「うちの子、最近自信がなさそう…」「どうせ自分なんて、が口癖になっていて心配」
思春期という多感な時期を迎えたお子さんの様子を見て、このように感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。友達関係、勉強、部活、そしてSNS。中学生を取り巻く環境は複雑で、ささいなことで自信を失い、自己肯定感が低くなってしまうことがあります。
親として何とかしてあげたいけれど、どう接すれば良いのか分からず、悩んでしまいますよね。
この記事では、心理学的な観点も踏まえながら、自己肯定感が低い中学生のお子さんに対して親ができる具体的な接し方を7つの方法にまとめて解説します。
この記事を読めば、自己肯定感の基本から、お子さんの心を軽くする言葉かけや行動までが分かり、今日から家庭で実践できるヒントが見つかるはずです。お子さんが自分らしく、前向きな毎日を送れるよう、一緒にサポートしていきましょう。
自己肯定感とは?思春期になぜ重要なのか

まず、よく耳にする「自己肯定感」という言葉について、正しく理解することから始めましょう。なぜ思春期に自己肯定感が重要なのか、その理由もあわせて解説します。
自信と自己肯定感の根本的な違い
「自信」と「自己肯定感」は似ているようで、実は根本的に異なります。
- 【自信とは】
何か特定のことができる、達成したという経験に基づいて「自分はできる」と感じる感覚のことです。テストで良い点を取れたから自信がつく、というように条件付きのものです。 - 【自己肯定感とは】
ありのままの自分を肯定する感覚のことです。長所も短所も含めて「自分はこれでいいんだ」「自分は価値のある存在だ」と、無条件に自分を受け入れている状態を指します。
自信は状況によって揺らぎやすいですが、自己肯定感は心の土台となる部分です。この土台がしっかりしていると、たとえ失敗して自信をなくしても、「自分そのものがダメなわけじゃない」と立ち直り、再び挑戦する力が湧いてきます。
自己肯定感が低いままだと起こりうること
自己肯定感が低い状態が続くと、中学生の生活や将来にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
- 【新しいことへの挑戦を避ける】
「どうせ失敗する」という思い込みから、勉強や部活、新しい友人関係など、成長の機会を自ら手放してしまいます。 - 【他人の評価に振り回される】
自分で自分を認められないため、常に他人からの評価を気にしてしまいます。友人の顔色をうかがったり、SNSの「いいね」の数に一喜一憂したりして、心が疲れやすくなります。 - 【人間関係で悩みを抱えやすい】
「嫌われたくない」という気持ちが強すぎて、自分の意見を言えなかったり、無理に相手に合わせたりしてしまいます。その結果、対等な友人関係を築くのが難しくなることがあります。 - 【将来の選択肢を狭めてしまう】
「自分には無理だ」と決めつけ、進路や夢に対して最初から諦めてしまい、自分の可能性を狭めてしまうことにつながります。
こうした「何もしたくない」「やる気が出ない」状態が長く続く場合、単なる気分の問題ではなく、心や体の不調が隠れているケースもあります。中学生の無気力が続く場合に考えられる原因については、こちらの記事で詳しく解説しています。
中学生の自己肯定感が低くなる3つの原因

なぜ、中学生は自己肯定感が低くなりやすいのでしょうか。その背景には、思春期特有の3つの原因が考えられます。
友人関係や学業成績による周囲との比較
中学生になると、他者と自分を比較する意識が急激に高まります。友人グループの中での立ち位置、部活動でのレギュラー争い、テストの順位など、常に誰かと比べられる環境に身を置くことになります。
その中で「自分はあの子より劣っている」と感じる経験が続くと、徐々に自信を失い、自己肯定感が低下していくのです。
SNSによる他者評価への過剰な依存
スマートフォンが身近になった現代の中学生にとって、SNSは重要なコミュニケーションツールです。しかし、投稿への「いいね」の数やフォロワー数、コメントの内容など、数字で評価される世界に過剰に依存してしまう危険性もはらんでいます。
友人たちの「キラキラした投稿」を見て自分と比較し、落ち込んだり、思うような反応が得られずに「自分は認められていない」と感じたりすることが、自己肯定感を傷つける一因となります。
家庭環境や親からの過度な期待
保護者としては良かれと思ってかけた言葉が、意図せず子どもの自己肯定感を下げてしまうことがあります。
こうした関わりは、子どもに「ありのままの自分ではダメなんだ」「良い結果を出さないと認めてもらえないんだ」というメッセージとして伝わり、自己肯定感を育む妨げになってしまいます。
家庭での関わり方は、子どもの自己肯定感や安心感に非常に大きな影響を与えます。
親子関係に不安を感じている場合は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
自己肯定感が低い中学生に見られるサインと特徴

お子さんに以下のようなサインが見られたら、自己肯定感が低くなっているのかもしれません。日々の言動を注意深く観察してみましょう。
「どうせ自分なんて」が口癖になっている
「どうせ自分なんて頭悪いし」「私なんかがやっても無理だよ」といったネガティブな発言が目立つのは、自分自身に対する評価が極端に低いことの表れです。何かを始める前から諦めてしまっている状態と言えます。
こうした自己否定の言葉が増えている場合、心のエネルギー自体がかなり低下している可能性もあります。実際に、「無気力」「学校がつらい」「何をしても楽しくない」といった状態が続くケースも少なくありません。
お子さんの心の状態について、より詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
失敗を極度に恐れて新しい挑戦を避ける
失敗することを「自分の価値が下がる恐ろしいこと」だと捉えているため、少しでも難しそうだと感じることには手を出そうとしません。「やらない」ことで、傷つく可能性から自分を守ろうとしているのです。
褒められても「そんなことない」と否定する
「テストの点、上がったじゃない!すごいね」と褒めても、「いや、今回はたまたま運が良かっただけだから」「でも、〇〇ちゃんはもっとすごいし」などと素直に受け取れません。これは、自分の中に「自分はできない人間だ」という強い思い込みがあり、外部からの肯定的な評価を信じられないためです。
自己肯定感を高める親の接し方7つの方法

ここからは、この記事の核心である「自己肯定感を高めるための親の具体的な接し方」を7つご紹介します。どれも家庭ですぐに実践できることばかりです。
1. 結果ではなく努力の過程を具体的に褒める
テストの点数や試合の勝敗といった「結果」だけを褒めるのではなく、そこに至るまでの「過程」に注目して具体的に褒めることが重要です。
- 【NG例】
「100点なんてすごいね!」 - 【OK例】
「テスト前に毎日コツコツ勉強していたの、見てたよ。その頑張りがこの結果につながったんだね!」
「あなたのことを見ているよ」というメッセージが伝わり、子どもは結果が出なくても自分の頑張りを認めてもらえたと感じることができます。
2. 子どもの話に耳を傾け気持ちに共感する
子どもが話をしてきたときは、たとえ忙しくても一度手を止め、目を見て話を聞く姿勢を見せましょう。大切なのは、アドバイスや評価をせず、まずは「そうなんだ」と受け止めることです。
「それは大変だったね」「悔しかったんだね」と子どもの気持ちに共感する言葉をかけることで、子どもは「この親は自分の気持ちを分かってくれる」と感じ、安心感を得られます。これが「自分はここにいていいんだ」という自己肯定感につながります。
3. 「ありがとう」と感謝を伝えて存在を認める
子どもに対して「ありがとう」と伝える場面を増やしましょう。お皿を運んでくれた、お風呂掃除をしてくれたといったお手伝いだけでなく、「あなたがいてくれるだけで、お母さんは嬉しいよ。ありがとう」と、その存在自体に感謝を伝えることが非常に効果的です。
子どもは「自分は家族の役に立っている」「自分は必要とされている」と感じ、自分の価値を実感することができます。
4. 小さな成功体験を積める機会を作る
自己肯定感を高めるには、小さな「できた!」という成功体験の積み重ねが不可欠です。親が少しだけハードルを下げて、達成しやすい目標を設定してあげましょう。
どんなに小さなことでも、達成できたら「できたね!」と一緒に喜び、認めてあげることで、子どもの中に「やればできる」という感覚が育っていきます。
5. 子ども自身に選択させ決定を尊重する
「今日の夕飯、AとBどっちがいい?」「次の休みにどこへ行きたい?」など、日常生活の中で子ども自身が選んで決める機会を意識的に作りましょう。
親が先回りして全てを決めてしまうと、子どもは「自分は何も決められない人間だ」と感じてしまいます。自分で選んだことが尊重される経験は、「自分の考えには価値がある」という自己肯定感を育む上で非常に重要です。
6. 失敗しても責めずに次への学びと捉える
子どもが失敗したとき、決して「だから言ったでしょ!」などと責めてはいけません。失敗は誰にでもあることであり、成長のための貴重な学びの機会です。
「今回はうまくいかなかったね。でも、挑戦したことが素晴らしいよ」とまずはチャレンジしたことを認めましょう。その上で、「どうしてうまくいかなかったんだと思う?」「次はどうしたらもっと良くなるかな?」と、一緒に前向きな振り返りをすることで、子どもは失敗を恐れず、次に挑戦する勇気を持つことができます。
7. 親自身が前向きな姿を見せる
子どもは親の姿をよく見ています。親自身が「どうせ私なんて」と愚痴をこぼしたり、何事にもネガティブだったりすると、子どももその影響を受けてしまいます。
完璧である必要はありません。親が自分の好きなことに打ち込んだり、失敗しても「まあ、いっか!」と笑い飛ばしたりする前向きな姿を見せることが、何よりの生きた教育になります。親自身が人生を楽しむことが、子どもの自己肯定感を育む土壌となるのです。
要注意!子どもの自己肯定感を下げるNG言動

良かれと思っていても、無意識のうちに子どもの自己肯定感を下げてしまう言動があります。以下の3つには特に注意しましょう。
他の子どもや兄弟と比べる発言
「お兄ちゃんはできたのに、どうしてあなたはできないの?」「〇〇ちゃんはもっと頑張っているよ」といった比較は、子どもに「自分は劣っている存在だ」と強烈に感じさせます。比べるべきは過去の子ども自身であり、他人ではありません。
子どもの意見や感情を頭ごなしに否定する
子どもが「学校に行きたくない」と言ったときに、「そんなこと言わないの!」とすぐに否定したり、「でも」「だって」と話を遮ったりするのはやめましょう。まずは「そうか、行きたくない気持ちなんだね。何かあった?」と意見や感情を受け止めることが大切です。否定される経験が続くと、子どもは自分の気持ちを話さなくなってしまいます。
子どもの人格を否定するような叱り方
叱るときは、「行動」と「人格」を切り離すことが鉄則です。
- 【NG例(人格否定)】
「嘘をつくなんて、あなたは本当にダメな子ね!」 - 【OK例(行動への指摘)】
「嘘をついたこと、その行動はお母さん悲しいな。どうして嘘をついたのか理由を話してくれる?」
人格を否定されると、子どもは深い傷を負い、「自分はダメな人間なんだ」という自己否定のループに陥ってしまいます。
家庭での対応が難しい時の専門家への相談

保護者の努力だけでは状況が改善しない場合や、問題が深刻な場合は、一人で抱え込まずに専門家の力を借りることも大切です。
専門家への相談を検討するタイミング
以下のようなサインが見られたら、専門家への相談を検討する目安です。
自己肯定感の低下がきっかけで、学校に行きづらくなっている場合もあります。
不登校や登校しぶりが見られ始めたときの初期対応については、こちらの記事で詳しく解説しています。
学研WILL学園では、自己肯定感や発達特性に配慮しながら、一人ひとりのペースを大切にした学習・生活サポートを行っています。
「今すぐ転校を考えているわけではない」「まずは話を聞いてほしい」という段階でも、気軽に相談することができます。
スクールカウンセラーの活用方法
最も身近な相談先が、学校に常駐または定期的に来校するスクールカウンセラーです。心理学の専門家であり、無料で相談に乗ってもらえます。保護者だけの相談も可能ですので、まずは担任の先生や保健室の先生を通じて、相談の予約を取ってみましょう。
地域の相談窓口や心療内科の探し方
学校以外にも、相談できる場所はたくさんあります。
- 【お住まいの市区町村の教育相談窓口】
「〇〇市 教育相談」などで検索すると見つかります。 - 【児童相談所相談専用ダイヤル】
全国共通で「24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)」や「児童相談所虐待対応ダイヤル(189)」があります。子育ての悩み全般について相談できます。 - 【心療内科・精神科】
医療的なサポートが必要だと感じた場合は、思春期外来などを設けているクリニックを探してみましょう。
まとめ
今回は、自己肯定感が低い中学生のお子さんに対して、親ができる具体的な接し方について解説しました。
最後に、大切なポイントを振り返ります。
最も大切なのは、「どんなあなたでも大切だよ」という無条件の愛情を伝え続けることです。
思春期は子どもにとっても親にとっても難しい時期ですが、この記事で紹介した方法を一つでも試していただくことで、お子さんの心が少しでも軽くなり、親子関係がより良い方向へ進むきっかけになれば幸いです。
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