「中学校の卒業が近づいてきたけど、うちの子の進路はどうすれば…?」 「特別支援学校の高等部って聞くけど、どんなところなんだろう?」
障害のあるお子さんを持つ保護者の方にとって、高校進学は大きな関心事であり、同時に不安も大きいテーマですよね。特に、地域の公立中学校の特別支援学級に在籍しているお子さんの場合、その先の選択肢について具体的な情報が少なく、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな保護者の方々の不安や疑問に寄り添い、「特別支援学校の高等部」について、目的や学習内容といった基本から、入学条件、入試、高校の特別支援学級との違いまで、網羅的に解説します。
この記事を読めば、お子さんにとって最適な進路を見つけるための、確かな一歩を踏み出すことができます。
特別支援学校の高等部とは

まず、特別支援学校の高等部がどのような場所なのか、基本的なところから確認していきましょう。かつては「養護学校」や「ろう学校」「盲学校」と呼ばれていましたが、現在は「特別支援学校」という名称に統一されています。
目的と対象となる生徒
特別支援学校の高等部の最も大きな目的は、障害のある生徒一人ひとりが、卒業後に自立し、豊かに社会参加できる力を育むことです。
対象となるのは、中学校を卒業した、または卒業見込みの生徒で、以下のような障害のある方が主に学んでいます。
学校全体が、こうした障害のある生徒のために施設・設備や教育課程が専門的に設計されているのが大きな特徴です。
学習内容と設置されている学科
学習内容は、大きく分けて3つの柱で構成されています。
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各教科の学習
国語、数学、社会、理科、英語といった、高等学校に準じた内容を学びます。ただし、生徒一人ひとりの学習のペースや理解度に合わせて、分かりやすく工夫された指導が行われます。
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専門教科
卒業後の職業生活や社会生活に直結する知識・スキルを学びます。学校によって「流通・サービス科」「福祉科」「工業科」「農業科」など、多様な専門学科が設置されています。
自立活動
自立活動とは、生徒が障害による学習上または生活上の困難を主体的・積極的に改善・克服するために行われる、特別支援学校ならではの指導です。コミュニケーションスキル、身体の動かし方、健康管理、人間関係の形成など、個々の課題に応じたプログラムが組まれます。
学科は、これらの学習をどのように組み合わせるかによって分かれています。高等学校の普通科に相当する「普通科」を設置している学校もあれば、職業教育に特化した「専門学科(職業科)」のみを設置している学校もあります。
卒業後の主な進路(就職・進学)
高等部卒業後の進路は、企業などへの就職が最も一般的です。多くの学校では、在学中からハローワークや地域の支援機関と連携し、生徒の適性や希望に合わせた職場実習や就職支援を積極的に行っています。
文部科学省の調査によると、最新年度の特別支援学校高等部卒業者のうち、約31.5%が一般就職しています。 (参考:文部科学省)
そのほか、以下のような多様な進路があります。
学校ごとに進路実績は異なりますので、学校見学などの際に確認してみるのがおすすめです。
大学進学や就職など卒業後の進路を考える際には、実際の就職率や進学実績、卒業生の体験談も参考になります。詳しくはこちらをご覧ください。
高校の特別支援学級との違い

「高校にも特別支援学級があるって聞いたけど、何が違うの?」という疑問もよく聞かれます。ここでは、特別支援学校高等部と、高等学校に設置されている「特別支援学級」との違いを明確にしていきましょう。
設置目的・在籍形態・教育課程の違い
両者は似ているようで、その目的や仕組みが大きく異なります。
| 比較項目 | 特別支援学校(高等部) | 高等学校の特別支援学級 |
|---|---|---|
| 設置目的 | 障害のある生徒に対し、専門的な教育を行うための学校 | 高等学校の中に、障害のある生徒のための少人数クラスを設置 |
| 在籍形態 | 在籍は「特別支援学校」 | 在籍は「高等学校」 |
| 教員 | 特別支援学校教諭免許状を持つ教員が中心 | 高等学校教諭免許状を持つ教員が中心(特別支援の専門性を持つ教員も配置) |
| 教育課程 | 学校全体が障害に特化した専門的なカリキュラム | 基本は高等学校のカリキュラム。一部、自立活動などを取り入れる |
| クラス編成 | 少人数のクラス編成 | 少人数のクラス編成。一部の授業や学校行事は通常の学級の生徒と交流 |
| 施設・設備 | バリアフリーなど、障害に配慮した専門的な設備が整っている | 学校全体の設備は一般の高校と同じ。学級内に一部配慮がある場合も |
簡単に言うと、学校全体が専門的な支援体制を整えているのが特別支援学校、一般の高校の中で特別な支援を受けられるのが特別支援学級、と考えると分かりやすいでしょう。
高等支援学校・高等養護学校との違い
「高等支援学校」や「高等養護学校」という名前を聞いたことがあるかもしれません。これらは、基本的には特別支援学校と同じと考えて問題ありません。
どちらも法律上は「特別支援学校」に分類されます。お住まいの自治体によって呼称が異なる場合がある、と理解しておきましょう。
特別支援学校と養護学校との違いなどを詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
どちらを選ぶ?判断のポイント
お子さんにとってどちらが合っているか、判断に迷いますよね。以下のポイントを参考に、お子さんの特性や希望を考慮して検討してみてください。
最終的には、学校見学や教育相談を通じて、実際の雰囲気や教育内容を確かめ、お子さんに最も合う環境を選ぶことが重要です。
特に発達障害のあるお子さんの場合は、特別支援学校への入学条件や、希望しても入学できないケースについて事前に理解しておくことも大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
入学までの流れと入学条件

「うちの子も特別支援学校に入れるのかな?」「どうやって手続きするの?」という方のために、入学までの具体的なステップと条件を解説します。
教育相談から入学までの6ステップ
一般的に、中学校3年生の1年間をかけて、以下のような流れで進路を決定していきます。
- 情報収集・学校見学(中2後半~中3夏)
まずは、お住まいの地域の教育委員会のウェブサイトや、各学校のホームページで情報を集めましょう。夏休みなどを利用して、気になる学校の見学会や説明会に積極的に参加します。 - 教育相談(中3夏~秋)
地域の教育委員会や教育センターで、専門の相談員にお子さんの状況や進路の希望を相談します。ここで、どの学校が適しているかなどの助言をもらえます。 - 就学先の検討・決定(中3秋~冬)
教育相談の結果や学校見学の印象をもとに、中学校の先生とも相談しながら、受験する学校を具体的に決めていきます。 - 出願(中3冬)
受験校が決定したら、中学校を通じて入学願書などの必要書類を提出します。 - 入学選考(入試)(中3 1月~2月)
指定された日時に、学校で入学選考を受けます。内容は学校によって異なります。 - 合格発表・入学手続き(中3 2月~3月)
合格発表後、指定された期間内に入学手続きを行います。
中学校の先生との連携が不可欠ですので、早い段階から進路について相談しておくことが大切です。
入学するための資格と条件
特別支援学校の高等部に入学するためには、一般的に以下の条件を満たす必要があります。
これらの条件は自治体や学校によって細かく定められています。必ず、お住まいの地域の教育委員会や志望校にご確認ください。
出願に必要な書類と手続き
出願時には、主に以下のような書類が必要となります。
必要な書類は募集要項に詳しく記載されています。書類の準備には時間がかかる場合もあるため、早めに確認し、中学校の先生と協力して進めましょう。
特別支援学校だけでなく、一般校で支援を受けながら学ぶ「インクルーシブ教育」という選択肢もあります。それぞれの教育の考え方や違いについて詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
入学選考(入試)の内容と対策

「入試って、どんなことをするの?」「勉強が苦手だけど大丈夫?」と心配な方も多いでしょう。特別支援学校の入学選考は、学力だけを測るものではありません。
学力検査・作業能力検査の内容例
入学選考は、主に「学力検査」「作業能力検査」「運動能力検査」「面接」などを組み合わせて行われます。
面接でよく聞かれる質問
面接は、保護者同伴で行われることがほとんどです。生徒本人と保護者、それぞれに質問されます。お子さんが自分の言葉で答えられるよう、事前に練習しておくと安心です。
【本人への質問例】
【保護者への質問例】
大切なのは、上手に話すことよりも、入学したいという意欲や気持ちを伝えることです。
入試問題・過去問の入手方法と対策
「過去問は手に入りますか?」という質問も多いですが、特別支援学校の入試問題は、原則として公開されていません。
しかし、諦める必要はありません。対策は可能です。
学校の種類と探し方

お子さんに合った学校を見つけるために、どのような種類の学校があり、どうやって探せばよいのかを知っておきましょう。
障害種別ごとの学校の種類と特徴
特別支援学校は、対象とする障害の種類によって分かれています。
- 知的障害特別支援学校
知的障害のある生徒が対象。社会自立に向けた生活単元学習や職業教育が中心。 - 肢体不自由特別支援学校
肢体不自由のある生徒が対象。バリアフリー設備が整い、理学療法士など専門スタッフによるリハビリテーションも行われる。 - 視覚特別支援学校(盲学校)
視覚障害のある生徒が対象。点字の読み書きや白杖を使った歩行訓練など、専門的な指導を行う。 - 聴覚特別支援学校(ろう学校)
聴覚障害のある生徒が対象。手話や口話、人工内耳の活用など、コミュニケーション手段に応じた指導を行う。 - 病弱・身体虚弱特別支援学校
慢性的な疾患などで長期の入院・療養が必要な生徒が対象。病院に併設されていることが多い。
近年では、複数の障害に対応する学校も増えています。
お住まいの地域の学校を探す方法
身近な学校を探すには、以下の方法が確実です。
【地域別】主要な特別支援学校一覧
ここでは、検索されることの多い東京都と千葉県の例と、全国の学校を探せるサイトをご紹介します。
東京都の特別支援学校(高等部)
東京都には、知的障害、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害など、多様な都立特別支援学校が設置されています。
より詳しい情報は、東京都教育委員会のウェブサイトで確認できます。 (参考:東京都教育委員会「都立特別支援学校」 https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/special_needs_school/ )
千葉県の特別支援学校(高等部)
千葉県にも、県内各地域に県立の特別支援学校が設置されています。
詳細は、千葉県教育委員会のウェブサイトをご覧ください。 (参考:千葉県教育委員会「県立特別支援学校のホームページ」https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shien/tokubetsushien/kenritsu/index.html )
全国の学校一覧(検索サイト)
全国の特別支援学校を探すには、文部科学省のサイトが便利です。
(参考:文部科学省「特別支援学校・特別支援学級等検索」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm )
特別支援学校高等部のよくある質問

最後に、保護者の方からよく寄せられる質問にお答えします。
学費や諸費用はどのくらい?
公立の特別支援学校の場合、授業料は「高等学校等就学支援金制度」により原則として無償です。
ただし、以下のような費用は別途必要となります。
世帯の所得に応じて、これらの費用を補助する「特別支援教育就学奨励費」という制度もありますので、入学が決まったら学校に相談してみましょう。
偏差値はある?学力の考え方
「特別支援学校に偏差値はありますか?」という質問もよくありますが、偏差値という指標は一切ありません。
入学選考は、生徒の学力をランク付けするためのものではなく、その学校の教育内容がお子さんの成長に合っているか、お子さんが安心して学校生活を送れるかを確認するためのものです。学力検査も、あくまで基礎的な力が身についているかを見るためのものですので、ご安心ください。
軽度の知的障害でも入学できる?
軽度の知的障害や、発達障害(グレーゾーン)のお子さんも入学は可能です。
ただし、最終的な入学の判断は、教育相談などを通じて教育委員会が行います。本人の支援ニーズと学校の教育内容が合っているかが最も重要です。場合によっては、高校の特別支援学級や、通級指導(※)のある高校の方が適していると判断されることもあります。
※通級指導:通常の学級に在籍しながら、一部の時間だけ別の教室で障害に応じた指導を受ける制度。
普通科ではどんなことを学ぶ?
特別支援学校の「普通科」は、高等学校の普通科と同じように、国語・数学・社会・理科・英語などの教科を学びます。
しかし、大きな違いは、生徒一人ひとりの実態に合わせて学習内容や進度が調整される点と、「自立活動」や職業教育に関する授業が組み込まれている点です。社会に出てから必要となる生活スキルやコミュニケーション能力を、3年間かけてじっくりと育んでいきます。
まとめ
今回は、特別支援学校の高等部について、基本的な情報から入学方法、よくある質問まで詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。
お子さんの進路選択は、ご家族にとって大きな決断です。不安や焦りを感じることもあるかもしれませんが、一人で抱え込まないでください。
まずは中学校の先生や、地域の教育委員会に相談することから始めてみましょう。専門家の力を借りながら、お子さんと一緒にじっくりと将来を考え、最適な道を見つけていきましょう。この記事が、そのための第一歩となれば幸いです。
学研WILL学園は、通信制高校のサポート校とフリースクールの機能をあわせ持つ学びの場として、不登校経験のあるお子さんや、学校生活・人間関係・学習面に不安を抱えるご家庭を支えています。
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