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高校生がうつ病で学校に行けないときは?症状の特徴・受診の目安と家庭でできること

うつ病
植家雄士先生
【この記事の監修者】
植家 雄士さん
むすびメンタルクリニック院長
日本精神神経学会精神科専門医・指導医、産業医。精神科病院での副医局長・グループリーダー等を歴任し開院。不登校や発達障害など児童思春期の診療・相談から、成人のうつ病・ストレスケア・休復職支援まで幅広く注力している。

「高校生の子どもが朝になると学校へ行けなくなった」
「最近イライラすることが増え、以前とは様子が違う」
「学校を休んでいるのに、午後になると元気そうに見える」

このような変化が続くと、保護者の方は「どう接すればよいのだろう」「何か心の病気があるのでは」と心配になるかもしれません。

うつ病は大人だけに起こる病気ではなく、高校生を含む思春期にも起こることがあります。また、思春期では分かりやすい気分の落ち込みだけでなく、イライラや怒りっぽさ、疲労感、睡眠の変化、頭痛やめまいなど、心や身体のさまざまな変化として現れる場合があります。厚生労働省も、若者では大人と症状の現れ方やケア・治療方法が異なることがあるとしています。

一方で、「学校に行けない」「朝起きられない」という状態だけから、家庭でうつ病と判断することはできません。心の不調だけでなく、睡眠の問題や身体の病気、学校環境など、さまざまな要因が関係している可能性があるためです。

状態が長く続いていたり、これまでできていた日常生活が難しくなったりしている場合には、家庭だけで原因を判断せず、必要に応じて医療機関などの専門家へ相談することが大切です。

この記事では、高校生・思春期のうつ病に見られる特徴や、学校に行けない状態が続いたときに確認したいこと、家庭でできるサポートについて解説します。

高校生・思春期でもうつ病になることがある

高校生は、心身が大きく変化していく思春期にあります。

学校での人間関係や学習、進路、家庭環境などさまざまな出来事を経験する時期ですが、「特定の出来事があったからうつ病になる」と単純に説明できるものではありません。目立ったきっかけがない場合もあります。

また、本人の性格、学校環境、人間関係、心身の状態など、複数の要因が影響し合っている場合があります。

国立成育医療研究センターが2026年6月に公表した全国思春期調査では、小学5年生から高校生を含む調査対象全体について、質問票上「中等度以上の抑うつ症状」が見られた割合は、2023年13.3%、2024年14.7%、2025年11.0%でした。

ただし、これは質問票を用いて「抑うつ症状」を調べた結果であり、この割合の子どもが医療機関で「うつ病」と診断されたという意味ではありません。

症状の有無や診断については、本人の状態を総合的に確認する必要があります。

思春期のうつ病ではこんなサインが見られることもある

思春期の心の不調は、本人自身がうまく言葉にできない場合があります。

そのため、「悲しそうにしているかどうか」だけではなく、日常生活全体の変化を見ることが大切です。

気分や行動に現れる変化

うつ病では、例えば次のような変化が見られる場合があります。

  • 気分が落ち込んでいる状態が続く
  • これまで好きだったことを楽しめなくなる
  • イライラしたり怒りっぽくなったりする
  • 疲れやすく、強い倦怠感がある
  • 集中することが難しくなる
  • 自分を必要以上に責める
  • 睡眠時間や食欲が大きく変化する
  • 朝起きることが難しくなる

厚生労働省でも、若者のうつ病について、気分の落ち込みだけでなく、興味の低下、睡眠や食欲の変化、イライラ、疲れやすさ、集中力の低下などが見られることがあると説明しています。

ただし、これらの症状が一つ、あるいはいくつか見られたからといって、うつ病だと判断できるわけではありません。

症状の種類だけではなく、「どの程度続いているか」「日常生活にどの程度支障が出ているか」なども含め、必要に応じて専門家に相談することが重要です。

身体の不調として現れる場合もある

思春期では、心の不調が身体症状として現れる場合もあります。

例えば、

  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気や腹部の不快感
  • 身体のだるさ
  • 睡眠の変化

などです。

国立成育医療研究センターが2025年に公表した10~15歳を対象とする研究でも、複数の身体症状と抑うつ症状との関連が報告されています。ただし、この研究は身体症状がうつ病を引き起こす、あるいは身体症状があればうつ病であることを示すものではありません。

身体の不調にはさまざまな原因が考えられるため、「心の問題だろう」と決めつけず、必要に応じて医療機関に相談しましょう。

朝と午後で状態が違って見えることもある

「朝はつらそうで学校へ行けないのに、午後になると元気そうにしている」という様子を見ると、保護者としては戸惑うこともあるでしょう。

うつ病では、朝に調子が悪く、午後から夕方にかけて状態が改善する場合もあると厚生労働省は説明しています。

そのため、午後に元気そうにしているからといって、朝のつらさが本人の意思や自己管理だけによるものとは限りません。

反対に、朝起きられないという症状だけでうつ病と判断することもできません。睡眠・覚醒リズムの問題や起立性調節障害など、似た症状が見られる身体の不調もあります。厚生労働省も、朝起きにくい状態について、睡眠、心理的な負担、身体疾患など複数の可能性を示しています。

朝起きられない、午前中に調子が悪い、めまいや倦怠感がある場合には、起立性調節障害についても知っておくとよいでしょう。症状や家庭での接し方については、以下の記事で詳しく解説しています。

高校生の心の不調にはさまざまな背景が関係する

うつ病について考える際に注意したいのが、「何が原因なのか」を一つに絞ろうとしないことです。

思春期の心の状態には、本人の特性、学校環境、人間関係、身体の状態、家庭や生活環境など、さまざまな要因が関係している可能性があります。

学校での人間関係や環境

高校生活では、友人関係、教師との関係、クラスや部活動など、多くの人と関わります。

周囲との関係に悩んでいたり、集団生活そのものに強い負担を感じていたりする場合もあります。いじめなどの明確な問題がある場合だけでなく、本人にとって学校の雰囲気や人間関係が負担になっていることもあります。

ただし、「友人関係が悪かったからうつ病になった」と一つの出来事だけで因果関係を決めつけることはできません。

勉強や進路に関する負担

高校では中学校より学習内容が難しくなり、大学受験や就職などについて考える機会も増えていきます。

勉強についていけない、成績が思うように伸びない、志望校を決められないなど、本人が強いプレッシャーを感じている場合があります。

一方で、学習や進路の悩みがあるからといって、それだけでうつ病になるわけではありません。

本人が何を負担に感じているのかを一緒に整理していくことが大切です。

生活リズムや身体の不調

朝起きられない、昼夜が逆転している、長時間眠っているなどの状態が続くこともあります。

こうした変化を「生活態度の問題」とだけ考えるのは適切ではありません。

生活リズムそのものが影響している場合もあれば、心の不調に伴って睡眠が変化している場合、睡眠・覚醒リズムの問題や身体的な不調が関係している場合もあります。

本人を責めるのではなく、睡眠時間や体調などを確認し、強い不調が続く場合には専門家へ相談しましょう。

発達特性と学校環境とのミスマッチ

ASDやADHDなどの発達特性がある人の中には、集団生活、人間関係、感覚刺激、学習方法などについて、学校環境とのミスマッチによる負担を感じる人もいます。

こうした負担が長期間続くことで、不安や抑うつなどの二次的な心身の不調につながる場合があります。

ただし、発達特性があればうつ病になるという意味ではありません。また、本人の特性を家庭だけで判断することも避ける必要があります。

学校生活で困難が続いている場合には、「診断名をつけること」を目的とするのではなく、本人がどのような場面で困っているのかを整理し、必要に応じて専門家に相談することが大切です。

発達特性と不登校の関係や、学校生活で負担になりやすい場面について詳しく知りたい方は、年代別の対応方法もあわせて確認しておくとよいでしょう。

学校を休む状態が続いたときに確認しておきたいこと

心身の状態が悪いときには、まず本人の状態を確認し、休養や治療・支援を優先することが大切です。

同時に、欠席が長くなってきた場合には、本人を追い立てない形で学校制度について保護者が確認しておくと、その後の選択肢を考えやすくなります。

出席状況や単位・履修状況を確認する

高校では、学校や科目によって単位認定などの条件が定められています。

そのため欠席が続いている場合には、

  • 現在の出席状況
  • 単位や履修の状況
  • 課題や補講などによる対応が可能か
  • 別室で過ごす方法があるか
  • 学習負担を調整できるか

などを学校に確認するとよいでしょう。

ただし、「あと何日しか休めない」と本人に繰り返し伝えることで、それ自体がプレッシャーになる場合もあります。

本人の状態を踏まえながら、保護者と学校側で情報を整理しておくことが大切です。

高校生の場合は、欠席が続いたときの出席状況や単位、進級についても確認しておく必要があります。不登校になったばかりの時期に保護者が確認しておきたいことは、以下の記事でも詳しく解説しています。

現在の学校以外にも学びを続ける方法はある

欠席が続いたからといって、その後の学び方が一つしかなくなるわけではありません。

2024年4月からは、一定の条件のもと、不登校や病気療養中などの高校生について、全日制・定時制高校でも通信教育や遠隔授業を活用して学習を継続できる制度が拡充されています。ただし、実際に利用できる制度や対応は学校によって異なります。

現在の学校で調整するほか、

  • 転校・転籍
  • 定時制高校
  • 通信制高校
  • サポート校
  • オンライン等を活用した学習環境

などを検討できる場合もあります。

単位や進級・卒業について心配な場合は、早い段階で学校と相談し、「今の学校に戻ること」だけを唯一のゴールにせず、本人の状態に合った方法を検討していきましょう。

高校生のうつ病が疑われるときに家庭でできること

子どもが学校に行けなくなったとき、「何とかして登校させなければ」と焦ってしまうこともあるでしょう。

しかし、心身の状態が悪化している場合には、登校だけを目標にするのではなく、本人の状態を把握することが先決です。

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1.必要に応じて医療機関へ相談する

気分や行動の変化、睡眠・食欲の変化、強い倦怠感などが続き、学校生活だけでなく日常生活にも大きな支障が出ている場合には、医療機関への相談を検討しましょう。

相談先としては、

  • 児童精神科
  • 児童・思春期を診療している精神科
  • 状況に応じて小児科や心療内科

などが考えられます。

ただし、医療機関によって診療対象となる年齢や専門分野が異なるため、受診前に確認しておくと安心です。

受診することで、本人の心身の状態を医学的に評価し、その状態に応じて心理的な支援や治療などを検討できます。

治療内容は一人ひとり異なり、薬物療法がすべてのケースで行われるわけではありません。厚生労働省も、うつ病では症状や状態に応じて薬物療法やカウンセリングなどが行われるとしています。

2.本人の安全に関わるサインを軽視しない

本人の命や安全が心配される発言や行動が見られる場合には、「思春期だからそのうち落ち着くだろう」などと家庭だけで判断しないことが大切です。

このような場合は、通常の不登校や進路についての相談よりも、本人の安全確保を優先し、速やかに医療機関などの専門家へ相談してください。

3.無理に登校を迫らず、休養できる環境を整える

学校に行けない状態が続くと、出席や勉強について心配になるのは自然なことです。

しかし、心身の状態が悪いときに無理な登校を迫ることで、本人の負担がさらに大きくなる場合があります。

「明日は学校へ行けるの?」
「いつから戻れるの?」

と繰り返し確認するよりも、まずは本人の現在の状態を確認し、必要な休養を取れる環境をつくりましょう。

ただし、学校を休むこと自体がうつ病の治療になるという意味ではありません。医療的な支援が必要な場合には、休養と並行して専門家へ相談することが重要です。

4.本人が話せる範囲で話を聞く

「どうして学校に行けないの?」
「何があったの?」

と理由を聞きたくなるかもしれません。

しかし、本人自身も何がつらいのか整理できていない場合があります。

無理に理由を聞き出したり、すぐに結論を求めたりすると、それ自体が負担になることもあります。

本人が話してきたときには、すぐに解決策を提示しようとするのではなく、

「今どんなことがつらいのか」
「何に困っているのか」

を本人が話せる範囲で聞いていくことが大切です。

話したがらないときには、無理に聞き出す必要はありません。

5.学校と連携する

欠席が続いている場合には、学校とも情報を共有しましょう。

確認しておきたい内容として、

  • 出席状況
  • 単位・履修状況
  • 別室で過ごすなどの選択肢
  • 課題提出や補講等による対応
  • スクールカウンセラーへの相談
  • 学習量や提出物の調整

などがあります。

本人がどの程度学校との連絡を負担に感じているかにも配慮しながら、必要に応じて保護者が窓口となる方法も考えられます。

6.本人に合った学習環境を検討する

現在の学校環境が本人にとって大きな負担になっている場合には、学習環境そのものを調整する方法もあります。

まずは現在の学校でできる対応を相談し、それでも負担が大きい場合には、転校や転籍、定時制高校、通信制高校、サポート校などを検討することも選択肢の一つです。

毎日の通学が難しい場合には、通学日数が比較的少ない学び方や、オンラインを取り入れた環境が本人に合う場合もあります。

ただし、学校を変えることそのものがうつ病の治療になるわけではありません。

医療的な支援が必要な状態であれば医療機関等への相談を続けながら、教育面では本人にとって負担の少ない環境を検討するというように、それぞれの役割を分けて考えることが重要です。

7.保護者自身も一人で抱え込まない

子どもが学校に行けない状態が続くと、

「自分の接し方が悪かったのではないか」
「何とか自分が解決しなければ」

と保護者自身が追い詰められてしまう場合があります。

しかし、子どもの心の問題を家庭だけで判断したり、すべてを保護者だけで解決したりする必要はありません。

医療機関、学校、スクールカウンセラー、自治体などの相談機関と連携し、それぞれの専門性を活用していきましょう。

長い目で子どもを支えていくためにも、保護者自身の心身の状態を守ることが大切です。

子どもの不登校が続き、「自分もつらい」「どう支え続ければいいのかわからない」と感じている保護者の方は、ご自身の負担への向き合い方についても確認してみてください。

まとめ

高校生を含む思春期でも、うつ病などの心の不調が生じることがあります。

思春期では、分かりやすい気分の落ち込みだけではなく、イライラや疲労感、睡眠の変化、頭痛やめまいといった身体の不調などとして現れる場合もあります。

そのため、学校に行けない状態を本人の意思や自己管理だけの問題だと決めつけないことが大切です。

一方で、「学校に行けない=うつ病」と判断することもできません。身体疾患や睡眠の問題、学校環境など、別の要因が関係していることもあります。

症状が長く続いている場合や、日常生活への支障が大きくなっている場合には、家庭だけで判断せず、医療機関などの専門家に相談しましょう。

そのうえで、必要な休養を取り、学校と出席・単位・学習方法について相談しながら、本人の状態に合った学び方を考えていくことが大切です。

現在在籍している高校だけが選択肢ではありません。状況によっては通信制高校や定時制高校、サポート校などを含め、本人の負担を抑えながら学習を続けられる環境を検討することもできます。

また、保護者だけですべてを抱え込む必要もありません。医療・学校・教育支援など、それぞれの専門機関を活用していきましょう。

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なお、医療的な治療や評価が必要な場合には、医療機関等による支援と並行して利用することが大切です。

学研WILL学園では、不登校経験のあるお子さんや、学校生活・人間関係・学習面に不安を抱えるご家庭に寄り添い、今の状態に合った学び方や居場所を一緒に考えています。

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