席」には、遅刻や早退の日数は含まれません。 あくまで「1日単位の欠席」がカウントの対象です。

しかし、遅刻や早退が頻繁に続く場合は、子どもが学校生活に何らかの困難を感じているサインかもしれません。不登校の前兆となることもあるため、注意深く見守ることが大切です。

不登校になりそうなサインについては、こちらもご覧ください。

フリースクール通いは出席扱いになるか?

民間のフリースクールや教育支援センターなどに通っている場合、一定の要件を満たし、在籍している学校の校長が認めれば「出席扱い」にすることが可能です。

要件には、保護者と学校が十分に連携していることや、その施設での活動が適切であることなどが含まれます。この制度により、子どもが学校以外の場所で学び、社会とつながる機会が保障されやすくなっています。

出席扱いの条件や認定の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

不登校の相談ができる場所

「うちの子は不登校の定義に当てはまるかもしれない…」そう感じたら、一人で抱え込まずに、専門家や支援機関に相談することが大切です。早めに相談することで、適切なサポートにつながりやすくなります。

  • 学校内の相談窓口
    まずは、担任の先生や学年主任、養護教諭(保健室の先生)など、身近な存在に相談してみましょう。学校によっては、専門のスクールカウンセラースクールソーシャルワーカーが配置されている場合もあります。

  • 教育支援センター(適応指導教室)
    各市区町村の教育委員会が設置している公的な支援機関です。学習支援やカウンセリング、集団活動などを通して、学校生活への復帰や社会的自立をサポートしてくれます。

  • 児童相談所や地域の相談窓口
    教育だけでなく、福祉の視点からも相談に乗ってくれる機関です。児童相談所や、自治体が設けている「子ども家庭支援センター」などで相談できます。

  • 民間のフリースクールや支援団体
    公的な機関以外にも、NPO法人などが運営する多様なフリースクールや親の会、カウンセリングルームなどがあります。子どもに合った居場所や学びの場が見つかるかもしれません。


弊社が運営する 学研WILL学園 では、不登校や発達特性を持つお子さんに合わせた個別サポートを行っています。お気軽にご相談ください。

まとめ

この記事では、文部科学省が定める不登校の定義について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。

  • 不登校の定義は「病気や経済的理由以外で、年間30日以上欠席している状態」を指す。
  • 欠席日数は連続していなくても、1年間の合計でカウントされる。
  • 「30日」は統計上の目安であり、日数にとらわれず、お子さんが苦しんでいるサインを見逃さないことが大切。
  • 不登校の原因は「無気力・不安」「友人関係」など様々で、複数の要因が複雑に絡み合っていることが多い。
  • 一人で悩まず、学校や地域の相談窓口、専門機関に相談することが、解決への第一歩となる。

不登校の定義を知ることは、お子さんの状況を客観的に理解するためのスタートラインです。しかし、最も大切なのは、数字や定義に縛られることではありません。

なぜ学校に行きづらいのか、お子さんの心の内にある声に耳を傾け、安心して休める環境を整えてあげることが何よりも重要です。そして、保護者の方自身も一人で抱え込まず、ぜひ信頼できる誰かに相談してみてください。

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