「最近、学校や仕事、人間関係でうまくいかないな…」 「周りの人と比べて、自分はダメだと感じてしまう…」
もしあなたがそんな風に感じているなら、その原因は「自己肯定感の低さ」にあるのかもしれません。
最近よく耳にする「自己肯定感」という言葉。なんとなく意味は知っているけれど、自分の悩みにどう関係しているのか、どうすれば高められるのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自己肯定感とは何かを誰にでもわかるように解説し、自己肯定感が低い人の特徴から、今日からできる簡単な高め方までを具体的にお伝えします。
この記事を読めば、漠然とした生きづらさの正体がわかり、自分らしく前向きな毎日を送るための第一歩を踏み出せるはずです。
自己肯定感とは?意味をわかりやすく解説

まずは、「自己肯定感」という言葉の基本的な意味から理解していきましょう。自己肯定感を正しく知ることが、自分を変えるためのスタートラインです。
ありのままの自分を受け入れる感覚
自己肯定感とは、自分の良いところも、そして少し苦手だと感じているところも含めて、「ありのままの自分を無条件に肯定し、価値ある存在だと受け入れる感覚」のことです。
何かが「できる・できない」、他人から「評価される・されない」といった条件に左右されず、ただ存在するだけで自分は素晴らしいと思える心の状態を指します。たとえ失敗したり、弱点があったりしても、そんな自分を否定せず「それも自分だ」と受け入れられる感覚が、自己肯定感の核となる部分です。
自己肯定感は心の土台・エネルギー源
自己肯定感は、しばしば「心の土台」や「生きていくためのエネルギー源」に例えられます。
家の土台がしっかりしていれば、多少の雨風や揺れにも耐えられるように、心の土台である自己肯定感が安定していると、私たちは困難な出来事に直面しても心が折れにくくなります。
新しいことに挑戦する勇気や、失敗から立ち直る力も、この自己肯定感というエネルギー源から生まれるのです。
人生の幸福度を左右する重要な要素
自己肯定感は、私たちの人生全体の幸福度に深く関わっています。
自己肯定感が高い人は、自分を信じ、前向きに行動できるため、学校生活、仕事、人間関係、家庭など、さまざまな場面で良い結果を生み出しやすくなります。
逆に自己肯定感が低いと、常に不安や劣等感を抱え、自分からチャンスを遠ざけてしまうことも少なくありません。自分を肯定できるかどうかは、日々の充実感や人生の満足度を大きく左右する、非常に重要な要素なのです。
自己肯定感の問題は子どもの登校しぶりや不登校にも影響します。家庭でのサポート方法を知りたい方は、こちらの解説もあわせてご覧ください。
【診断】自己肯定感が低い人の10の特徴

「もしかして、自分も自己肯定感が低いのかもしれない…?」と感じている方のために、自己肯定感が低い人によく見られる10の特徴をまとめました。いくつ当てはまるか、セルフチェックしてみましょう。
他人と比較して落ち込みやすい
SNSで友人の楽しそうな投稿を見たり、職場で同僚が評価されたりしたときに、自分と比較して「それに比べて自分は…」と落ち込んでしまうのは、自己肯定感が低いサインかもしれません。自分の価値を他人との比較で測ろうとする傾向があります。
自分の意見を主張できない
学校・職場・友人との会話の場で、本当は違う意見を持っていても、「これを言ったら変に思われるかも」「嫌われたくない」という不安から、自分の考えを飲み込んで周りに合わせてしまうことが多くなります。
失敗を過度に恐れて挑戦できない
「失敗したら恥ずかしい」「自分にはどうせ無理だ」と考え、新しい仕事や興味のある趣味など、挑戦すること自体を避けてしまいがちです。失敗を「自分の価値が下がる出来事」として捉えてしまうため、リスクを取ることができません。
他人の評価を気にしすぎる
自分の行動基準が「他人にどう見られるか」になっており、常に周りの顔色をうかがってしまいます。他人から認められることでしか自分の価値を感じられないため、他人のささいな言動に一喜一憂して疲弊しがちです。
「どうせ自分なんて」が口癖
何かを頼まれたり、褒められたりしたときに、無意識に「どうせ自分なんて」「私なんかじゃ力になれません」といった自己否定的な言葉が口から出てしまうのも特徴です。この口癖が、さらに自己肯定感を下げる悪循環を生み出します。
褒め言葉を素直に受け取れない
人から「すごいね!」「助かったよ、ありがとう」と褒められても、「いえいえ、そんなことないです」「運が良かっただけです」と謙遜しすぎたり、素直に受け取れなかったりします。自分にはそれほどの価値がない、と思い込んでいるためです。
完璧主義で自分を追い詰める
「100点でなければ意味がない」という完璧主義な思考に陥りやすく、少しのミスも許せずに自分を厳しく責めてしまいます。常に完璧を目指して自分を追い詰めるため、達成感を得にくく、心が休まりません。
完璧主義は、自己肯定感を低下させる大きな要因の一つです。
「完璧じゃない自分を許せない」「失敗すると自分を強く責めてしまう」という方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
家族・友人・恋愛など、身近な人間関係に依存しやすい
自分で自分を認められない心の隙間を、他者からの愛情や承認で埋めようとします。そのため、恋人や特定の友人に過度に依存し、相手の機嫌に振り回されたり、見捨てられることに強い不安を感じたりします。
過去の失敗を引きずりやすい
何年も前の失敗を昨日のことのように思い出し、「あのとき、ああしていれば…」と後悔し続ける傾向があります。過去の出来事に囚われ、なかなか前に進むことができません。
自分の長所や成功体験を認められない
テストで良い点を取ったり、何かを頑張って成果を出したりしても、「まぐれだ」「周りの人のおかげ」と捉え、自分の努力や能力の結果として認められません。自分のポジティブな側面にも目を向けられない状態です。
自己肯定感が高い人の5つの特徴

では逆に、自己肯定感が高い人にはどのような特徴があるのでしょうか。低い人の特徴と対比させながら、目指すべき姿を具体的に見ていきましょう。
自分の価値を他人の評価に委ねない
自己肯定感が高い人は、「自分は自分、他人は他人」というしっかりとした自分の軸を持っています。そのため、他人からどう思われるかではなく、自分がどうしたいかを基準に行動できます。人から褒められても驕らず、批判されても過度に落ち込むことがありません。
ポジティブな言葉で自分を語る
自分の長所や可能性を信じているため、自然と使う言葉もポジティブになります。「私ならできる」「まずはやってみよう」といった前向きな言葉で自分を励まし、行動へとつなげていきます。
失敗を学びと捉え次に活かせる
失敗を人格の否定とは捉えません。「今回はうまくいかなかったけど、良い経験になった」「この学びを次に活かそう」と、失敗を成長の糧として前向きに捉え直すことができます。このしなやかさが、次の挑戦への意欲につながります。
多様な価値観を受け入れられる
自分自身を無条件に肯定できているため、心に余裕があります。その余裕から、自分とは異なる意見や価値観を持つ他者をも尊重し、柔軟に受け入れることができます。人間関係のトラブルが少なく、良好な関係を築くのが得意です。
自分の感情や欲求に正直
自分が「今、何を感じているか(嬉しい、悲しい、怒っている)」「本当はどうしたいのか」という内なる声に耳を傾け、それを大切にできます。自分の気持ちに正直に行動するため、ストレスを溜め込みにくく、生き生きとしています。
自己肯定感が低くなる主な原因

なぜ、自己肯定感が高くなったり低くなったりするのでしょうか。それは生まれつきの性格だけでなく、これまでの環境や経験が大きく影響しています。主な原因を知ることで、「自分のせいだけじゃなかったんだ」と少し心が軽くなるかもしれません。
幼少期の家庭環境や親からの言葉
自己肯定感の土台は、主に幼少期に形成されると言われています。
このような環境では、「ありのままの自分では価値がない」という思い込みが形成されやすくなります。
幼少期の経験が大人になってからの生きづらさにつながるケースについては、アダルトチルドレンを解説したこちらの記事でも詳しく取り上げています。
過去の大きな失敗体験や挫折
受験や学校生活での失敗、大切な場面での挫折、人間関係でのつまずきといった過去の挫折体験が心の傷(トラウマ)となり、「自分は何をやってもダメな人間だ」という強固な自己否定につながることがあります。
いじめや人間関係での傷つき体験
学校や職場でのいじめ、仲間外れ、信頼していた人からの裏切りなど、他者から人格を否定されるような辛い経験は、自分の価値を信じる力を大きく損なう原因となります。
SNSによる他者との過度な比較
現代特有の原因として、SNSの普及が挙げられます。他人のキラキラした「編集済みの日常」を常に見ることで、自分の現実と無意識に比較してしまい、劣等感や無力感を抱きやすくなっています。
とても繊細で刺激に敏感な「HSC(敏感気質)」のお子さんは、人間関係での小さなつまずきでも深く傷つき、自己肯定感が低下しやすい傾向があります。
特徴や対応のポイントについては、こちらで詳しく解説しています。
自己肯定感を高める7つの簡単な方法

自己肯定感は、一度低くなったら元に戻らないものではありません。日々の少しの意識や行動で、筋肉を鍛えるように育てていくことができます。ここでは、今日からでも始められる簡単な方法を7つご紹介します。
小さな成功体験を記録する
「できた!」という感覚を積み重ねることが、自信につながります。
- 【スモールステップジャーナル】
「今日はいつもより15分早く起きられた」「後回しにしていたメールを1通返信した」など、どんなに些細なことでも構いません。手帳やスマホのメモ帳に、できたことを毎日1つでも記録してみましょう。可視化することで、自分が着実に前に進んでいることを実感できます。
ネガティブな口癖をポジティブに言い換える
言葉は思考を作ります。ネガティブな口癖に気づいたら、意識してポジティブな言葉に言い換えてみましょう。
口に出す言葉を変えるだけで、物事の捉え方が少しずつ変わっていきます。
短所を長所としてリフレーミングする
リフレーミングとは、物事を見る枠組み(フレーム)を変えて、違う視点で捉え直すことです。自分の短所だと思っている部分を、長所として言い換えてみましょう。
見方を変えれば、短所はあなたの魅力的な個性になります。
自分の好きなこと・得意なことを見つける
誰かと比べられたり、評価されたりする世界から離れて、純粋に「楽しい」「好き」と思えることに没頭する時間を作りましょう。趣味や得意なことに夢中になっている時間は、自然と自分を肯定できる貴重なひとときです。
感謝できることを3つ書き出す
寝る前に、今日あった「感謝できること」を3つ書き出す「感謝日記」も効果的です。
当たり前の中にある幸せに目を向けることで、満たされた気持ちで一日を終えることができます。
自分を大切にしてくれる人と過ごす
あなたのことを否定したり、話を聞いてくれなかったりする人とは、少し距離を置いてみましょう。そして、あなたのありのままを受け入れ、話していると元気が出るような人と過ごす時間を増やしてください。安心できる人間関係は、自己肯定感を育む上で非常に重要です。
専門家(カウンセリング)に相談する
どうしても一人で抱えきれない、辛い気持ちが続くという場合は、専門家の力を借りるのも大切な選択肢です。カウンセラーや臨床心理士は、あなたの話をじっくりと聞き、自己肯定感を高めるためのサポートをしてくれます。心の専門家に相談することは、決して特別なことではありません。
子どもの自己肯定感を育むには、日々の親の関わりが極めて重要です。
特に中学生のお子さんをお持ちの保護者向けに、「接し方7つのステップ」をまとめた記事もありますので、あわせてご覧ください。
自己肯定感と自尊心・自己効力感の違い

自己肯定感と似た言葉に、「自尊心」「自己効力感」などがあります。これらの違いを理解すると、自己肯定感への理解がさらに深まります。
自尊心(プライド)との違い
自尊心(プライド)とは、「自分は他人より優れている」といった他者との比較や、能力・実績に基づいて自分を高く評価する気持ちです。
- 【自己肯定感】
無条件の肯定(ありのままの自分でOK) - 【自尊心】
条件付きの肯定(他人に勝っているからOK)
高すぎるプライドは、時に他者を見下したり、自分の非を認められなかったりする原因にもなります。
自己効力感(やればできる感覚)との違い
自己効力感とは、ある特定の目標や課題に対して、「自分ならそれを達成できるはずだ」と信じられる感覚のことです。
- 【自己肯定感】
存在そのものへの信頼(Being) - 【自己効力感】
行動や能力への信頼(Doing)
例えば、「自分という人間は価値がある」と感じるのが自己肯定感で、「このプレゼンはうまくやれる」と信じるのが自己効力感です。自己肯定感という土台の上に、自己効力感が育まれます。
自己有用感(誰かの役に立つ感覚)との違い
自己有用感とは、「自分は誰かの役に立っている」「社会に貢献できている」と感じることで得られる肯定感です。
- 【自己肯定感】
他者の存在がなくても成り立つ - 【自己有用感】
他者への貢献が前提となる
ボランティア活動などで得られる満足感は、この自己有用感によるものです。自己肯定感を高める一つの要素にはなりますが、これに依存しすぎると「誰かの役に立たない自分には価値がない」と感じてしまう危険性もあります。
まとめ
今回は、「自己肯定感」について、その意味から低い人・高い人の特徴、そして具体的な高め方までを詳しく解説しました。
自己肯定感とは、ありのままの自分を無条件に受け入れる、人生の土台となる大切な感覚です。
もし今、あなたが自分に自信を持てず、生きづらさを感じているとしても、決して悲観する必要はありません。自己肯定感は生まれつきのものではなく、日々の習慣や考え方次第で、誰でも育てていくことができるスキルです。
この記事で紹介した7つの方法の中から、まずは「これならできそう」と思えるものを一つ、試してみてはいかがでしょうか。小さな一歩を積み重ねることで、あなたの心は少しずつ軽くなり、自分らしい輝きを取り戻していくはずです。

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