「うちの子が学校に行きたがらない…」 「中学生の子どもが不登校になってしまったら、親としてどうすればいいの?」
ある日突然、お子さんが学校に行けなくなると、保護者の方は大きな不安と焦りを感じ、ご自身を責めてしまうかもしれません。しかし、不登校は決して特別なことではなく、誰にでも起こりうることです。
文部科学省の調査によると、令和4年度の小・中学校における長期欠席者(不登校)の数は299,048人にのぼり、過去最多を更新しています。特に中学生の不登校生徒数は163,442人で、これは中学生全体の5.0%、つまり20人に1人が不登校の状態にあることを示しています。(出典:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」)
この記事では、不登校のお子さんを持つ保護者の方が、今何をすべきか、そしてこれからどう歩んでいけばよいのかを具体的に解説します。一人で抱え込まず、この記事を道しるべとして、お子さんと一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
中学生の不登校、親が最初にすべき対応

お子さんが不登校になったとき、保護者の方が最初にとるべき対応は、その後の親子関係や子どもの心の回復に大きく影響します。焦る気持ちを抑え、まずは以下の4つのポイントを意識してください。
まずは子どもの心と体を休ませる
学校に行けないということは、お子さんの心と体がエネルギー切れを起こしているサインです。今は無理に動かそうとせず、まずは安心して休息できる環境を整えることが最優先です。
「学校に行かなくても、この家は安全な場所だ」とお子さんが感じられるように、静かに見守ってあげましょう。十分な休息は、次のステップに進むためのエネルギーを蓄えるために不可欠な時間です。
無理に理由を聞き出さない・問い詰めない
「どうして学校に行けないの?」と原因を問い詰めたくなる気持ちはよく分かります。しかし、不登校の理由は一つではなかったり、本人も言葉にできなかったりすることがほとんどです。
無理に理由を聞き出すことは、お子さんをさらに追い詰めてしまう可能性があります。まずは「学校に行きたくないんだね」と、お子さんの気持ちをそのまま受け止めてあげてください。親が自分の気持ちを理解してくれていると感じるだけで、お子さんの心は少し軽くなります。
親がやってはいけないNG行動
良かれと思ってやったことが、逆にお子さんを傷つけてしまうこともあります。特にお子さんが不登校になり始めた時期には、以下の行動は避けるようにしましょう。
学校との連携方法と伝える内容
お子さんが学校を休む際は、必ず保護者から学校へ連絡を入れましょう。その際、現状を正直に伝え、今後の連携について相談することが大切です。
担任の先生に伝えるべき内容は以下の通りです。
学校は敵ではなく、お子さんを支えるための大切なパートナーです。定期的に情報交換を行い、協力体制を築いていきましょう。
中学生の不登校、考えられる原因と理由

中学生が不登校になる原因は、一つひとつのお子さんによって異なり、複数の要因が複雑に絡み合っていることが少なくありません。ここでは、考えられる主な原因をいくつかご紹介します。
友人関係のトラブルやいじめ
思春期の中学生にとって、友人関係は学校生活の大きな部分を占めます。仲間外れ、無視、SNSでのトラブル、いじめなどが、学校へ向かう足を重くする直接的な原因になることがあります。子どもは親に心配をかけたくないという思いから、いじめの事実を隠すことも多いため、注意深い観察が必要です。
学業不振や勉強への不安
中学校では学習内容が急に難しくなり、授業についていけなくなることがあります。「勉強が分からない」「テストの成績が悪い」「提出物が出せない」といった学業不振が劣等感につながり、学校が苦痛な場所になってしまうケースです。
教師との関係や学校の雰囲気
特定の教師との相性が合わなかったり、高圧的な指導を受けたりすることで、学校自体に不信感や恐怖心を抱くことがあります。また、クラスや学校全体の雰囲気が自分に合わないと感じることも、不登校のきっかけになり得ます。
心身の不調や発達上の特性
【起立性調節障害】
朝起きられない、めまい、頭痛などの身体症状が現れる病気で、午前中に症状が強く出ることが多いため、「怠けている」と誤解されがちです。
【不安障害やうつ病】
強い不安感や気分の落ち込みから、学校に行く気力が湧かなくなることがあります。
【発達障害(ASD、ADHDなど)】
周囲とのコミュニケーションの取り方や感覚の違いから、集団生活にストレスを感じやすく、不登校につながることがあります。
これらの場合は、医療機関での適切な診断とサポートが必要です。
理由がわからない・本人も言えない場合
「特に理由はないけど、なんとなく行きたくない」 「自分でもどうして行けないのか分からない」
このように、不登校の明確な理由が見つからないケースは非常に多いです。これは、様々な小さなストレスが積み重なり、言葉で表現できない「行きたくない」という気持ちになっている状態です。このような場合は、無理に原因を探るのではなく、「今は行けないんだな」と現状を受け入れ、心のエネルギーが回復するのを待つことが重要です。
不登校の背景には、友人関係や学業不振だけでなく、心理的なストレスや発達特性など、さまざまな要因が関係しています。
より詳しい原因と、親ができるサポートの方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
不登校中の家庭での過ごし方と学習

学校に行かない時間をどのように過ごすかは、保護者の方にとって大きな悩みの一つです。ここでは、家庭での過ごし方のヒントをご紹介します。
生活リズムを整えるための工夫
不登校中は昼夜逆転の生活になりがちですが、完全に学校の時間割に合わせる必要はありません。まずは、以下のような小さな目標から始めてみましょう。
少しでも社会とのつながりを感じられるよう、日中に親子で散歩や買い物に出かけるのも効果的です。
家庭学習の進め方とオンライン教材
学習の遅れは、本人にとっても保護者にとっても大きな不安要素です。しかし、無理に勉強させようとすると、かえって勉強嫌いを助長してしまう可能性があります。
まずは、本人が興味を持てる分野から手をつけてみるのがおすすめです。最近では、ゲーム感覚で学べる学習アプリや、自分のペースで進められるオンライン教材が充実しています。
これらのツールを活用し、「わかる喜び」を再発見することが、学習意欲の回復につながります。
不登校中の勉強は「やる気」よりも「環境づくり」が大切です。
勉強に手がつかないとき、親はどんな声かけやサポートをすればいいのかを解説した記事もご覧ください。
ゲームやスマホとの付き合い方ルール
不登校中は、ゲームやスマホが唯一の外界とのつながりや気晴らしになっている場合も少なくありません。一方的に取り上げるのではなく、親子で話し合ってルールを決めることが大切です。
ルール作りを通して、自分で自分をコントロールする力を育む機会と捉えましょう。
具体的な対処法や専門的な支援については、以下の記事で詳しく解説しています。
子どもの興味や自己肯定感を育む活動
学校に行けないことで、お子さんは自信を失いがちです。学校や勉強以外の世界で「自分はこれでいいんだ」と思える経験を積むことが、自己肯定感の回復に繋がります。
お子さんの「好き」や「得意」を認め、応援する姿勢が、お子さんの心を元気にしていきます。
不登校の背景には、自己肯定感の低下が深く関係していることがあります。親がどんな関わり方をすればよいかを詳しく解説した記事もご覧ください。
悩みを相談できる公的機関と民間サービス

不登校の問題は、家庭だけで抱え込む必要はありません。利用できる公的機関や民間サービスは数多く存在します。積極的に外部の力を借りて、親子ともに孤立しないようにしましょう。
教育支援センター(適応指導教室)
教育委員会が設置・運営する公的な施設で、在籍する学校と連携しながら、不登校の児童生徒の学校復帰や社会的自立を支援します。学習支援やカウンセリング、体験活動などが行われ、無料で利用できる場合がほとんどです。
スクールカウンセラー・ソーシャルワーカー
多くの小・中学校に配置されている心理や福祉の専門家です。お子さん本人だけでなく、保護者の相談にも乗ってくれます。まずは担任の先生を通じて、相談の予約ができないか問い合わせてみましょう。
フリースクール・オルタナティブスクール
学校以外の「学びの場」「居場所」を提供する民間の教育施設です。子ども一人ひとりの個性やペースを尊重した教育が特徴で、同じような経験を持つ仲間と出会えることも大きなメリットです。ただし、費用は施設によって大きく異なります。
フリースクールを検討する際の一つの選択肢として、弊社が運営する「学研WILL学園」もあります。
不登校や発達に特性のあるお子さまを対象に、個別最適な学習サポートと、安心して過ごせる居場所づくりを行うスクールです。オンライン・対面の両方に対応し、お子さまのペースに合わせて利用できます。
「フリースクール」の特徴や通うメリット・デメリット、選び方のポイントは以下の記事で詳しく紹介しています。
児童相談所や地域の相談窓口
児童相談所は、18歳未満の子どもに関するあらゆる相談に応じる専門機関です。また、各市区町村には「子ども家庭支援センター」などの相談窓口が設置されています。どこに相談していいか分からない場合に、まず連絡してみると、適切な機関につないでくれることがあります。
小児科・児童精神科などの医療機関
朝起きられない、頭痛、腹痛などの身体症状が続く場合や、気分の落ち込みが激しい場合は、医療機関の受診を検討しましょう。起立性調節障害や発達障害、うつ病などが背景にある可能性も考えられます。専門家による診断と治療が、状況の改善につながることがあります。
不登校経験後の進路と将来の選択肢

「このまま不登校だと、高校に進学できないのでは…」と将来を悲観してしまう保護者の方も多いかもしれません。しかし、不登校を経験しても、その先の道は多様に開かれています。
在籍中学校への復帰と内申点
高校受験で重要になる内申点(調査書点)は、中学3年間の成績や出席状況をもとに算出されます。長期欠席は内申点に影響しますが、学校によっては保健室登校や別室登校を出席扱いとしたり、提出物やテストの成績で評価を補ったりするなどの配慮をしてくれる場合があります。まずは在籍中学校とよく相談することが重要です。
通信制高校への進学
近年、不登校経験者の進路として最も選ばれている選択肢の一つが通信制高校です。
定時制・単位制高校という選択
高等学校卒業程度認定試験の活用
「高卒認定(旧大検)」は、合格すれば高校を卒業した者と同等以上の学力があると認定される国の試験です。この資格を取得することで、大学、短大、専門学校の受験資格が得られます。中学校に在籍していなくても、自分の力で高卒資格への道を開くことができます。
不登校を経験しても、将来の道は一つではありません。
不登校からの進学・就職データや、保護者が今できるサポートをまとめた記事もぜひご覧ください。
保護者自身の心のケアとストレス対処法

お子さんのことで頭がいっぱいになり、自分のことは後回しになっていませんか?しかし、保護者の心の安定が、お子さんの安心感に直結します。保護者自身が心身ともに健康でいることが、何よりも大切です。
「自分のせい」と抱え込まない
「私の育て方が悪かったのかもしれない…」と自分を責めてしまうのは、お子さんを深く愛している証拠です。しかし、不登校は決して誰か一人のせいではありません。様々な要因が複雑に絡み合って起こる現象です。まずは「自分を責める」ことから自分を解放してあげましょう。
親の会やカウンセリングで悩みを共有する
同じ悩みを持つ保護者と話すことは、大きな心の支えになります。地域には「不登校の親の会」などが存在します。「悩んでいるのは自分だけじゃない」と知るだけで、孤独感が和らぎます。また、専門のカウンセラーに話を聞いてもらうことも、自分の気持ちを整理し、客観的なアドバイスを得るために非常に有効です。
完璧を目指さない子育てへの意識転換
「毎日学校に行くのが当たり前」「こうあるべきだ」という固定観念が、あなた自身を苦しめているのかもしれません。子どもの幸せの形は一つではありません。学校に行くことだけがすべてではない、と視野を広げてみましょう。完璧な親、完璧な子どもを目指すのではなく、今のありのままのお子さんを受け入れることが、状況を好転させる第一歩です。
まとめ
この記事では、不登校の中学生を持つ保護者の方に向けて、最初の対応から家庭での過ごし方、相談先、そして将来の選択肢までを網羅的に解説しました。
最後にお伝えしたいのは、「一人で、そして家庭だけで抱え込まないでほしい」ということです。
不登校は、お子さまからの「助けて」というサインであると同時に、これまでの親子関係や生き方を見つめ直すための貴重な機会でもあります。
焦らず、比べず、お子さまのペースを信じて寄り添うことが大切です。
とはいえ、保護者の方ご自身の負担も決して小さくありません。
学研WILL学園では、不登校や発達に特性のあるお子さま一人ひとりに合わせた学びと居場所づくりを行っています。悩んだときは、一人で悩まずにご相談ください。






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