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不登校はわがまま?育て方のせい?親ができる対応と相談先

不登校

「うちの子が学校に行きたがらないのは、ただのわがままなの…?」 「もしかして、私の育て方が悪かったのかもしれない…」

お子さんが学校を休みがちになると、親としてどう対応すれば良いのか分からず、不安や罪悪感に苛まれてしまうのは当然のことです。しかし、その行動を「わがまま」や「甘え」と一言で片付けてしまう前に、少しだけ立ち止まって考えてみませんか?

この記事では、不登校のお子さんを持つ親御さんが抱える悩みに寄り添い、子どもの行動の裏にある本当の気持ちや、親としてできる具体的な対応策、そして一人で抱え込まないための相談先まで、専門的な知見を交えながら分かりやすく解説します。

「不登校はわがまま」と決めつける前に

子どもが学校に行かないという現実を前にすると、「わがまま」「甘え」といった言葉が頭をよぎるかもしれません。しかし、多くの場合、その背景には子ども自身も言葉にできない複雑な感情や事情が隠されています。

「わがまま・甘え」と不登校のSOSサインの違い

「わがまま」と、不登校につながる「SOSサイン」は似ているようで全く異なります。その違いを見極めることが、適切な対応への第一歩です。

特徴わがまま・甘え不登校のSOSサイン
期間一時的・突発的長期的・継続的
理由特定の要求(ゲームがしたい等)が明確理由が曖昧、または言えない
様子要求が通れば元気になる好きなことにも無気力・無関心
体調特に変化はないことが多い頭痛、腹痛、吐き気など身体症状を伴う
表情不満そうな顔をする表情が乏しい、暗い、不安そう

大切なのは、子どもの表面的な行動だけでなく、その裏にある心や体の状態を注意深く観察することです。

子どもの行動の裏にある本当の気持ち

子どもが「学校に行きたくない」とストレートに言えない場合、様々な行動でサインを送ってくることがあります。

これらは、一見すると「わがまま」や「反抗」に見えるかもしれません。しかし、その多くは**「つらい」「苦しい」「助けてほしい」という気持ちの表現**なのです。子ども自身、なぜ学校に行きたくないのか分からず、混乱しているケースも少なくありません。

親が「自分のせい」と罪悪感を感じる必要はない理由

「自分の育て方が…」「家庭環境が…」と自分を責めてしまうお母さん、お父さんは非常に多いです。しかし、不登校の原因は決して一つではなく、親だけの責任ではありません。

学校での人間関係、学習の悩み、お子さん自身の気質など、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。自分を責め続けてしまうと、親自身が心身ともに疲弊し、ますます状況が悪化しかねません。

まずはお父さん、お母さん自身が「自分のせいではない」と理解し、心を少し休めることが、状況を好転させるための大切な一歩です。

不登校になりやすい家庭・親の特徴とは

不登校の原因は様々ですが、家庭環境や親の関わり方が影響を与えるケースがあることも指摘されています。ここでは、不登校になりやすいと言われる家庭や親の特徴をいくつかご紹介します。ご自身の状況を客観的に振り返るきっかけとして、参考にしてみてください。

過干渉・過保護な家庭環境

子どものことを思うあまり、何でも先回りして手や口を出してしまう「過干渉」や「過保護」。これは、子どもの自主性や問題解決能力を育む機会を奪ってしまう可能性があります。

自分で考えて行動する前に親が答えを与えてしまうため、子どもは失敗を過度に恐れるようになり、困難な状況に直面したときに乗り越える力が育ちにくくなることがあります。

子どもに完璧を求める親の期待

「勉強もスポーツもできて、誰からも好かれる良い子でいてほしい」という親の期待は、子どもにとって大きなプレッシャーになります。

「こうあるべき」という高い理想を押し付けられると、子どもは「ありのままの自分では愛されない」と感じ、常に親の顔色をうかがうようになります。 その結果、期待に応えられない自分を責め、学校に行くエネルギーが失われてしまうのです。

夫婦関係や家庭内のコミュニケーション不足

子どもにとって、家庭は心と体を休める「安全基地」です。しかし、夫婦喧嘩が絶えなかったり、家族間の会話がなかったりすると、家庭が緊張状態に包まれてしまいます。

子どもは家庭の空気を敏感に察知します。 家で十分に安心感を得られないと、外の世界(学校)で頑張るためのエネルギーを充電できず、不登校につながることがあります。

母親・父親自身の不安やストレス

親が抱える仕事や人間関係のストレス、将来への不安は、無意識のうちに子どもに伝わります。親が常にピリピリしていたり、不安そうな表情をしていたりすると、子どももまた不安な気持ちになります。

特に、子どもの不登校に対して母親が一人で責任を背負い込み、強いストレスを感じてしまうケースは少なくありません。親が心に余裕を持つことが、結果的に子どもの安心につながります。

不登校の背景にある4つの心理的・身体的要因

「わがまま」や「家庭環境」だけでなく、子どもの心や体に起きている変化が不登校の直接的な原因となっている場合も多くあります。

学校での人間関係や学習への不安

子どもが学校に行きたくない最も一般的な理由の一つが、学校生活そのものへの不安です。

  • 友達とのトラブル、いじめ
  • クラスの雰囲気に馴染めない
  • 先生との相性が悪い、叱られるのが怖い
  • 授業についていけない、勉強が分からない
  • 部活動でのプレッシャー

これらの悩みは、大人から見れば些細なことに思えるかもしれませんが、子どもにとっては世界の全てに関わるような大きな問題なのです。

HSC(ひといちばい敏感な子)の特性

あなたのお子さんは、人一倍感受性が強く、繊細な気質を持っていませんか? HSC(Highly Sensitive Child)とは、生まれつき五感や人の感情などの刺激に非常に敏感で、疲れやすい気質を持つ子どものことです。病気や障害ではありません。

HSCの特性を持つ子どもは、教室のざわめきや光、友達の些細な言葉や先生の表情などに過剰に反応し、エネルギーを消耗してしまいます。その結果、学校に行くだけでぐったりと疲れてしまうのです。

発達障害(ASD・ADHD)の可能性

不登校の背景に、発達障害の特性が隠れていることもあります。

ASD(自閉スペクトラム症)

コミュニケーションや対人関係の構築が苦手、特定の物事へのこだわりが強いといった特性があります。集団行動や暗黙のルールを理解するのが難しく、学校生活で強いストレスを感じることがあります。

ADHD(注意欠如・多動症)

不注意(忘れ物が多い、集中力が続かない)、多動性・衝動性(じっとしていられない、思ったことをすぐ口にする)といった特性があります。授業に集中できなかったり、友達とのトラブルにつながったりすることがあります。

これらの特性によって学校で困難を抱え、二次障害として不登校やうつ状態を引き起こすことがあります。

起立性調節障害などの身体的な不調

「朝起きられない」「頭が痛い」「お腹が痛い」といった訴えは、仮病や怠けではないかもしれません。特に思春期の子どもに多い「起立性調節障害」という病気の可能性があります。

これは自律神経の働きが乱れ、立ち上がった時に血圧が低下し、脳への血流が減少することで、めまい、立ちくらみ、倦怠感、頭痛などの症状が現れる病気です。本人の気力だけではどうにもならない身体的な問題であり、専門医による診断と治療が必要です。

親がやってはいけないNG対応と声かけ

子どもの不登校に直面したとき、焦りや不安からついやってしまいがちなNG対応があります。良かれと思ってしたことが、かえってお子さんを追い詰めてしまうこともあるため注意が必要です。

無理やり学校に行かせようとする

「とにかく学校に行きなさい!」と叱咤激励したり、無理に家から引きずり出したりするのは最も避けるべき対応です。不登校の子どもは、心のエネルギーが完全に枯渇している状態です。無理強いは、子どもをさらに追い詰め、親への不信感を抱かせるだけです。

原因を執拗に問い詰める

「何があったの?」「誰かに何かされたの?」と原因を問い詰めたくなる気持ちは分かります。しかし、子ども自身も理由が分からなかったり、話すことでさらに辛い気持ちになったりすることがあります。しつこく聞かれると、子どもは「責められている」と感じ、心を閉ざしてしまいます。

他の子どもと比較する言葉

「お兄ちゃんは毎日行ってるのに」「〇〇ちゃんは皆勤賞なんだって」といった言葉は、子どものプライドと自己肯定感を深く傷つけます。子どもは「自分はダメな人間だ」と思い込み、ますます自信を失ってしまいます。 比較は絶対にやめましょう。

ゲームやスマホを頭ごなしに否定する

昼夜逆転してゲームやスマホばかりしている姿を見ると、つい「そればっかりやってるからダメなんだ!」と叱りたくなります。しかし、それらが子どもにとって、つらい現実から逃れるための唯一の避難場所や、社会とのつながりを保つための大切なツールになっている可能性があります。頭ごなしに禁止するのではなく、まずはその役割を理解しようとすることが大切です。

子どもの自己肯定感を育む具体的な接し方

では、親はどのように子どもと関わっていけば良いのでしょうか。重要なのは、子どもの失われたエネルギーを充電し、自己肯定感を育む手助けをすることです。

まずは安心できる家庭環境を整える

何よりもまず、家庭が子どもにとっての「安全基地」であることが大切です。「学校に行っても行かなくても、あなたの味方だよ」「ここにいていいんだよ」というメッセージを、態度や言葉で伝えましょう。家が心から安心できる場所になれば、子どもは少しずつエネルギーを取り戻していきます。

気持ちに寄り添い話を聴く「傾聴」

子どもの気持ちを理解するためには、「聴く」姿勢が重要です。傾聴とは、相手の話を途中で遮ったり、否定したり、アドバイスしたりせず、ただ「そうなんだね」と耳と心で受け止めるコミュニケーションです。

  • 子どもの目を見て、うなずきながら聴く
  • 「つらかったね」「不安なんだね」と気持ちを代弁する
  • 無理に聞き出そうとせず、子どもが話したくなるまで待つ

この姿勢が、子どもの「分かってもらえた」という安心感につながります。

スモールステップで成功体験を積ませる

不登校の子どもは、自信を失っていることがほとんどです。そこで、ごく簡単なことからで良いので、「できた!」という成功体験を積み重ねさせてあげましょう。

  • 一緒に近所のコンビニまで散歩する
  • 簡単な料理やお手伝いを頼んで「ありがとう、助かったよ」と伝える
  • 子どもの好きなこと(ゲーム、絵、音楽など)を一緒に楽しむ

ハードルは低く設定し、できたことを具体的に褒めるのがポイントです。小さな自信の積み重ねが、次の一歩を踏み出す力になります。

子どもの存在そのものを認める声かけ

「勉強ができなくても」「学校に行けなくても」、あなたの価値は変わらない。子どもの存在そのものを無条件に肯定するメッセージを伝え続けましょう。

「あなたがいてくれるだけで、お母さんは嬉しいよ」 「大好きだよ」

このような言葉は、子どもの心の奥深くに届き、「自分は愛される価値のある存在だ」という自己肯定感の土台を築きます。

【年齢別】対応のポイントと注意点

不登校への対応は、子どもの発達段階によってもポイントが異なります。

小学生(低学年・高学年)への対応

小学生の不登校は、親から離れることへの不安や、環境の変化への戸惑いが原因であることが多いです。

低学年

母親との分離不安が背景にあることも。まずはスキンシップを増やし、「大丈夫だよ」と安心感を与える関わりが大切です。学校での具体的な出来事を丁寧に聞いてあげましょう。

高学年

友人関係の複雑化や学習のつまずきが顕著になります。プライドも芽生えるため、本人の気持ちを尊重しながら、何に困っているのかを一緒に考える姿勢が求められます。

中学生への対応と進路の考え方

思春期真っ只中の中学生は、心も体も大きく変化し、非常に不安定な時期です。親への反発心も強くなるため、より繊細な対応が必要になります。

対等な目線で話す

子ども扱いせず、一人の人間として意見を尊重しましょう。プライバシーに過度に踏み込まず、本人が話したくなるまで待つ忍耐も必要です。

将来の選択肢を一緒に探す

「学校復帰」だけがゴールではありません。フリースクールや通信制高校、高卒認定試験など、多様な進路があることを情報として提供し、本人の意思を尊重しながら一緒に将来を考えるパートナーとしての姿勢が大切です。

一人で抱え込まないための公的相談窓口と外部機関

不登校の問題は、家庭だけで解決しようとすると、親子ともに疲弊してしまいます。専門家の力を借り、客観的なアドバイスをもらうことで、解決の糸口が見えることがよくあります。一人で抱え込まず、ぜひ外部の機関に相談してください。

教育支援センター(適応指導教室)

各市町村の教育委員会が設置している公的な施設です。不登校の子どもたちが安心して過ごせる居場所を提供し、学習支援やカウンセリング、集団活動などを行っています。

スクールカウンセラー・医療機関

まずは学校に配置されているスクールカウンセラーに相談してみましょう。また、身体的な不調が続く場合や、発達障害の可能性を感じる場合は、小児科や児童精神科、心療内科などの医療機関を受診することも重要です。

地域の児童相談所や保健センター

子育てに関するあらゆる相談に乗ってくれる窓口です。電話相談も可能な場合が多いので、気軽に連絡してみましょう。臨床心理士や保健師などの専門家からアドバイスがもらえます。

フリースクールやオルタナティブスクール

公立の学校とは異なる教育方針を持つ、民間の教育機関です。子どもの個性やペースを尊重した学びの場を提供しており、学校以外の新しい居場所になる可能性があります。

例えば、関東・東海・関西などに全11キャンパスを構える学研WILL学園では、各キャンパスまたはオンラインで「見学会」や「相談会」などを実施し、ご状況の詳しいヒアリングを行っています。訪問型・オンライン・少人数の通学型など、子どもに合わせて適した通い方をお選びいただけますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

お子さんの不登校を「わがまま」と捉えてしまうのは、どうすれば良いか分からない不安の裏返しです。しかし、その行動の裏には、子どもからの必死のSOSが隠されています。

この記事でお伝えした大切なポイントをもう一度振り返ってみましょう。

  • 不登校は「わがまま」ではなく、心や体のエネルギーが枯渇したサイン
  • 原因は複合的で、親だけのせいではない
  • 無理やり学校に行かせず、まずは家庭を「安全基地」にすることが最優先
  • 子どもの話を「傾聴」し、存在そのものを肯定する声かけを心がける
  • 一人で抱え込まず、公的な相談窓口や専門機関を積極的に利用する

不登校の解決には時間がかかることもあります。焦らず、まずはお子さんの心に寄り添い、安心できる環境を整えることから始めてみてください。そして、何よりも頑張っているお父さん、お母さん自身が、自分を責めずに休息をとることを忘れないでください。 あなたが笑顔でいることが、お子さんにとって一番の安心材料になるはずです。

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