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子どもの不登校は母親のせいじゃない!不登校の本当の理由と母親にできること

子どもの不登校は母親のせいじゃない!不登校の本当の理由と母親にできること ひきこもり

子どもの不登校が続くと「自分の育て方が悪かったのでは」と母親が自分を責めてしまいがちです。しかし、不登校には学校環境や子どもの気質、社会的要因など多様な背景があり、決して母親だけの責任ではありません。本記事では、不登校にまつわる誤解を解き、母親ができる実践的な関わり方や自身の心のケアについて解説します。子どもの成長を支えるヒントとしてお役立てください。

不登校と母親 ~よくある誤解とその背景~

不登校は、母親に原因があると考えられがちですが、実際にはさまざまな要因が重なり合って起こるもので、一概に母親だけの責任とは言えません。ここでは「母親が原因とされやすい背景」と実際の不登校の要因について見ていきましょう。

「母親が原因」と言われる社会的背景と誤解

子どもが不登校になると、周囲から「母親の育て方に問題があったのでは」「もっと厳しくすべきだった」などと、母親に原因を求める声があがることがあります。日本では育児の中心を母親が担うという固定観念が根強く、子どもの状態=母親の責任という図式が無意識のうちに受け入れられていることが背景にあるためです。しかし、不登校は子どもを取り巻く様々な要因が複雑に関わって生じるものであり、その原因を単純に「母親のせい」と結びつけるのは事実に基づかない思い込みであり、大きな誤解です。こうした偏見が、母親をさらに追い詰める要因にもなっています。

不登校の原因は家庭だけではなく様々

不登校は、ほとんどの場合いくつもの要因が重なって生じます。たとえば、学校での人間関係のストレスやいじめ、学習についていけない不安、先生との相性の悪さ、さらには子ども自身の発達特性や体調不良、生活リズムの乱れなどが挙げられます。これらは家庭の外にある問題であり、家庭だけで対応することが難しいケースも少なくありません。もちろん家庭の雰囲気や親子関係も影響を与えることはありますが、それがすべての原因ではないのです。母親の関わり方だけに注目するのではなく、子どもを取り巻く環境全体を見渡し、多角的に理解していく視点が重要です。

「母親として頑張っているのに…」という苦しさ

母親は日々、子どもが安心して過ごせるように努力し、愛情を注いでいます。それでも子どもが不登校になると、自分のやり方が悪かったのではないかと、自責の念にかられてしまう人は少なくありません。さらに周囲から「母親の育て方が悪かった」などと非難されると、孤立感や無力感はさらに深まります。「こんなに頑張っているのに、なぜ責められるのだろう」と感じるのはごく自然なことで、母親自身の心を守ることも大切です。次の章では、不登校を母親のせいにしない視点から、より正しく不登校を捉える方法を考えていきましょう。

母親のせいではない ― 不登校を理解するための視点

不登校は、母親一人の責任で起こるものではありません。家庭・学校・本人のさまざまな要因が複雑に絡み合って生じるものです。この章では、不登校をより多角的に理解するための視点を紹介し、偏った見方を見直していきます。

不登校は複数の要因が重なって起こる

不登校は単一の理由で起こることはほとんどなく、「家庭」「学校」「子ども自身」の三つの側面が複雑に絡み合って生じるものです。家庭環境や親子関係が影響することもありますが、それだけで不登校が起こるわけではなく、学校での人間関係の悩みや学習の不安、さらには本人の性格や特性、体調なども大きな要因となります。このように、さまざまな出来事やストレスが積み重なり、子どもが「学校に行けない」状態になることが多いため、不登校を理解するには、多面的な視点で背景を見つめることが欠かせません。

学校や友人関係の影響も大きい

学校での人間関係でのトラブルやいじめ、先生との相性の悪さなども、不登校の大きな要因になります。たとえば、クラスで孤立していたり、グループにうまく入れなかったりすると、登校することが心理的に負担になります。先生との関係に安心感が持てない場合や、授業についていけずに劣等感を抱えている場合も、学校に行くこと自体が苦痛になることがあります。これらの学校内での出来事は、母親がどれだけ努力しても完全にはコントロールできない領域なので、不登校の背景には、こうした「家庭の外」の問題も深く関わっていることを理解することが大切です。

子ども自身の特性や体調も関わる

子どもの持つ特性や体調面の問題も、不登校の要因になることがあります。たとえば、発達特性(ASDやADHDなど)がある子どもは、学校の集団生活そのものに大きな負担を感じてしまうことがありますし、性格的に繊細だったり緊張しやすい子は、教室の雰囲気に馴染むことが難しい場合もあります。また、慢性的な体調不良や睡眠リズムの乱れ、特に起立性調節障害(OD)も朝の登校が難しくなる大きな要因の一つです。これらはいずれも母親の育て方とは無関係に起こることが多く、「母親のせいではない」と理解することが、母親自身の安心につながります。

母親にできる関わり方を考える

不登校は母親の責任ではありません。しかし家庭での関わり方が、子どもの安心感につながることも確かです。たとえば、無理に登校を促すのではなく「今日はどんな気持ちかな?」と声をかけたり、家の中で安心して過ごせる雰囲気をつくることは大きな支えになりますし、「行けなくても、あなたを大切に思っているよ」と伝えることで、子どもは孤独から救われます。また、子どもの言葉を否定せずに受け止めたり、日常の小さな会話を大切にすることも有効です。母親にできることは特別なことではなく、日々の中の温かい関わりが子どもに安心を与え、回復への力になっていきます。

母親ができるアプローチ

不登校の子どもに対して母親ができることは、特別な技術や大きな変化ではありません。日常の中で無理なく取り入れられる関わりを積み重ねることで、子どもは少しずつ安心を取り戻していきます。ここでは、母親が実際にできるアプローチを具体的に見ていきましょう。

適切な距離をとる

子どもが不登校になると「もっと関わらなければ」と思う一方で、「何も言わずに放っておいた方がいいのでは」と迷うこともあるでしょう。しかし過干渉になりすぎると子どもは息苦しさを感じ、逆に放置されると孤独感が強まってしまいます。そこで、大切になるのはその中間である「適度な距離感」です。たとえば「今日はどんな気持ち?」と軽く声をかけ、子どもの答えを無理に引き出そうとしない接し方を試してみましょう。一緒に過ごす時間と一人の時間を尊重しながら、安心して見守っていることを伝えることが、子どもにとって心強い支えになります。

安心できる家庭環境をつくる

不登校の子どもにとって、家庭は「安心して戻れる場所」であることが何より大切です。母親がガミガミ叱ったり、焦りから強く促したりすると、子どもはさらに追い込まれてしまうので、代わりに「今日は疲れたね」や「無理しなくていいよ」と共感や受容を示す声かけを増やすことが効果的です。また、毎日の食事や挨拶といった小さなルールを守りつつ、穏やかな雰囲気を意識することが安心につながります。特別なことをしなくても「ここは安心できる」と子どもが感じられる家庭環境を整えることが、回復への第一歩になるのです。

子どもの気持ちを尊重する

子どもが不登校になってしまった時、大切なのはその理由を知ることよりも、子どもの気持ちを尊重することです。「どうして学校に行かないの?」と問い詰めるのではなく、「つらいんだね」「そう思うんだね」と共感的に受け止めることを心がけましょう。そうすることで、子どもは安心感を得ることができます。また、無理に会話を続けなくても、沈黙や涙などの感情表現を認めてあげることでも、母親の「理解しようとする姿勢」は子どもに伝わります。また、母親自身も心の余裕を大切にすることが重要です。自分の心のケアを大切にすることで、子どもにも良い影響を与えることができます。

母親がやりがちなNG対応とその背景

子どもが不登校になると、多くの母親が「早く学校に戻してあげたい」と思うあまり、つい無理に登校を促したり、「どうして行けないの?」と問い詰めてしまうことがあります。また、周囲からの視線を気にして焦り、子どもに厳しい言葉を投げかけてしまうケースも少なくありません。こうした行動の背景には、母親自身の不安や孤独感、そして「母親としてきちんとしなければ」という社会的なプレッシャーがあります。しかし、これらは母親の愛情ゆえに起きるものであり、決して「失敗」ではありません。「やってしまっても仕方ない」と共感しつつ、この章で紹介した適切な関わり方へとつなげることが大切です

母親自身のストレスとの向き合い方

子どもの不登校を支える母親は、大きな精神的負担を抱えがちです。まずは「自分も疲れている」と認識し、そのストレスにどう向き合うかを考えることが大切です。この章では、母親自身の心を守る方法について見ていきましょう。

不登校は母親に大きな負担をかける

子どもが不登校になると、母親は日々の生活のあらゆる場面で大きな負担を背負うことになります。登校しない子どもをどう過ごさせればよいのか、学校とのやり取りをどう進めるのか、周囲の人にどう説明すればよいのか…、そうした悩みは心理的なストレスとなり、孤独感や罪悪感を深めてしまう結果になる可能性もあるのです。さらに、家事や仕事、きょうだいのケアも同時に抱えている母親にとっては、心身ともに休まる時間がなくなり、疲弊してしまうことも少なくありません。この負担の大きさを、まず自分自身で認めることが回復への第一歩になります。

母親のメンタルの安定が子どもの安定にもつながる

家庭の中で母親の感情は、子どもにとても伝わりやすく、母親が少しでも不安や焦りに追われていると、その緊張感は子どもに移り、結果として家庭全体の雰囲気が重くなってしまいます。逆に、母親が少しでも安心感を持って過ごせるようになると、子どもはその穏やかな空気を感じ取り、落ち着きを取り戻しやすくなります。つまり、母親の心の安定は「子どもを安心させるための土台」でもあるのです。母親が自分の心を整えることは決して自己中心的な行為ではなく、むしろ子どもや家族を守るための大切な取り組みといえます。

ストレスを和らげる具体的な方法

ストレスを完全になくすことはできませんが、少しずつ和らげる工夫は日常に取り入れることができます。たとえば、信頼できる人に気持ちを話してみたり、気分転換できる趣味や好きなことに没頭したり、軽い運動や散歩で体を動かすなど、ほんの小さなことでも心は軽くなります。また、一人で抱え込まずにカウンセラーや支援機関に相談することも有効で、専門家に話すことで「自分だけではなかった」と気づき、気持ちが楽になることもあります。このように、母親自身が「自分をいたわる時間」を意識的に持つことが、ストレスを和らげる大切な鍵です。

一人で抱え込まないために

これまで述べてきた通り、不登校は母親ひとりで解決できるものではありません。家庭内で役割を分担したり、外部の支援を取り入れたりしながら、無理なく続けられるサポート体制を作ることが大切です。

父親・家族との協力

父親や祖父母など、家族の理解と協力は母親にとって大きな支えになります。たとえば父親が学校との連絡や先生とのやり取りを引き受けたり、祖父母が子どもの遊び相手や話し相手になるだけでも、母親の心身の負担はぐっと軽くなります。また、母親だけが頑張るのではなく「家族みんなで子どもを支えている」という空気があることは、子どもにとっても安心感につながります。母親が孤立せず、家庭がチームとして機能することが大切です。

専門機関・支援制度の活用

不登校の支援は家庭だけで抱え込まず、学校のスクールカウンセラーや地域の教育センター、児童相談所など外部の専門機関を活用することも重要です。母親にとっても、相談することで自分の気持ちを整理できたり、具体的な対応策を得られることもあります。また、学研WILL学園が実施している無料の不登校相談会なども、安心して利用できる支援のひとつです。専門的な支援を受けることは「弱さ」ではなく、母子の安全と安心を守るための前向きな選択です。

不登校をきっかけに母子関係を再構築する

不登校は母子にとってつらい出来事ですが、その時間をきっかけに親子関係を見直し、信頼を深め直すチャンスにもなります。この章では、不登校期だからこそ得られる親子の関わり方を考えていきましょう。

不登校がもたらす「親子の対話の時間」

不登校になると、子どもは家で過ごす時間が自然と増えます。最初は母親にとっても「一日中一緒にいるのは大変」と感じるかもしれませんが、この状況は親子でじっくり向き合える貴重な時間でもあります。学校生活では気づけなかった子どもの思いや悩み、ちょっとした日常の感情を聞けるチャンスが増えるためです。おしゃべりや一緒に過ごす小さな時間を大切にすることで、母子の絆がこれまで以上に深まる可能性があります。このように、不登校は単なる「つまずき」ではなく、親子の関係を再構築するきっかけと捉えることもできるのです。

共感と受容で信頼関係を深める

子どもが不安やつらさを口にしたとき、「そんなこと気にするな」と否定してしまうと、親と子の心の距離は開いてしまいます。大切なのは答えを出すことではなく、「そう思うんだね」「大変だったね」と共感して受け止めることです。子どもにとって、自分の気持ちを理解しようとしてくれる存在がそばにいることは大きな安心になります。母親が共感と受容の姿勢を持ち続けることで、子どもは「ここなら本音を言える」と感じ、信頼関係が少しずつ深まっていくのです。信頼が積み重なることで、母子関係はより強く温かいものへと変わっていきます。

母親ができる「伴走者」としてのサポート

母親がすべての問題を解決しようと背負い込む必要はありません。不登校の子どもにとって母親は「解決する人」ではなく、「寄り添い、共に歩む伴走者」としての存在が求められます。子どもが自分のペースで考えたり、一歩を踏み出したりできるように支えることが大切で、「無理に急がなくても大丈夫」「いつでも味方でいるよ」という姿勢が、子どもにとって大きな力になります。母親が伴走者としてそばにいることで、子どもは安心して自分らしい道を進めるようになり、結果的に母子の関係もより深い信頼で結ばれていきます。

子どもが不登校になったときの心構え

子どもの不登校を前に、母親は「自分のせいでは」と責めてしまいがちです。しかし、母親にしかできない支え方があります。この章では、母親だからこそ子どもに寄り添える方法を考えていきましょう。

母親の存在は「心のよりどころ」になる

子どもにとって、母親がそばにいてくれること自体が大きな安心につながります。特別な言葉や完璧な対応をしなくても、同じ空間にいて「味方がここにいる」と感じられるだけで、子どもの心は落ち着きやすくなります。たとえば、一緒にご飯を食べる、テレビを眺める、ちょっとした会話を交わすなど、何気ない日常のやり取りが子どもにとっての支えになるのです。母親が「そこにいてくれる」という存在感そのものが、子どもの心のよりどころとなり、安心して自分の気持ちを整理したり、少しずつ前を向くための力になっていきます。

母親一人で背負わなくていい

不登校の問題を母親が一人で解決する必要はありません。前の章で述べたように、父親や祖父母などの家族はもちろん、学校の先生やスクールカウンセラー、地域の相談機関など、頼れる人や制度は数多くあります。母親が孤立してすべてを抱え込んでしまうと、心身の負担はますます大きくなってしまうので、さまざまなリソースに支えられながら子どもに関わるほうが、むしろ母親にとっても子どもにとっても健全な形になります。「助けを借りてもいい」という認識を持つことが、不登校の支援を続けていく上でとても大切なのです。

母親自身の人生を大切にする

母親が自分の時間や楽しみを持つことは、決してわがままではなく、子どもにとっても良い影響を与えます。趣味や学び、友人との会話、ゆっくり休息をとることなど、日常の中で心を満たす時間を持つことが、母親自身の安心感や笑顔につながります。その穏やかな雰囲気は家庭全体に伝わり、子どもも「安心して過ごせる」と感じやすくなるでしょう。また、母親が自分の人生を大切にする姿を見せることは、子どもにとって「自分も自分を大切にしてよい」という前向きな学びとなり、母子関係の信頼をより深めることにもつながります。

母親が疲れたときにできるセルフケア

子どもの不登校に向き合う母親は、知らず知らずのうちに心身に大きな負担を抱えています。そんなときは、無理に「頑張らなきゃ」と気持ちを奮い立たせるよりも、まずは自分の疲れを認めることが大切です。セルフケアは、信頼できる友人や家族に気持ちを話す、短時間でも好きな趣味や読書、散歩などで気分を切り替える、深呼吸や軽いストレッチで体をほぐす、といった小さな工夫から始められます。また、どうしてもつらいときは専門のカウンセラーや医療機関に相談するのも有効です。「母親が元気でいること自体が、子どもに安心感を与える支えになる」と考え、自分を大切にすることを許してあげましょう。

まとめ

子どもの不登校は母親にとってつらく、心配や不安を抱える状況ですが、だからといって自分を責めてはいけません。不登校は親子関係を見直す良い機会でもあるので、まずは子どもの気持ちに寄り添いながら接するようにしましょう。そうすることで、子どもは少しずつ心を開いてくれるはずです。また、母親自身も気づきや学びを得ることができるので、家庭全体にも前向きな変化が生まれます。完璧でなくても、母親がそばにいてくれる存在そのものが、子どもにとって大きな支えとなるのです。