「うちの子は忘れ物が多い」「さっき伝えたことをすぐに忘れてしまう」「勉強しているのに、なかなか覚えられない」と悩んでいませんか?
小学生になると、授業で覚える内容が増えるだけでなく、持ち物の管理や宿題など、自分で考えて行動する場面も多くなります。そのため、お子さんの記憶力に不安を感じる保護者の方も少なくありません。
小学生の記憶力を支えるには、記憶トレーニングだけに頼るのではなく、遊びや学習方法、睡眠、覚える負担を減らす工夫などを組み合わせることが大切です。
こうした困りごとの背景には、情報を一時的に覚えて処理する「ワーキングメモリ」という脳の働きが関係している場合があります。ただし、忘れ物や勉強の苦手さは、記憶力だけで決まるものではありません。子どもの特性や生活環境に合わせたサポートも大切です。
この記事では、小学生の記憶力に関わるワーキングメモリの仕組みから、家庭で楽しく取り組める遊び、おすすめの習い事、日常生活での工夫まで詳しく解説します。
また、不登校や学習面に不安を抱えるお子さんが、無理なく学びを続けるための方法についても紹介します。
小学生の記憶力を上げるために知っておきたいワーキングメモリ

小学生の記憶力を考えるうえで知っておきたいのが、ワーキングメモリ(作業記憶)という脳の機能です。
ワーキングメモリは、情報を一時的に覚えるだけでなく、その情報を使って考えたり、判断したりするときに働きます。
算数の計算や文章の読解、先生の指示を聞いて行動する場面など、学校生活のさまざまな活動に関わっています。
ワーキングメモリと一般的な記憶力の違い
記憶力にはいくつかの種類があり、ワーキングメモリはその一つです。
例えば、昨日の夕食や以前に習った漢字を思い出すことには、長期記憶が関わっています。一方、聞いた数字を一時的に覚えながら計算する場面では、ワーキングメモリが重要な役割を果たします。
ワーキングメモリは、よく「脳の作業机」に例えられます。
机の上に一度に置ける物の数に限りがあるように、私たちが一時的に保持しながら処理できる情報量にも限界があります。
例えば、「ランドセルを片付けて、手を洗ってから、宿題を出してね」と複数の指示を受けた場合、途中で何をするのか忘れてしまうことがあります。
これは、必ずしも話を聞いていなかったからではありません。一度に覚えて処理する情報が多すぎた可能性も考えられます。
ワーキングメモリは幼児期から発達し、小学生の時期にも成長していきます。ただし、発達のペースには個人差があるため、ほかの子どもと比較する必要はありません。
ワーキングメモリの詳しい仕組みや、日常生活での困りごとについては、以下の記事も参考にしてください。
忘れ物や勉強で困る原因は記憶力だけではない
ワーキングメモリの働きに負担がかかると、学習や日常生活で次のような困りごとが生じる場合があります。
ただし、これらの行動が見られるからといって、ワーキングメモリに問題があるとは限りません。
睡眠不足や疲労、注意の向けにくさ、不安やストレス、周囲の環境など、さまざまな要因が関係することもあります。
特に、学校生活に不安を感じているお子さんの場合、緊張や疲れによって勉強に集中しにくくなることも考えられます。
そのため、記憶力だけを改善しようとするのではなく、お子さんがどのような場面で困っているのかを把握することが大切です。
計算ミスや問題の読み間違いが多い場合は、以下の記事も参考になります。
小学生が家庭で楽しめる記憶力トレーニング

小学生が記憶力を使う経験を増やすには、家庭で楽しめる遊びを取り入れるのも一つの方法です。
特別な教材を用意しなくても、数字や言葉、トランプなど、身近なものを使って取り組めます。
ただし、ワーキングメモリを使う遊びを繰り返したからといって、記憶力や学力が必ず向上するわけではありません。
大切なのは、子どもが楽しみながら情報を覚えたり、考えたりする経験を積むことです。
数字を覚えて答える数唱・逆唱
数唱(すうしょう)と逆唱(ぎゃくしょう)は、数字を使った簡単な記憶遊びです。
どちらも道具を必要とせず、家庭で気軽に取り組めます。
数唱の遊び方
保護者が読み上げた数字を、お子さんが同じ順番で繰り返します。
例えば、保護者が「5・2・8」と言ったら、お子さんも「5・2・8」と答えます。
最初は2〜3個の数字から始め、慣れてきたら少しずつ増やしてみましょう。
逆唱の遊び方
逆唱では、聞いた数字を反対の順番で答えます。
例えば、保護者が「1・4・9」と言ったら、お子さんは「9・4・1」と答えます。
逆唱は、数字を覚えながら順番を入れ替える必要があるため、ワーキングメモリを使う活動になります。
ただし、難しい問題を無理に続ける必要はありません。正解できるかどうかだけでなく、親子で楽しめているかを大切にしましょう。
トランプを使った神経衰弱
トランプの神経衰弱も、記憶を使いながら楽しめる遊びです。
裏返したカードを2枚ずつめくり、同じ数字の組み合わせを探します。
一度めくったカードの数字や位置を覚えておく必要があるため、視覚的な情報を覚える経験につながります。
最初から多くのカードを使うと難しく感じるお子さんもいるため、少ない枚数から始めるとよいでしょう。
例えば、最初は4組8枚程度にして、慣れてきたら少しずつ増やす方法があります。
また、保護者が一緒に参加することで、遊びながらコミュニケーションを取る機会にもなります。
「覚えられた」「できた」という達成感を大切にすることが、楽しく続けるポイントです。
言葉を覚える記憶しりとり
しりとりは、言葉を考えながら前の言葉を覚えておく遊びです。
通常のしりとりにルールを追加することで、少し違った楽しみ方ができます。
3文字しりとり
「3文字の言葉だけを使う」というルールでしりとりを行います。
例えば、「りんご」→「ごりら」→「らっぱ」のようにつなげます。
言葉を思い出すだけでなく、文字数という条件も意識する必要があります。
記憶しりとり
前の人が言った言葉をすべて繰り返してから、新しい言葉を付け加える遊びです。
例えば、次のように進めます。
言葉が増えるほど覚える内容も多くなるため、難易度が上がっていきます。
覚えられなくなった場合は、最初からやり直すのではなく、ヒントを出したり、言葉の数を減らしたりしても構いません。
記憶力を試すことだけを目的にせず、親子で笑いながら楽しめる遊びとして取り入れましょう。
記憶力を使うおすすめの習い事3選

小学生の習い事には、記憶力や集中力を使う活動が数多くあります。
なかでも、そろばん・ピアノ・将棋は、覚えた情報を使って考えたり、次の行動を判断したりする機会がある習い事です。
ただし、これらの習い事を始めれば、必ず記憶力や学力が向上するというわけではありません。
習い事を選ぶ際は、記憶力への効果だけでなく、お子さん自身が興味を持ち、無理なく続けられるかどうかを重視しましょう。
そろばん|数字を覚えながら計算する
そろばんは、数字を扱いながら計算する習い事です。
珠を動かして計算するだけでなく、慣れてくると頭の中にそろばんをイメージする「珠算式暗算」に取り組むこともあります。
計算の途中では、数字を一時的に覚えながら処理する場面があるため、ワーキングメモリを使う機会があります。
また、問題を一つずつ解いていくため、計算が好きなお子さんや、正解できた達成感を楽しめるお子さんに向いています。
一方で、数字を扱うこと自体に苦手意識がある場合は、負担にならないよう配慮が必要です。
最初は体験教室などで、お子さんの反応を確認するとよいでしょう。
ピアノ|楽譜と指の動きを結びつける
ピアノは、楽譜を読みながら指を動かし、音やリズムを覚えて演奏する習い事です。
演奏中には、次に弾く音を意識したり、左右の手の動きを調整したりする場面があります。
このように、複数の情報を同時に扱う経験ができることが特徴です。
また、好きな曲を弾けるようになることで、達成感を得られることもあります。
ただし、楽譜を読むことや毎日の練習が負担になるお子さんもいます。
そのため、最初から上達を求めすぎず、好きな曲や簡単なメロディーを楽しむことから始めるのがおすすめです。
将棋|先を予測して考える
将棋は、駒の動かし方を覚え、相手の行動を予測しながら進めるゲームです。
対局中には、自分と相手の駒の位置を確認し、「次にどう動かすか」を考える必要があります。
さらに、相手の指し手を予測する場面では、複数の可能性を頭の中で考えることもあります。
こうした活動には、ワーキングメモリだけでなく、注意力や論理的に考える力など、さまざまな認知機能が関わっています。
将棋は、対戦相手と会話を楽しんだり、一人で詰将棋に挑戦したりできることも魅力です。
まずは簡単なルールから覚え、お子さんの興味に合わせて取り組むとよいでしょう。
なお、習い事は必ずしも教室に通う必要はありません。自宅で楽しめる活動から始めることもできます。
特に不登校のお子さんの場合は、集団での活動が負担になることもあるため、本人の希望や体調に合わせて選ぶことが大切です。
不登校のお子さんに合った習い事の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
小学生の学年別に取り入れたい記憶力サポート

小学生の記憶力を支えるには、年齢や発達段階に合わせた取り組みが大切です。
低学年では遊びを通じて覚える経験を増やし、学年が上がるにつれて、情報を整理したり、必要なことを自分で確認したりする工夫も取り入れていきましょう。
ただし、発達のペースには個人差があるため、学年だけで方法を決める必要はありません。
低学年|遊びを通じて覚える経験を増やす
小学1〜2年生では、遊びの中で楽しく覚える経験を増やすことがおすすめです。
例えば、「何がなくなった?」ゲームがあります。
机の上にいくつかのおもちゃを並べ、お子さんが目を閉じている間に一つだけ隠します。その後、何がなくなったのかを当ててもらいます。
また、絵本を読み聞かせた後に「主人公はどこへ行ったかな?」と話し合うのもよいでしょう。
ただし、質問ばかりすると負担になることもあるため、お子さんが話したいことを自由に話せるようにすることが大切です。
遊びの中で正解することよりも、覚えたことを思い出したり、自分の言葉で伝えたりする経験を大切にしましょう。
中学年|覚える内容を整理する習慣をつける
小学3〜4年生になると、学習内容が増え、複数の情報を整理しながら考える場面が多くなります。
この時期には、覚える内容を分けたり、図や表を使って整理したりする方法が役立ちます。
例えば、漢字を覚える際には、書き取りだけでなく、部首や意味を確認する方法があります。
理科や社会では、学習した内容を簡単な図にまとめたり、保護者に説明したりするのもよいでしょう。
また、宿題を始める前に「今日は何をするか」を短いリストに書き出すことで、やるべきことを確認しやすくなります。
一度にすべてを覚えようとせず、情報を整理しながら取り組む習慣をつけましょう。
高学年|メモや学習計画を活用する
小学5〜6年生では、学習内容がさらに複雑になり、複数の課題や予定を管理する機会も増えてきます。
この時期には、記憶力だけに頼らず、メモや学習計画を活用する方法がおすすめです。
例えば、次のような工夫があります。
覚えるべき情報をすべて頭の中に留めておこうとすると、負担が大きくなる場合があります。
外部のツールを活用して覚える負担を減らすことも、大切な学習方法の一つです。
自分に合った方法を少しずつ見つけられるよう、保護者が一緒に工夫していくとよいでしょう。
記憶力に不安がある子どもへの接し方と生活習慣

お子さんの忘れ物や学習のミスが続くと、つい「どうして覚えられないの?」「何度も言ったでしょう」と注意したくなることもあるでしょう。
しかし、忘れてしまう原因は、本人のやる気や努力だけで説明できるものではありません。
記憶力を高めようとするだけでなく、覚えておく必要のある情報を減らし、安心して行動できる環境を整えることも重要です。
指示を一つずつ分かりやすく伝える
複数の指示を一度に伝えると、途中で何をすればよいのか分からなくなってしまうお子さんもいます。
そのような場合は、指示を短く区切り、一つずつ伝える方法がおすすめです。
例えば、「ランドセルを片付けて、手を洗って、宿題を出してね」とまとめて伝えるのではなく、まずは「ランドセルを片付けよう」と声をかけます。
それが終わったら、「次は手を洗おう」と伝えるようにします。
また、言葉だけでは分かりにくい場合は、イラストや写真を使って伝える方法もあります。
指示を忘れてしまったときも、叱るのではなく「次は何をするんだったかな?」と一緒に確認してみましょう。
できたことを具体的に認めることで、お子さんが自信を持って取り組みやすくなります。
チェックリストで忘れ物を防ぐ
忘れ物が多い場合は、必要な持ち物を目で確認できるチェックリストが役立ちます。
例えば、玄関やランドセル置き場に、持ち物リストを貼っておく方法があります。
低学年のお子さんには、文字だけでなくイラストや写真を使うと分かりやすくなります。
| 確認するもの | チェック |
| 筆箱 | □ |
| 教科書・ノート | □ |
| 連絡帳 | □ |
| ハンカチ・ティッシュ | □ |
| その日に必要な特別な持ち物 | □ |
最初は保護者と一緒に確認し、慣れてきたら本人が使いやすい方法に調整するとよいでしょう。
チェックリストは、記憶力を無理に鍛えるためのものではありません。
覚えておく負担を減らし、子どもが自分で行動しやすくするための道具です。
また、学習面でも、重要な情報をメモしたり、図で整理したりする工夫が役立ちます。
ノートの取り方に困っている場合は、以下の記事も参考にしてください。
十分な睡眠と休息を確保する
記憶力や集中力を支えるうえで、睡眠も大切な要素です。
睡眠は、日中に学んだ情報の整理や記憶の定着に関わっています。
米国睡眠医学会では、6〜12歳の子どもに対して、1日9〜12時間の睡眠を推奨しています。
ただし、必要な睡眠時間には個人差があるため、時間だけでなく、日中の眠気や体調にも目を向けることが大切です。
また、疲れているときや気持ちが落ち着かないときは、無理に学習を進めず、休息を優先することも必要です。
特に、学校生活への不安やストレスを感じているお子さんの場合は、生活リズムを一方的に押し付けるのではなく、本人の状態に合わせて整えていきましょう。
不登校や学習に不安がある小学生への記憶力サポート

不登校のお子さんや、学校の勉強に苦手意識があるお子さんの場合、記憶力の問題だけでなく、学習への不安や精神的な負担が重なっていることもあります。
「授業についていけない」「覚えることが多くて疲れる」といった経験が続くと、勉強そのものに抵抗を感じるようになる場合もあるでしょう。
そのようなときは、記憶力を鍛えることだけを目標にせず、お子さんが安心して学べる方法を考えることが大切です。
学校に通えていないときも家庭でできる学習の工夫
不登校によって学校の授業を受けられない期間があっても、学ぶ機会がなくなるわけではありません。
家庭でも、お子さんの興味や体調に合わせて、さまざまな学習活動に取り組めます。
例えば、次のような方法があります。
これらの活動は、記憶力そのものを必ず向上させるわけではありませんが、覚えた情報を使ったり、自分で考えたりする経験につながります。
ただし、家庭での活動をすべて学習やトレーニングに結びつける必要はありません。
お子さんが好きなことを楽しみ、安心して過ごせる時間も大切です。
学校の進度に無理に合わせようとせず、本人の気持ちを尊重しながら、少しずつ学習への関心を育んでいきましょう。
記憶力だけでなく安心して学べる環境を整える
記憶力や集中力に不安があるお子さんにとって、学習環境は重要です。
例えば、大人数の授業では周囲の音や動きが気になり、先生の説明に集中しにくいお子さんもいます。
また、授業のスピードが速いと、説明を理解する前に次の内容へ進んでしまい、勉強への苦手意識が強くなる場合もあります。
そのようなときは、次のような環境の工夫が考えられます。
特に不登校のお子さんの場合は、勉強を進めることだけでなく、安心して過ごせる居場所を確保することも大切です。
家庭での学習だけでは難しいと感じる場合は、学校の先生やスクールカウンセラー、教育支援センターなどに相談する方法もあります。
また、フリースクールなど、学校以外の学びの場を検討することも選択肢の一つです。
お子さんが安心できる環境の中で、自分に合った学習方法を見つけられるよう、焦らず支えていきましょう。
まとめ
小学生の記憶力を支えるには、ワーキングメモリの働きを理解するとともに、お子さんの特性や成長段階に合わせた工夫を取り入れることが大切です。
今回紹介したポイントを振り返ってみましょう。
記憶力には個人差があり、トレーニングだけで学習面の困りごとがすべて解決するわけではありません。
大切なのは、できないことを繰り返し指摘するのではなく、お子さんがどのような場面で困っているのかを理解し、その子に合った方法を一緒に見つけることです。
また、学習のつまずきから学校生活に不安を感じている場合や、不登校によって勉強に取り組むことが難しくなっている場合は、学習を急がせるよりも、安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
学校以外にもさまざまな学びの選択肢があります。お子さんの気持ちを尊重しながら、無理なく学習を続けられる環境を考えていきましょう。
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