
「学校に行きたいと言っているのに、朝になると起きられない」
「夜になると元気なのに、朝は何度起こしても起きられない」
「昼夜逆転が続き、このまま不登校が長引くのではないか心配」
このように、子どもが朝起きれない状態に悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。
朝起きれないと、周囲から「夜更かししているから」「怠けているのでは」と思われることがあります。
しかし、朝起きられない背景には、単純な睡眠不足だけでなく、睡眠・覚醒リズムの問題、起立性調節障害(OD)、不安や抑うつなど、心身の状態が関係している場合もあります。
厚生労働省も、子どものSOSサインとして「朝起きられない」「睡眠のリズムが崩れている」「朝に頭痛や腹痛を訴える」といった変化を挙げています。
そのため、生活習慣だけを原因と決めつけず、「なぜ今、朝起きることが難しくなっているのか」を心と身体の両面から考えることが大切です。
この記事では、不登校の子どもが朝起きれないときに考えられる原因、医療機関への相談を検討する目安、家庭でできる対応、学校や学び方について解説します。
不登校の子どもが朝起きれないのは「怠け」とは限らない
朝起きられない状態が続くと、
「夜更かししているから」
「本人に学校へ行く気がないから」
「もっと早く寝れば起きられるはず」
と考えてしまうことがあります。
もちろん、睡眠不足や生活リズムの乱れが影響している場合もあります。
一方で、朝起きられない背景には、睡眠の問題、起立性調節障害(OD)、不安や抑うつなど、心身の状態が関係していることもあります。
そのため、
「朝起きれない=本人のやる気や自己管理の問題」
と決めつけることは避けましょう。
まずは本人を責めず、睡眠の状態や身体症状、心理的な負担などを確認することが大切です。
不登校の子どもが朝起きれない主な原因
睡眠不足や生活リズムの変化
朝起きられない原因として、睡眠時間そのものが不足している場合があります。
勉強や部活動、習い事、夜間のスマートフォンやゲームなどによって就寝時刻が遅くなり、必要な睡眠時間を確保できていないこともあります。
ただし、
「スマホやゲームをしているから朝起きれない」
と最初から決めつけることは避けましょう。
不安や身体的不調などによって「眠りたくても眠れない」状態になり、その結果として夜にスマートフォンなどを使用している場合もあります。
行動だけを見るのではなく、睡眠不足の背景まで確認することが大切です。
睡眠・覚醒相後退障害などの睡眠の問題
生活習慣を整えようとしても、夜になかなか眠れず、朝どうしても起きられない場合には、睡眠障害が関係している可能性もあります。
例えば「睡眠・覚醒相後退障害」では、体内時計が後ろにずれ、社会生活で求められる時間帯に眠ったり起きたりすることが難しくなります。
単なる「夜型生活」とは異なり、本人が早く寝ようとしても眠れなかったり、重要な予定があっても朝起きられなかったりする場合があります。
このような状態が長く続き、学校生活や日常生活に大きな支障が出ている場合には、医療機関への相談を検討しましょう。
起立性調節障害(OD)
起立性調節障害(OD)は、思春期にみられやすい、自律神経の働きが関係する身体の病気です。
主に、
・朝起きられない
・頭痛
・立ちくらみ、めまい
・強い倦怠感
・午前中に調子が悪く、午後に改善する
などの症状がみられることがあります。
本人の意思だけで症状をコントロールできるものではありません。
そのため、「怠け」「気持ちの問題」などと決めつけないことが大切です。
ただし、「朝起きれない=OD」とは限りません。
似た症状を示す別の病気が隠れている場合もあるため、症状が続く場合には小児科などの医療機関へ相談しましょう。
不安や抑うつなど心の不調
学校や友人関係、勉強、進路などへの強い不安やストレスがある場合、睡眠や朝の体調に変化が表れることがあります。
例えば、
・夜眠れない
・朝起きられない
・頭痛や腹痛
・食欲の変化
・気分の落ち込み
などがみられることがあります。
「学校へ行く時間だけ体調が悪いから仮病」
などと決めつけず、症状が続いている場合や、以前できていたことができなくなっている場合には専門家への相談を検討しましょう。
発達特性など、複数の状態が重なっている場合もある
朝起きられない原因は、一つだけとは限りません。
ASDやADHDなどの発達特性がある場合に、睡眠の問題や不安、身体の不調などが重なっていることもあります。
ただし、発達特性があるから朝起きられない、という意味ではありません。
また、朝起きられないという症状だけから発達特性を判断することもできません。
複数の要因が考えられる場合には、家庭だけで原因を決めつけず、必要に応じて医療機関などへ相談しましょう。
朝起きれないときに医療機関への相談を検討する目安
朝起きられない子ども全員が、すぐに医療機関を受診しなければならないわけではありません。
一方、生活上の工夫をしても改善しない場合や、学校・日常生活への支障が大きい場合には、家庭だけで対応せず医療機関への相談を検討しましょう。
医療機関への相談を検討したい状態
朝起きられない子ども全員が、すぐに医療機関を受診しなければならないわけではありません。
一方で、
・頭痛、腹痛、めまい、強い倦怠感などの身体症状が続いている
・朝起きられない状態や睡眠リズムの乱れが長く続いている
・学校や日常生活への支障が大きい
・強い不安や気分の落ち込みがある
・生活上の工夫をしても状態が改善しない
といった場合には、家庭だけで対応せず、医療機関への相談を検討しましょう。
医療機関では、身体的な病気が隠れていないかを確認したり、睡眠や心理状態などを含めて現在の状態を整理したりすることができます。
どこに相談すればよい?
朝起きられないことに頭痛、腹痛、めまいなどの身体症状が伴う場合には、まず小児科やかかりつけ医などへ相談する方法があります。
睡眠の問題が強い場合や、強い不安・気分の落ち込みなどがみられる場合には、症状に応じて専門の医療機関へつながることもあります。
どこへ相談すればよいかわからない場合には、まずかかりつけ医などに相談し、必要に応じて専門機関を案内してもらう方法もあります。
不登校で朝起きれない子どもに家庭でできる対策
まず本人を責めず、現在の状態を確認する
最初に大切なのは、
「朝起きなさい」
「学校へ行きなさい」
と繰り返すことではなく、本人がどのような状態なのかを確認することです。
朝起きられない状態は本人自身にとってもつらく、
「また今日も起きられなかった」
「自分はだめだ」
と自責感を抱えている場合があります。
まずは、
- 何時ごろ眠れているのか
- 睡眠時間はどのくらいか
- 朝に頭痛やめまいなどがないか
- 午後になると状態が変わるか
- 学校について強い不安がないか
などを確認してみましょう。
睡眠時間と生活リズムを確認する
睡眠不足がある場合には、必要な睡眠時間を確保することが基本です。
毎日大きく違う時間に寝たり起きたりする生活が続いている場合には、できる範囲からリズムを整えていきましょう。
ただし、不登校で心身が疲れている状態の子どもに対して、
「明日から必ず7時に起きる」
など、急激な生活改善を求めることが負担になる場合もあります。
本人の状態に合わせ、無理のない範囲で調整していくことが大切です。
朝の光を取り入れ、夜のスマホ・ゲームとの付き合い方を見直す
朝の光は体内時計を整えるうえで重要です。
起きられるようになってきた場合には、朝にカーテンを開けて自然光を取り入れるなど、無理のない範囲で朝の光を浴びる習慣をつくりましょう。
スマートフォンやゲームについても、
「全部禁止すれば治る」
と考えるのではなく、就寝直前まで長時間使用している場合には、本人と相談しながら夜の使い方を見直していきましょう。
ODなどがある場合は医師の指導のもとで生活上の工夫を行う
ODと診断された場合には、医師の指導のもと、
- 水分・塩分摂取
- ゆっくり立ち上がる
- 長時間立ち続けることを避ける
- 無理のない運動
- 生活リズムの調整
などの非薬物療法を行うことがあります。
自己判断で摂取量を増やすのではなく、医師の指導に従ってください。
家庭でのケアは重要ですが、必要な医療評価・治療の代わりになるものではありません。
無理な登校や「朝起きること」だけを目標にしない
朝起きられない状態が続くと、
「まず朝起こさなければ」
「生活リズムを戻せば学校へ行けるはず」
と考えがちです。
しかし、本人が心身ともに疲れている場合には、朝起きることだけを目標にして毎日強く起こすことが、本人へのプレッシャーになることもあります。
ODについても、日本小児心身医学会は「身体がつらいのに登校しなければならないという圧迫感」が症状悪化につながる例を挙げています。
「何時に起きられたか」だけを見るのではなく、
- 睡眠が取れているか
- 食事が取れているか
- 体調はどうか
- 家庭で安心して過ごせているか
など、本人全体の状態を見ていきましょう。
朝起きれず不登校が続くとき、学校や学びはどうする?
学校と本人の状態を共有する
朝起きられない状態によって欠席や遅刻が続いている場合には、学校とも状況を共有しましょう。
本人の状態によっては、
・午後から登校する
・別室を利用する
・課題や学習方法を調整する
などについて相談できる場合があります。
医療機関に相談している場合には、本人の状態について学校と共有できる範囲を確認しながら、必要な配慮について話し合いましょう。
元の学校への毎日登校だけをゴールにしない
不登校支援では、元の学校へ毎日登校できるようになることだけを唯一の目標にする必要はありません。
文部科学省も、登校という結果だけを目標にするのではなく、本人が自らの進路を主体的に捉え、社会的自立を目指すことが重要としています。
まずは心身の状態を整え、「今なら何ができそうか」を本人と一緒に考えていきましょう。
フリースクールなど学校以外の環境も選択肢になる
朝の体調や生活リズムの問題から毎日の登校が難しい場合には、フリースクールなど学校以外の環境を検討する方法もあります。
フリースクールでは、通学頻度を調整したり、午後から参加したり、少人数の環境で学習や人とのつながりを持ったりできる場合があります。
ただし、フリースクールは医療機関ではなく、利用すること自体が病気の治療になるわけではありません。
本人の状態に合わせた学び方や居場所を考える選択肢の一つとして検討しましょう。
まとめ
不登校の子どもが朝起きれない背景には、
・睡眠不足や生活リズムの変化
・睡眠の問題
・起立性調節障害(OD)
・不安や抑うつなど心の不調
・複数の心身の状態
などが関係している場合があります。
「スマホの使いすぎ」「怠け」「本人の気持ちの問題」などと、一つの原因だけで決めつけないことが大切です。
まずは本人の心身の状態を確認し、症状が続いている場合や日常生活への支障が大きい場合には、医療機関への相談を検討しましょう。
そのうえで、睡眠や生活リズムを整える工夫、家庭で安心して過ごせる環境づくり、学校との調整などを本人の状態に合わせて行っていきます。
また、元の学校への毎日登校だけが唯一の選択肢ではありません。
必要に応じて学校や医療機関、相談機関、フリースクールなどを頼りながら、本人のペースに合った学び方や過ごし方を考えていきましょう。
学研WILL学園では、朝の登校が難しい場合なども含め、お子さんの現在の状態に合わせた通い方や学び方について相談できます。
今のお子さんに合った学び方や居場所について悩まれている方は、まずは一度ご相談ください。