「最近、子どもが急に反抗的になった」「以前より落ち込みやすくなり、学校に行きたがらない」といった変化に戸惑っていませんか?
子どもから大人へと成長する思春期は、周囲の言葉や人間関係に敏感になり、自分でも気持ちを整理しにくくなることがあります。
こうした変化は「多感な時期」の特徴として見られることがありますが、子どもの悩みをすべて思春期の影響と決めつけないことも大切です。
この記事では、多感な時期の意味や年齢の目安、子どもに見られる変化、親としての適切な接し方を解説します。また、学校生活に不安を感じているお子さんへの向き合い方や、家庭以外の相談先についても紹介します。
多感な時期とは?思春期との違い

多感な時期とは、周囲の出来事や人の言葉に敏感になり、喜び・不安・怒り・悲しみなど、さまざまな感情が動きやすくなる時期のことです。特に、小学校高学年から中学生・高校生にかけての思春期の子どもについて使われることが多い表現です。
ただし、多感な時期と思春期は、厳密には同じ意味ではありません。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
多感な時期の意味と特徴
「多感」とは、さまざまな物事に心を動かされ、感情や感受性が豊かであることを意味します。
多感な時期の子どもは、これまで気にならなかった周囲の言葉や態度を意識するようになり、小さな出来事でも喜んだり落ち込んだりすることがあります。
例えば、次のような変化が見られます。
こうした変化には、感情が豊かになることだけでなく、自分自身について深く考えるようになるという成長の側面もあります。
一方で、感受性の強さや感情の表れ方には個人差があるため、すべての子どもに同じ変化が起こるわけではありません。
思春期や反抗期との違い
多感な時期と思春期、反抗期は混同されやすい言葉ですが、それぞれ意味が異なります。
| 言葉 | 意味・特徴 |
| 多感な時期 | 周囲の刺激や出来事に敏感になり、感情が動きやすい時期 |
| 思春期 | 子どもから大人へと成長する過程で、心身にさまざまな変化が生じる時期 |
| 反抗期 | 自立心の芽生えなどを背景に、親や周囲の大人に反発する態度が見られる時期 |
思春期は、身体的な成長と心理的・社会的な変化が重なる時期です。
その過程で感受性が高まったり、親に反発する態度が見られたりすることがありますが、思春期だからといって必ず反抗的になるわけではありません。
また、静かに悩みを抱える子どももいれば、家族との会話が増える子どももいます。
大切なのは、一般的な特徴だけで判断せず、お子さん自身の性格や普段の様子を踏まえて変化を理解することです。
多感な時期は何歳からいつまで?
多感な時期が何歳から始まり、いつまで続くのか気になっている保護者の方も多いのではないでしょうか。
一般的に、多感な時期は小学校高学年から中学生・高校生にかけて意識されやすくなります。
ただし、「多感な時期」そのものに明確な年齢の定義はありません。
ここでは、思春期の年齢を参考にしながら、心身の成長の目安を解説します。
思春期が始まる年齢の目安
世界保健機関(WHO)では、思春期に相当する時期を10〜19歳と定義しています。
一方、身体的な思春期の始まりには個人差があり、10歳より前から変化が見られる子どももいます。
例えば、身体の成長では、一般的に女子の方が男子よりも早く変化が始まる傾向があります。
しかし、身体的な成長と心理的な変化が必ず同じタイミングで始まるわけではありません。
小学生のうちから周囲の視線を気にする子どももいれば、中学生になってから自立心が強くなる子どももいます。
そのため、年齢だけを基準にするのではなく、日々の様子を見ながら成長を受け止めることが大切です。
思春期が落ち着く年齢と個人差
思春期は一般的に10代を中心とする成長段階ですが、心理的・社会的な自立は成人後も続きます。
そのため、「何歳になれば必ず落ち着く」と断定することはできません。
高校生になるころには自分の気持ちを整理しやすくなる子どももいれば、進路や人間関係の悩みが増え、不安を感じやすくなる子どももいます。
また、思春期の感情の揺れは、脳や身体の発達だけでなく、学校生活、友人関係、家庭環境、睡眠など、さまざまな要因が関係しています。
子どもの変化を年齢だけで判断せず、今どのようなことに悩み、何を必要としているのかに目を向けましょう。
思春期や反抗期がいつまで続くのかをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
小学生・中学生・高校生に見られる変化
多感な時期に見られる心の変化は、成長段階によって異なることがあります。
以下は、年齢ごとの一般的な傾向をまとめたものです。
| 時期 | 心の変化や行動の例 |
| 小学校中学年(8〜10歳ごろ) | 自分と友達を比較したり、周囲からの評価を気にしたりする |
| 小学校高学年(10〜12歳ごろ) | 親より友達を優先したり、自分だけの秘密を持ちたがったりする |
| 中学生(12〜15歳ごろ) | 自立心が強まり、親との距離を取ったり、人間関係に悩んだりする |
| 高校生(15〜18歳ごろ) | 進路や将来について考え、自分の価値観を形成していく |
※年齢と特徴は一般的な目安であり、すべての子どもに当てはまるものではありません。
特に中学生になると、勉強が難しくなったり、人間関係が変化したりすることで、学校生活への負担が大きくなる場合があります。
こうした変化をきっかけに、学校へ行くことに不安を感じるお子さんもいるでしょう。
その際は「思春期だから仕方ない」と片付けるのではなく、何か困っていることがないか、本人の気持ちを尊重しながら見守ることが大切です。
多感な時期の子どもに見られる特徴

多感な時期には、感情の揺れや周囲との関わり方に変化が見られることがあります。
ただし、変化の現れ方は一人ひとり異なり、性別だけで特徴が決まるわけではありません。
ここでは、思春期の子どもに比較的見られやすい行動や心理について解説します。
感情の浮き沈みが大きくなる
思春期には、感情や判断に関わる脳の働きが発達し、身体にもさまざまな変化が起こります。
そのため、以前よりイライラしやすくなったり、些細なことで落ち込んだりすることがあります。
例えば、学校では普段どおりに過ごしていても、帰宅すると急に不機嫌になったり、親の何気ない一言に強く反応したりする場合があります。
こうした変化には、学校や友人関係での疲れが関係していることもあります。
保護者としては、子どもが不機嫌になるたびに理由を問い詰めるのではなく、落ち着いて過ごせる時間を確保することが大切です。
ただし、強い落ち込みや生活への支障が続いている場合は、単なる思春期の変化と決めつけず、相談先を検討しましょう。
親との距離を取ろうとする
多感な時期になると、それまで親に何でも話していた子どもが、急に会話を避けたり、一人で過ごす時間を増やしたりすることがあります。
例えば、次のような行動です。
これらは、自分だけの考えや生活空間を大切にし始めている表れかもしれません。
保護者としては寂しさを感じることもありますが、無理に会話を増やそうとする必要はありません。
子どものプライバシーを尊重しながら、困ったときには相談できる関係を保つことが重要です。
友人関係や周囲の評価に敏感になる
思春期は、友人との関係や周囲からの評価が気になりやすい時期でもあります。
特に中学生になると、SNSでのやり取りや友人グループ内の人間関係など、学校外でも気を遣う場面が増えることがあります。
そのため、大人から見ると些細に思える出来事でも、本人にとっては大きな悩みになっている場合があります。
例えば、友達から返信が来ないことを気にしたり、授業中の発言を笑われた経験が忘れられなかったりすることがあります。
こうした悩みに対して、「そんなことを気にしなくていい」と伝えても、気持ちが軽くなるとは限りません。
まずは「それは気になったね」「嫌な気持ちになったんだね」と受け止め、本人が安心して話せる雰囲気を作りましょう。
感受性の強さとHSCの関係
多感な時期の特徴に関連して、HSC(Highly Sensitive Child)という言葉を目にすることもあります。HSCは、周囲の刺激や環境の変化に敏感に反応しやすい子どもの特性を表す言葉で、医学的な診断名ではありません。
大きな音や人混みに疲れやすい、周囲の人の表情や気持ちの変化に敏感、物事を深く考えるといった特徴が見られることがあります。ただし、こうした特徴があるからといって必ずHSCであるとは限らず、学校に行きづらい理由を感受性の強さだけで説明することもできません。
本人がどのような場面で疲れや不安を感じているのかを確認し、必要に応じて環境を調整することが大切です。
HSCの特徴や発達障害との違い、家庭でできるサポートについては、以下の記事で詳しく解説しています。
多感な時期の子どもへの適切な接し方

多感な時期の子どもへの接し方で大切なのは、気持ちを尊重しながら、必要なときに支えられる関係を築くことです。
思春期には自立心が強まる一方で、悩みを一人で抱えきれないこともあります。
保護者がすべてを解決しようとするのではなく、子どもの気持ちを受け止め、適切な距離感を保つことを意識しましょう。
気持ちを否定せずに受け止める
子どもが悩みを話してきたときは、すぐにアドバイスをするのではなく、まず話を聞くことが大切です。
例えば、子どもが「学校に行きたくない」と話した場合、理由を聞く前に「行かなければダメ」と伝えてしまうと、それ以上話しづらくなることがあります。
まずは「学校に行くのがつらいんだね」「何か気になることがあるのかな」と、本人の気持ちを受け止めてみましょう。
また、気持ちをうまく説明できない子どももいます。
そのような場合は無理に理由を聞き出さず、話したくなったときに聞けることを伝えておくとよいでしょう。
親が自分の気持ちを否定せずに聞いてくれるという安心感が、信頼関係を築く土台になります。
過干渉を避けて適切な距離を保つ
子どものことが心配になると、保護者はつい先回りして声をかけたくなるものです。
しかし、思春期の子どもにとって、頻繁な確認や指示が負担になる場合もあります。
例えば、次のような声かけです。
これらの言葉も、繰り返されることで子どもが責められていると感じる可能性があります。
必要な確認はしつつ、本人が自分で考えたり判断したりする機会を尊重しましょう。
ただし、過干渉を避けることと、子どもを放任することは異なります。
困っている様子が見られる場合は、本人の希望を確かめながら手を差し伸べることが大切です。
子どもの自立を尊重するための適切な距離感については、以下の記事も参考にしてください。
感情的に対立したときは時間を置く
多感な時期には、親子の意見が食い違い、口論になることもあります。
子どもが強い言葉を使ったとき、保護者も感情的に言い返してしまうと、話し合いが難しくなる場合があります。
そのようなときは、いったん会話を中断し、落ち着いてから話すことをおすすめします。
例えば「今はお互いに落ち着いて話せなさそうだから、少し時間を置こう」と伝える方法があります。
その後、「さっきの言い方は悲しかった」「これからどうしたらいいか、一緒に考えたい」と、自分の気持ちを落ち着いて伝えましょう。
また、思春期だからといって、暴言や危険な行動をすべて受け入れる必要はありません。
相手を傷つける行動については適切な境界線を示し、安全を確保することも大切です。
親自身も無理をせず相談する
子どもの感情が不安定になったり、学校に行けない日が増えたりすると、保護者も不安や疲れを感じることがあります。
特に、子どもが悩みを話してくれない場合、「自分の接し方が悪かったのではないか」と考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、子どもの変化にはさまざまな要因が関係しており、保護者だけで原因を判断することは困難です。
家庭内で解決しようと抱え込まず、学校の先生やスクールカウンセラーなどに相談することも検討しましょう。
また、保護者自身が休息を取ったり、家族以外の人に話を聞いてもらったりすることも大切です。
保護者が安心して相談できる環境を持つことは、結果として子どもへの落ち着いた対応にもつながります。
多感な時期に学校へ行きたがらなくなったときの接し方

多感な時期の子どものなかには、学校生活への不安が強くなったり、登校することが難しくなったりするお子さんもいます。
友人関係や勉強の悩み、環境の変化など、学校に行きづらくなる理由はさまざまです。
保護者としては、学校に行ってほしいという気持ちと、無理をさせたくないという気持ちの間で悩むこともあるでしょう。
そのようなときは、登校を急がせる前に、お子さんがどのようなことに困っているのかを理解することが大切です。
不登校を思春期や反抗期だけの問題と決めつけない
思春期の子どもが学校に行きたがらなくなった場合、「反抗期だから学校を嫌がっているのではないか」と感じることもあるかもしれません。
しかし、不登校にはさまざまな背景があり、思春期や反抗期だけが原因とは限りません。
例えば、次のような要因が考えられます。
また、複数の要因が重なっている場合や、本人にも理由がはっきり分からない場合があります。
文部科学省も、不登校への支援について、学校に登校するという結果のみを目標とするのではなく、子どもが自らの進路を考え、社会的に自立できるよう支えることが重要だと示しています。
学校に行けないことを本人の努力不足や反抗心の問題と捉えず、お子さんの状態に合った支援を考えることが大切です。
学校に行けない理由を無理に聞き出さない
子どもが学校を休むようになると、保護者は理由を知りたいと思うものです。
しかし、「どうして行けないの?」「何が嫌なの?」と何度も質問すると、子どもが答えなければならないという負担を感じる場合があります。
特に多感な時期には、自分の気持ちをうまく整理できず、言葉にすることが難しいお子さんもいます。
そのため、理由をすぐに説明できない場合でも、無理に答えを求めないようにしましょう。
例えば、次のような声かけが考えられます。
ただし、本人が話さないからといって、何もせずに放置することが適切とは限りません。
生活リズムや体調、表情などの変化にも目を向けながら、学校や専門機関と連携して状況を確認することが重要です。
家庭以外にも安心できる居場所を考える
学校に行くことが難しくなった場合、家庭で安心して過ごせる環境を整えることは大切です。
一方で、家庭以外にも本人が無理なく過ごせる場所があると、人とのつながりや学習の機会を維持しやすくなる場合があります。
例えば、学校内の別室、教育支援センター、地域の居場所、フリースクールなどが選択肢として挙げられます。
フリースクールは、学校に通うことが難しい子どもが、自分のペースで学習したり、ほかの人と交流したりできる民間の学びの場です。
施設によって活動内容や支援体制は異なりますが、少人数で過ごせる場所や、子どもの興味・関心に合わせた活動を取り入れている場所もあります。
ただし、フリースクールに通うことを急いで決める必要はありません。
お子さん自身が安心できるか、今の状態に合っているかを大切にしながら、複数の選択肢を比較することが重要です。
また、保護者だけで施設を決めるのではなく、可能な範囲で本人の希望や気持ちを確認しましょう。
高校生の場合は、現在の学校に通い続けることが難しいときに、通信制高校やサポート校など、自分に合った学び方について情報を集める方法もあります。
必要に応じて学校や専門機関に相談する
子どもが学校に行きたがらない状態が続く場合は、家庭だけで対応しようとせず、外部の相談先を活用することも大切です。
例えば、以下のような相談先があります。
| 相談先 | 主な相談内容 |
| 担任・養護教諭 | 学校生活での困りごとや校内での支援 |
| スクールカウンセラー | 子どもの心理面や親子関係についての相談 |
| 教育支援センター | 不登校に関する相談や学習・生活面の支援 |
| 医療機関 | 心身の不調が続く場合の相談 |
| フリースクール | 学校以外の居場所や学習環境についての相談 |
相談先を選ぶ際は、お子さんの状態や困りごとに合わせて検討しましょう。
また、相談すること自体を子どもが嫌がる場合もあります。そのようなときは、まず保護者だけで相談し、適切な関わり方を確認する方法もあります。
多感な時期の子どもに必要なのは、周囲の大人が一つの答えを押し付けることではなく、安心して自分の気持ちを整理できる環境を整えることです。
まとめ
多感な時期は、子どもが自分自身の考えや価値観を育てていく大切な成長段階です。
この記事のポイントは、以下のとおりです。
多感な時期の子どもは、周囲の言葉や人間関係に敏感になり、保護者が思っている以上に悩みを抱えていることがあります。
大切なのは、年齢や一般的な特徴だけで判断せず、お子さん自身の気持ちや状況を理解しようとすることです。
また、思春期の変化と重なるように、学校生活への不安が強くなったり、登校が難しくなったりするお子さんもいます。
そのような場合は、学校に戻ることだけを急ぐのではなく、心身の状態に配慮しながら、安心して過ごせる環境や本人に合った学び方を一緒に考えていくことが大切です。
家庭だけで悩みを抱え込まず、学校や専門機関、フリースクールなど、さまざまな相談先を活用することも選択肢の一つです。
学研WILL学園では、不登校経験のあるお子さんや、学校生活・人間関係・学習面に不安を抱えるご家庭に寄り添い、今の状態に合った学び方や居場所を一緒に考えています。
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