「うちの子が、学校に行きたくないって言うんです…」
これまで元気に通っていたお子さんが急に学校を休みたがると、親としては心配でたまらないですよね。理由を聞いても「わからない」と答えたり、朝になると決まって体調が悪くなったり。
どうして学校に行きたくないのか、子供の心の中で何が起きているのか分からず、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。「私の育て方が悪かったのかな…」とご自身を責めてしまうかもしれません。
しかし、不登校や行き渋りは、決して特別なことではありません。 文部科学省の調査によると、最新年度の小・中学校における長期欠席者(不登校)の数は過去最多の353,970人にのぼり、多くのご家庭が同じ悩みを抱えています。
この記事では、学校に行かない子供の心理を紐解きながら、考えられる原因や理由、そして親としてどのように対応すれば良いのかを具体的に解説します。まずはお子さんの気持ちを理解することから、一緒に始めていきましょう。
学校に行きたがらない主な5つの原因

子供が学校に行きたがらない背景には、様々な原因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。ここでは、特に小学生に多い代表的な5つの原因をご紹介します。
友人関係のトラブルやいじめ
子供にとって、学校での友人関係は生活の大部分を占める重要な要素です。
ささいな仲間外れや悪口、無視といった目に見えにくいものから、暴力や金銭の要求といった深刻ないじめまで、友人関係のトラブルは子供に大きなストレスを与えます。
こうした状況が続くと、子供は学校を「怖い場所」「行きたくない場所」と感じるようになります。
友人関係の悩みの中でも、いじめが背景にあるケースでは早めの対応が大切です。親が取るべき行動や学校との連携方法については、こちらで詳しく解説しています。
勉強の遅れや授業への不安
授業についていけない、という学習面でのつまずきも不登校の大きな原因の一つです。
特に、特定の教科で苦手意識が強まると、「授業がわからない」「先生に指されるのが怖い」「テストで悪い点をとるのが恥ずかしい」といった不安が募ります。
周りの友達が簡単にできているように見えると、自分だけが取り残されているような劣等感を抱き、学校に行くこと自体が苦痛になってしまうのです。
先生との関係性や相性
先生との関係も、子供の学校生活に大きな影響を与えます。
高圧的な先生、えこひいきをする先生、自分の話をきちんと聞いてくれない先生など、相性が合わないと感じると、子供は学校に安心感を抱けなくなります。
先生に叱られることへの恐怖や、クラスの雰囲気が合わないといった理由で、教室にいること自体がストレスになるケースも少なくありません。
家庭環境の変化や生活リズムの乱れ
学校だけでなく、家庭での出来事が不登校の引き金になることもあります。
こうした環境の変化は、子供にとって大きなストレスです。また、夜更かしや朝寝坊、ゲームやスマホの長時間利用による生活リズムの乱れが、朝起きられず学校に行けないという「身体的な不登校」につながることもあります。
HSCなど子供本人の気質や特性
生まれ持った気質が、学校という集団生活への適応を難しくしている場合もあります。
例えば、「HSC(Highly Sensitive Child)」と呼ばれる、人一倍感受性が強く繊細な気質を持つ子供は、周りの人の感情や音、光などの刺激を過剰に受け取ってしまいがちです。
そのため、大勢の人がいる教室のざわめきや、友達のささいな一言に深く傷つき、エネルギーを消耗してしまいます。その結果、学校に行くだけで疲れ果ててしまうのです。これは「甘え」や「わがまま」ではなく、本人の特性であることを理解する必要があります。
学校に行きたがらない理由は、お子さんによってさまざまです。繊細な気質(HSC)や発達特性が影響しているケースもあれば、学校生活や家庭環境など複数の要因が重なっていることもあります。不登校の原因や親ができる対応、特性に応じた接し方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
学校に行かない子供の心理状態

では、学校に行きたくないと感じている子供の心の中は、一体どうなっているのでしょうか。子供が抱えがちな心理状態について解説します。
不安・恐怖・ストレスの蓄積
子供の心は、目に見えない不安や恐怖、ストレスでいっぱいの状態です。
「また明日も嫌なことがあるかもしれない」「学校に行ったら、もっとつらい気持ちになるかもしれない」という強い不安感から、心と体が学校に行くことを拒否してしまいます。
朝になると腹痛や頭痛が起きる「起立性調節障害」などの身体症状として現れることも多く、これは精神的なストレスが原因となっている場合があります。
自己肯定感の低下と無気力感
学校に行けない状況が続くと、子供は「自分はダメな子だ」と自己肯定感を失っていきます。
「みんなは普通に学校に行っているのに、自分だけ行けない」「親に迷惑をかけている」といった罪悪感に苛まれ、どんどん自信をなくしてしまいます。
その結果、何事にもやる気が起きない「無気力状態」に陥り、好きなことさえ楽しめなくなってしまうことも少なくありません。
親に心配をかけたくないという気持ち
子供は、大好きな親を悲しませたくない、心配をかけたくないと思っています。
そのため、学校でつらいことがあっても「言ったらお母さんが心配するから」と、自分の胸の内を隠してしまうことがあります。親に本当の理由を言えないのは、親を困らせたくないという子供なりの優しさや気遣いの表れでもあるのです。
「理由がわからない」のはなぜか?
「学校に行きたくない理由は?」と聞いても、子供が「わからない」と答えることは非常によくあります。
これは嘘をついているわけではなく、本当に自分でも理由を言葉にできない状態なのです。
「理由がわからない」という子供の言葉の裏には、言葉にできないほどのつらさがあるということを、まずは理解してあげましょう。
小学生の学年別に見る不登校の傾向

小学生と一括りに言っても、発達段階によって不登校の原因や背景は異なります。学年別の傾向を知ることで、お子さんの状況をより深く理解するヒントになります。
低学年(1-2年生) :環境の変化への不適応
小学校入学という大きな環境の変化に、心と体がついていけないケースが多く見られます。
幼稚園や保育園とは違い、授業時間が長く、ルールも厳しい学校生活に戸惑いを感じます。また、母親と離れることに強い不安を感じる「母子分離不安」が原因で、登校を渋ることもあります。
中学年(3-4年生) :友人関係の複雑化
いわゆる「ギャングエイジ」と呼ばれる時期で、仲間意識が強まり、友人関係が複雑化し始めます。
特定のグループが形成され、仲間外れやいじめが顕在化しやすくなるのがこの時期です。友達との関係がうまくいかないことが、直接的な不登校の原因につながりやすくなります。また、学習内容も難しくなり始め、「9歳の壁」と呼ばれる学習のつまずきが見られることもあります。
高学年(5-6年生) :学習の高度化と劣等感
思春期に差し掛かり、他者との比較によって劣等感を抱きやすくなります。
勉強はさらに難しくなり、成績がはっきりと表れることで、学習面でのコンプレックスが深刻化します。また、友人関係もより密接になる一方で、グループ内での立ち位置や周りの目を過剰に気にするようになり、精神的な疲れから不登校に至るケースが増えてきます。
親が取るべき具体的な対応3ステップ

お子さんが学校に行きたがらない時、親としてどう動けば良いのでしょうか。焦らず、冷静に対応するための3つのステップをご紹介します。
ステップ1:安心感を与え、話を聴く
何よりもまず、お子さんに「あなたの味方だよ」というメッセージを伝え、安心できる環境を作ることが最優先です。
無理に理由を聞き出そうとせず、「そっか、行きたくないんだね」「つらいんだね」と、まずは子供の気持ちをそのまま受け止めてあげましょう。
そして、子供が話したくなったら、途中で口を挟まずにじっくりと耳を傾けてください。「ただ聴いてもらえた」という経験が、子供の心を少しずつ開いていきます。
ステップ2:学校を休むことを認める
子供の心と体が限界サインを出している時、無理に登校させるのは逆効果です。
「今日はゆっくり休もう」と、学校を休むことを認めてあげましょう。これは「逃げ」や「甘え」を許すことではありません。傷ついた心を癒し、エネルギーを再充電するための大切な休息期間です。
学校を休むことへの罪悪感をお子さんが感じないよう、「休んでも大丈夫だよ」と親が堂々とした態度でいることが重要です。
ステップ3:エネルギー回復を待ち、今後を一緒に考える
心が回復するには時間が必要です。焦らず、子供のペースを尊重しましょう。
家で安心して過ごせるようになると、子供は少しずつ元気を取り戻し、好きなことに興味を示し始めます。ゲームをしたり、動画を見たりして過ごす時間も、子供にとっては大切なエネルギー回復の時間です。
子供の表情が明るくなり、会話が増えてきたら、それは回復のサインかもしれません。そのタイミングで、「これからどうしたい?」「何か手伝えることはある?」と、今後について一緒に考えるステップに進みましょう。学校に戻ることだけがゴールではありません。お子さんに合った道を探していくことが大切です。
状況を悪化させる親のNG対応

良かれと思ってやったことが、かえってお子さんを追い詰めてしまうことがあります。ここでは、避けるべきNG対応をまとめました。
無理やり学校に行かせようとする
朝、ぐずる子供を無理やり車に乗せたり、玄関先で引きずったりする行為は、子供の恐怖心を煽り、親への不信感を募らせるだけです。信頼関係が崩れると、問題の解決はさらに遠のいてしまいます。
原因を問い詰める・犯人探しをする
「誰に何かされたの?」「何があったか言いなさい!」と原因を執拗に問い詰めるのはやめましょう。子供は責められていると感じ、心を閉ざしてしまいます。犯人探しよりも、まずは子供の心に寄り添うことが先決です。
感情的に叱る・他の子供と比較する
「どうしてあなただけ行けないの!」「〇〇ちゃんは毎日頑張っているのに」など、感情的に叱ったり、他の子供と比較したりする言葉は、子供の自己肯定感を深く傷つけます。「自分はダメな人間だ」という思いを強めてしまうだけです。
「甘え」「怠け」と突き放す
「そんなの甘えだ」「怠けているだけだろう」といった言葉は、子供が抱えるつらさを真っ向から否定する行為です。子供は誰にも理解してもらえないと絶望し、孤立を深めてしまいます。
家庭でできる効果的な声かけの例

お子さんの心を少しでも軽くするために、家庭でできる効果的な声かけの例をご紹介します。
気持ちに寄り添う共感の言葉
まずは、お子さんの言葉や気持ちを否定せずに、オウム返しのように受け止めることが大切です。
子供の存在そのものを肯定する言葉
学校に行くかどうかという「条件」を付けず、お子さんの存在そのものを無条件に肯定する言葉が、心の安全基地となります。
プレッシャーを与えない質問の仕方
「なぜ?」「どうして?」という詰問口調ではなく、「もしよかったら」というクッション言葉を使い、子供が答えやすいオープンな質問を心がけましょう。
外部の専門家や公的な相談窓口一覧

親だけで悩みを抱え込む必要はありません。行き詰まった時は、外部の専門家の力を借りることも非常に重要です。
学校内のスクールカウンセラー
学校生活に関する悩みを、心理の専門家に気軽に相談できる最初の窓口です。
多くの小中学校に配置されており、生徒本人だけでなく保護者の相談にも応じてくれます。まずは担任の先生や保健室の先生に問い合わせてみましょう。
教育支援センター(適応指導教室)
不登校の子供たちが、学校復帰や社会的自立を目指して通う公的な施設です。
各自治体の教育委員会が運営しており、学習支援やカウンセリング、体験活動などを行いながら、自分のペースで過ごせる「居場所」を提供しています。
小児科・児童精神科などの医療機関
腹痛や頭痛、気分の落ち込みなど、心身に症状が出ている場合は、医療機関への相談も検討しましょう。
起立性調節障害や発達障害などが背景に隠れている可能性もあります。専門医の診察を受けることで、適切な対処法が見つかることがあります。
民間のフリースクールやNPO法人
公的な機関以外にも、多様な学びの場を提供する民間のフリースクールや、不登校の子供と親を支援するNPO法人が全国にあります。
子供の興味や特性に合った居場所が見つかるかもしれません。インターネットで「〇〇(お住まいの地域名) フリースクール」などと検索してみるのも一つの方法です。
学校以外にも、お子さんが安心して過ごせる学びの場はあります。フリースクールの特徴や選び方を事前に知っておくことで、お子さんに合った環境を見つけやすくなります。
まとめ
今回は、学校に行かない子供の心理と、その原因や親の対応について解説しました。
お子さんが学校に行きたがらないのは、心が「休みたい」と発しているSOSサインです。一番大切なのは、お子さんが安心してエネルギーを充電できる居場所を家庭の中に作ってあげること。
そして、どうか親御さん自身も一人で抱え込みすぎないでください。この記事が、不安な気持ちを抱えるあなたの心を少しでも軽くし、お子さんと向き合うためのヒントになれば幸いです。
学研WILL学園では、不登校経験のあるお子さんや、学校生活・人間関係・学習面に不安を抱えるご家庭に寄り添い、今の状態に合った学び方や居場所を一緒に考えています。
今のお子さんに合った学び方や居場所について悩まれている方は、まずは一度ご相談ください。
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