「上の子が不登校になってから、下の子の様子もなんだかおかしい…」 「もしかして、不登校が兄弟に連鎖してしまったらどうしよう…」
大切なお子さんの一人が不登校になり、ただでさえ不安な毎日を送る中で、もう一人のお子さんへの影響を心配するのは、親として当然のことです。家庭内の重い雰囲気に、登校しているお子さんがストレスを感じていないか、不公平感を抱いていないかと、心労が絶えない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなお悩みを抱える保護者の方に向けて、不登校が兄弟に与える影響と、連鎖を防ぐための具体的な対応策を、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、登校しているお子さんの複雑な心の内を理解し、家庭内でできる心のケアの方法が分かります。不安を解消し、ご家族みんなで前向きな一歩を踏み出すためのヒントがここにあります。
不登校は兄弟に連鎖する?その原因と影響

「不登校は兄弟にうつる」という話を聞いて、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。結論から言うと、不登校が兄弟に連鎖する可能性はゼロではありませんが、必ず連鎖するわけではありません。 大切なのは、連鎖が起こりうる背景を理解し、適切に対応することです。
不登校が「うつる」と言われる3つの理由
なぜ、兄弟の一人が不登校になると、もう一人にも影響が出ることがあるのでしょうか。主に3つの理由が考えられます。
- 【「学校に行かなくてもいい」という前例】
兄や姉が学校を休んでいる姿を見ることで、「自分も辛かったら休んでもいいんだ」という気持ちが芽生えることがあります。これは、これまで「学校は絶対に行かなければならない場所」だと思っていた子どもにとって、新しい選択肢が見えた瞬間とも言えます。 - 【家庭内の環境変化による寂しさ】
親が不登校の子どもに付きっきりになり、無意識のうちに登校している子どもへの関心が薄れてしまうことがあります。その結果、寂しさや「もっと自分を見てほしい」という気持ちから、親の気を引くために学校に行かなくなるケースです。 - 【不登校の兄弟への強い共感】
特に仲の良い兄弟の場合、苦しんでいる兄や姉の姿を見て、「自分だけ学校に行くのは申し訳ない」「兄(姉)が辛いなら自分も行きたくない」と、強い共感から登校意欲を失ってしまうことがあります。
不登校の背景には、学校でのストレスだけでなく家庭内の関わり方が影響することもあります。
中学生の不登校に悩む保護者向けに、より具体的な対応方法をまとめた記事も参考になります。
家庭環境が連鎖に与える影響
不登校の連鎖は、子どもたちだけの問題ではなく、家庭環境も大きく影響します。例えば、以下のような環境は、子どもたちにストレスを与え、連鎖の引き金となる可能性があります。
家庭が子どもにとって安心できる「安全基地」でなくなっている場合、子どもは学校だけでなく家庭にも居場所のなさを感じ、心のエネルギーを失いやすくなります。
親御さん自身も気づかないうちに疲れが溜まりやすくなります。親の不安やストレスは子どもにも伝わりやすいため、保護者の心のケアもとても大切です。 不登校の子どもに向き合う親だからこそ知っておきたい考え方はこちらで解説しています。
兄弟関係のタイプと連鎖しやすさ
兄弟の関係性によっても、不登校の影響の出方は異なります。
大切なのは、ご自身の家庭やお子さんたちの関係性がどのタイプに当てはまるかを客観的に見つめ、それぞれに合った対応を考えることです。
登校中の兄弟が抱える複雑な感情とストレス

不登校の兄弟がいる家庭で、毎日学校に通い続けているお子さんは、実は見えないところで多くのストレスや複雑な感情を抱えています。親がそのサインに気づき、ケアしてあげることが連鎖を防ぐ鍵となります。
「ずるい」「うらやましい」と感じる心理
学校に行っている子が、不登校の兄弟を見て「ずるい」「うらやましい」と感じるのは、決して意地悪なわけではありません。むしろ、ごく自然な感情です。
毎日、朝早く起きて、苦手な勉強や複雑な友人関係に耐えながら学校に行っているのですから、家で自由に過ごしているように見える兄弟をうらやましく思うのは当然のこと。「自分だって本当は休みたい」という本音の裏返しなのです。
兄弟が不登校になる背景には、家庭内の雰囲気や本人のストレス、学校での悩みなど複数の要因が絡んでいます。まずは「不登校がなぜ起こるのか」を家族で理解しておくことが、連鎖を防ぐための第一歩になります。
親の関心を奪われる寂しさと孤独感
親は無意識のうちに、手のかかる不登校の子どもに時間と心のエネルギーを注ぎがちです。その結果、登校している子どもは「自分は放っておかれている」「親は兄(姉)のことばかり」と強い寂しさや孤独感を抱くことがあります。
良い子であればあるほど、親に心配をかけまいと本音を言わずに我慢してしまいます。こうした子どもは「サイレント・クライヤー(静かに泣く子)」とも呼ばれ、気づかないうちに心が限界に達している危険性があります。
親御さん自身も、兄弟のバランスをとる中で「ずるいのでは?」「甘えているだけ?」と揺れることがあります。こうした“親側のモヤモヤ”にどう向き合えばよいのかを解説した記事も参考になります。
「自分はしっかりしなきゃ」というプレッシャー
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)が大変だから、せめて自分は親を困らせてはいけない」 「自分がしっかりしないと、この家はもっと大変になる」
このように、登校している子どもは、過剰な責任感やプレッシャーを自らに課してしまうことがあります。年齢不相応な「良い子」を演じ続けることは、子どもの心を少しずつすり減らしていく原因になります。
周囲の目と「恥ずかしい」という気持ち
学校や近所で「〇〇くんの兄弟、学校に来てないんだって」と噂されたり、友達から心ない言葉をかけられたりすることもあります。
子どもにとって、自分の家族のことを悪く言われるのは非常につらい体験です。兄弟が不登校であることを「恥ずかしい」と感じ、学校で肩身の狭い思いをしている可能性も考えられます。
不登校の連鎖を防ぐための親の具体的な対応

登校しているお子さんの心のケアをし、不登校の連鎖を防ぐためには、親の意識的な関わり方が何よりも重要です。今日から実践できる具体的な対応策をご紹介します。
登校している子と1対1の時間を作る
意識的に「あなただけのための時間」を作ることが、子どもの孤独感を和らげる特効薬になります。不登校の子どもが寝た後や、少しの時間でも構いません。
大切なのは時間の長さではなく、「親は自分のこともしっかり見てくれている」という安心感を与えることです。
不公平感をなくす家庭内のルール作り
「ずるい」という感情を生まないためには、家庭内に公平なルールを設けることが効果的です。
家庭が公平な場所であると感じられることが、子どもの不満を和らげます。
兄弟それぞれを尊重し、比較しない
「お兄ちゃんは休んでいるのに、どうして僕は行かなきゃいけないの?」 「あなたはちゃんと学校に行きなさい」
このような兄弟を比較する言葉は絶対に避けましょう。 子どもを深く傷つけ、親への不信感を募らせるだけです。
「あなたはあなたのペースでいい」「お兄ちゃんは今、心のエネルギーを充電している時期なんだ」というように、兄弟それぞれの状況や個性を認め、尊重する姿勢を見せることが大切です。
不登校をタブーにせずオープンに話す
家庭内で不登校の話題を避けていると、登校している子どもは「触れてはいけないことなんだ」と感じ、疑問や不安を一人で抱え込んでしまいます。
不登校を特別なことや悪いこととして扱わない雰囲気作りが重要です。 「お兄ちゃん、今日は少し元気そうだったね」「何か手伝えることあるかな?」など、家族みんなで不登校の兄弟を自然に気遣えるような会話を心がけましょう。そうすることで、登校している子も自分の気持ちを話しやすくなります。
「ずるい」と言われた時のNG対応と正しい声かけ

もし、お子さんから「お兄ちゃん(お姉ちゃん)はずるい!」という言葉が飛び出したら、それは親子のコミュニケーションを見直すチャンスです。感情的に対応するのではなく、子どもの心に寄り添いましょう。
やってはいけないNG対応
気持ちに寄り添う共感の言葉かけ
まずは、子どもの言葉を否定せず、そのまま受け止めてあげましょう。
「そっか、ずるいって思っちゃうよね」 「毎日学校に行くの、大変だもんね。休みたいなって思う時もあるよね」
「あなたの気持ち、分かっているよ」という共感のメッセージが、子どもの心を落ち着かせます。気持ちを吐き出させた後で、「どうしてそう思うの?」と優しく理由を聞いてみると、子どもの本音が見えてくるかもしれません。
兄弟それぞれの「特別」を認める接し方
共感を示した上で、兄弟それぞれの状況を肯定的に伝えてあげましょう。
「あなたは毎日学校で頑張っていて、本当にすごいと思うよ。お母さん、助かってる」 「お兄ちゃんは今、学校に行くエネルギーがない状態だから、お家で充電しているところなんだ」
どちらが良い・悪いではなく、それぞれが自分の場所で頑張っていることを認めることで、子どもは自分の存在価値を感じ、不公平感を乗り越える力を得ることができます。
兄弟の不登校を乗り越えた家族の体験談

ここでは、実際に兄弟の不登校を経験し、乗り越えてきたご家族の事例をいくつかご紹介します。
体験談:連鎖せず互いを理解した兄弟
中2の兄が不登校になり、小6の弟が不安定になったAさんの家庭。当初、弟は「兄ちゃんだけずるい」と不満を口にしていました。そこで母親は、意識的に弟と2人きりで買い物に行ったり、好きなテレビを一緒に見たりする時間を作りました。また、兄の状況を「今は心のバッテリーが切れている状態なんだ」と弟に分かりやすく説明。すると弟は次第に兄の状況を理解し、「僕が帰ったら、兄ちゃんが好きなゲームの話をしてあげよう」と、兄を気遣うようになったそうです。
体験談:兄弟共に不登校から回復した事例
高1の姉に続き、中1の弟も不登校になったBさんの家庭。母親はパニックになりましたが、親の会に参加し、「まずは親が笑顔でいることが大切」だと学びました。それからは子どもたちを無理に学校に行かせようとせず、「家が一番安心できる場所」になるよう努めました。姉弟はそれぞれのペースでフリースクールに通い始め、数年後、姉は通信制高校を卒業、弟は自分の興味を見つけて専門学校に進学しました。一度は連鎖しても、適切な対応と外部のサポートがあれば、道は開けるという事例です。
親が実践して効果があったこと
体験談から見えてくる、親が実践して効果があった共通点は以下の通りです。
家庭だけで抱え込まないための専門相談窓口

兄弟の不登校という問題は、家庭だけで抱え込むにはあまりにも重いテーマです。辛い時は、ためらわずに専門家の力を借りましょう。
学校内の相談先(スクールカウンセラー)
最も身近な相談相手です。学校での子どもの様子を把握しており、保護者と子どもの両方から話を聞いてくれます。まずは担任の先生を通じて相談を申し込んでみましょう。
医療機関(小児科・児童精神科)
子どもに頭痛や腹痛などの身体症状、あるいは気分の落ち込みや不眠などが見られる場合は、医療機関への相談も選択肢です。不登校の背景に発達障害などが隠れている場合もあります。
公的機関(教育支援センター・児童相談所)
- 【教育支援センター(適応指導教室)】
学校外で学習支援や集団活動の機会を提供してくれる公的な施設です。学校復帰だけでなく、社会的自立を目標としたサポートが受けられます。 - 【児童相談所】
子育てに関するあらゆる相談に対応してくれます。心理的なサポートや、必要に応じて専門機関を紹介してくれます。
民間の支援団体(フリースクール・親の会)
- 【フリースクール】
学校とは異なる価値観で、子ども一人ひとりの個性やペースを尊重した多様な学びの場を提供しています。 - 【親の会】
同じ悩みを持つ親同士が集まり、情報交換をしたり、気持ちを分かち合ったりする場です。「悩んでいるのは自分だけじゃない」と知るだけでも、心が軽くなります。
兄弟の不登校は、家庭だけで抱え込むにはとても大きなテーマです。
「どこに相談すればいいのか分からない」「家庭が限界かもしれない…」と感じたら、専門のサポート機関に相談してみることで道が開けることがあります。
学研WILL学園では、兄弟の状況やご家庭の事情に合わせて、個別に相談できる体制を整えています。
まとめ
兄弟の一人が不登校になった時、もう一人のお子さんへの影響を心配するのは当然のことです。不登校が連鎖する可能性はゼロではありませんが、親の適切な対応によって、その影響を減らすことができます。
この記事でご紹介したポイントを、最後にもう一度振り返ってみましょう。
何よりも大切なのは、親自身が一人で悩みすぎないことです。親の不安は子どもにも伝わります。まずは保護者の方がリラックスして、笑顔でいられる時間を作ってください。
お子さん一人ひとりの個性とペースを尊重し、家族みんなが安心できる家庭を築いていくこと。それが、不登校の兄弟連鎖を防ぎ、子どもたちが自分らしい未来を歩むための最も確かな一歩となるはずです。
学研WILL学園では、お子様それぞれの状況・性格・家庭環境に合わせて、個別に相談できるサポート体制を整えています。
「うちの家庭の場合はどうすればいいの?」と感じたら、まずは気軽にご相談ください。

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