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通信制高校の学費無償化|支援金でいくら安くなるか解説

サポート校

「子どもが通信制高校に興味を持っているけど、学費がどれくらいかかるか心配…」 「国の支援で学費が無償化されるって聞いたけど、本当?」

中学生のお子さんの進路として通信制高校を考え始めたとき、多くの方が学費の不安を感じるのではないでしょうか。特に私立の通信制高校は、公立に比べて費用が高くなる傾向があるため、家計への負担が気になりますよね。

この記事では、そんな保護者の方の不安を解消するため、国の「高等学校等就学支援金」制度を利用して通信制高校の学費をどれだけ抑えられるのか、以下の点を中心に分かりやすく解説します。

  • 「学費無償化」の本当の意味
  • 支援金をもらえる世帯年収の具体的な目安
  • 公立と私立での支給額の違い
  • 支援金を利用した場合の学費シミュレーション

制度の仕組みを正しく理解し、家計の負担を減らしながらお子さんに合った進路選択をサポートしましょう。

通信制高校の学費無償化とは?

「通信制高校の学費が無償化される」と聞いて、入学金から授業料まですべてが無料になるイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、実際には国の制度を利用して「授業料」の負担が実質的になくなる、または大幅に軽減されることを指します。

まずは、その中心となる制度の基本を理解しておきましょう。

国の「高等学校等就学支援金」制度

通信制高校の学費負担を軽減する中心的な制度が、「高等学校等就学支援金」です。 これは、高校などに通う生徒のいる一定の所得要件を満たす世帯に対して、国が授業料の一部または全部を支援してくれる返済不要の制度です。通信制高校もこの制度の対象となっています。

この制度の目的は、家庭の経済状況にかかわらず、生徒が安心して学業に打ち込める環境を整えることです。

「学費無償化」は授業料が対象

重要なポイントは、就学支援金の対象となるのが原則として「授業料」のみであるという点です。 通信制高校に通うためには、授業料以外にも以下のような費用がかかります。

  • 入学金
  • 施設設備費
  • 教材費
  • スクーリング(通学)のための交通費や宿泊費
  • 課外活動費 など

これらの費用は支援金の対象外となるため、別途準備が必要です。「無償化」という言葉だけで判断せず、授業料以外の費用も考慮して全体の学費を把握しておくことが大切です。

通信制高校を検討する際は、学費だけでなく、学校の仕組みや選び方もあわせて理解しておくことが大切です。通信制高校の基礎知識については、以下の記事で詳しく解説しています。

対象となる学校と生徒の条件

就学支援金を利用するには、学校と生徒それぞれが以下の条件を満たす必要があります。

  • 対象となる学校

    • 高等学校(全日制、定時制、通信制)
    • 中等教育学校(後期課程)
    • 特別支援学校(高等部)
    • 高等専門学校(1~3学年)
    • 専修学校(高等課程)など
    • ※文部科学省が対象として指定している学校に限ります。
  • 対象となる生徒の条件

    • 日本国内に住所があること
    • 高校等に在学していること(休学していない)
    • 高校等を卒業または修了していないこと
    • 在学期間が通算で36か月(通信制など単位制の場合は48か月)を超えていないこと
    • 保護者等の所得が判定基準を満たしていること

支援金をもらえる世帯年収の目安

就学支援金がもらえるかどうか、また、いくらもらえるかを決める最も重要な要素が「世帯年収」です。ここでは、所得の基準について詳しく見ていきましょう。

年収約910万円未満が基準

就学支援金の対象となるのは、原則として保護者等(親権者全員)の合計年収が約910万円未満の世帯です。

ただし、この「年収約910万円」という金額は、両親の一方が働き、高校生1人、中学生1人の子どもがいる4人家族をモデルとした場合の目安です。実際の判定は、年収そのものではなく、市町村民税の「課税標準額」などを用いて計算されます。

そのため、家族構成や控除の状況によって、年収が910万円を超えていても対象になる場合や、逆に下回っていても対象外となる場合があります。

所得判定基準の計算方法をわかりやすく解説

正確な所得判定は、以下の計算式で行われます。

【計算式】 市町村民税の課税標準額 × 6% − 市町村民税の調整控除の額

この計算結果が30万4,200円未満であれば、支援金の対象となります。

「課税標準額や調整控除の額はどこで確認できるの?」 これらの金額は、毎年6月頃に勤務先から受け取る「住民税決定通知書」や、お住まいの市区町村で発行される「課税証明書」で確認できます。マイナンバーカードを使ってオンラインで申請・確認することも可能です。

【共働き・母子家庭】年収別シミュレーション

ご自身の世帯が対象になるか、気になりますよね。ここでは、共働き世帯と母子(父子)家庭のモデルケースで、支援金の対象となる年収の目安を見てみましょう。

共働き世帯の場合

共働きの場合は、両親2人の収入を合算して判定します。

家族構成父親の年収母親の年収世帯年収の目安判定
子ども1人(高校生)600万円450万円約1,050万円対象外の可能性が高い
子ども2人(高校生・中学生)500万円500万円約1,000万円対象外の可能性が高い
子ども2人(高校生・中学生)500万円400万円約900万円対象になる可能性が高い

※あくまで目安です。各種控除により変動します。

母子家庭・父子家庭の場合

母子家庭や父子家庭の場合、保護者1人の収入で判定されます。

家族構成保護者の年収世帯年収の目安判定
子ども1人(高校生)600万円約600万円対象になる可能性が高い
子ども2人(高校生・中学生)700万円約700万円対象になる可能性が高い

※あくまで目安です。各種控除により変動します。

支給額はいくら?公立・私立の違い

支給される支援金の額は、通う高校が公立か私立か、また世帯年収によって異なります。通信制高校は単位制が多いため、「1単位あたり」の支給額で定められています。

公立通信制高校の支給上限額

公立の通信制高校は、もともと授業料が安価に設定されています。

  • 支給額 1単位あたり336円(年間30単位履修の場合、10,080円)

公立通信制高校の授業料は1単位あたり300円~700円程度が多いため、就学支援金を利用することで授業料が実質無料になるケースがほとんどです。

私立通信制高校の支給上限額

私立の通信制高校は学校ごとに授業料が大きく異なりますが、支援金の上限額は国によって一律に定められています。

  • 支給額(基本) 1単位あたり4,812円(年間30単位履修の場合、144,360円)

これは、年収目安が約910万円未満の世帯に支給される基本額です。

年収590万円未満世帯は支給額が加算

さらに、家計への負担がより大きい世帯に対しては、支援が手厚くなっています。

  • 対象世帯 年収目安が約590万円未満の世帯
  • 支給額(加算後) 1単位あたり最大12,030円(年間30単位履修の場合、最大360,900円)

この加算支給により、私立の通信制高校でも授業料の大部分がカバーされ、実質無償化に近づくケースが多くなります。ただし、1単位あたりの授業料が12,030円を超える場合は、差額が自己負担となります。

(参考:文部科学省「高等学校等就学支援金制度」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm

支援金利用後の学費シミュレーション

では、実際に就学支援金を利用すると、年間の学費はどのくらいになるのでしょうか。公立と私立のモデルケースで見ていきましょう。

通信制高校の学費平均相場

まず、支援金を利用しない場合の学費相場を把握しておきましょう。

  • 公立通信制高校
    年間 3万円~5万円 程度

  • 私立通信制高校
    年間 25万円~80万円 程度(コースやサポート内容により大きく変動)

【公立】支援金適用後の実質負担額

公立通信制高校の授業料は、就学支援金でほぼ全額がカバーされることがほとんどです。

  • 年間の授業料(例)
    約10,000円(1単位336円 × 30単位)

  • 就学支援金
    -10,080円

  • 実質的な授業料負担
    ほぼ0円

※別途、入学金(500円程度)や教材費(1~2万円程度)が必要です。

【私立】支援金適用後の実質負担額

私立の場合は、世帯年収によって自己負担額が大きく変わります。ここでは、年間30単位を履修し、1単位あたりの授業料が10,000円(年間30万円)の学校を例にシミュレーションします。

年収約590万円~910万円未満の世帯

  • 年間の授業料
    300,000円

  • 就学支援金(基本額)
    -144,360円(4,812円 × 30単位)

  • 実質的な授業料負担
    155,640円

年収約590万円未満の世帯

  • 年間の授業料
    300,000円

  • 就学支援金(加算後)
    -300,000円(1単位あたりの授業料が支援上限額12,030円以下のため全額支給)

  • 実質的な授業料負担
    0円

このように、世帯年収によっては私立でも授業料の負担がゼロになる可能性があります。

学校ごとの学費相場や、公立・私立の費用の違いについて詳しく比較したい方は、以下の記事も参考にしてください。

授業料以外に必要な入学金・施設費

繰り返しになりますが、就学支援金は授業料を対象とする制度です。シミュレーションはあくまで授業料のみの計算であり、実際には以下の費用が別途かかります。

  • 入学金
    私立の場合、1万円~5万円程度が一般的です。

  • 施設設備費・教育充実費など
    年間で数万円~10万円以上かかる学校もあります。

  • 教材費・システム利用料
    年間3万円~5万円程度が目安です。

これらの費用を含めた総額が、実際に支払う学費となります。学校選びの際は、必ずパンフレットや募集要項で総額を確認しましょう。

学費だけでなく、サポート内容や通いやすさも比較しながら学校を選ぶことが重要です。通信制高校の選び方や東京のおすすめ校については、以下の記事をご覧ください。

就学支援金の申請手続きと必要書類

「制度のことは分かったけど、手続きが難しそう…」と感じるかもしれませんが、心配はいりません。申請は学校を通して行うため、手順に沿って進めれば大丈夫です。

申請時期と手続きの流れ

申請は、主に入学時の4月に行います。その後も、毎年7月頃に継続のための手続き(所得状況の確認)が必要です。

  1. 学校からの案内
    入学手続きの際や入学後に、学校から就学支援金の申請に関する案内があります。

  2. 申請書類の提出
    案内に従って、オンライン(e-Shien)で申請手続きを行うか、紙の申請書を学校に提出します。

  3. 審査・認定
    提出された書類をもとに、都道府県が所得要件などを審査し、受給資格を認定します。

  4. 支援金の支給
    認定されると、支援金が国から学校へ直接支払われます。これにより、保護者が支払う授業料から支援金額が差し引かれます。(保護者が直接現金を受け取るわけではありません)

申請に必要な書類一覧

申請には、主に以下の書類が必要です。

  • 受給資格認定申請書
    学校から配布されます。

  • マイナンバーカードの写し(または通知カード+身分証明書)
    保護者等(親権者全員分)のマイナンバーを提出し、所得情報を連携させるために必要です。

マイナンバーを提出したくない場合は、代わりに課税証明書などを提出することも可能ですが、手続きが煩雑になる場合があります。

申請は高校経由で行う

就学支援金の申請窓口は、お住まいの自治体の役所ではなく、お子さんが通う高校です。申請方法や必要書類について不明な点があれば、まずは入学を検討している、あるいは在学中の高校の事務室に問い合わせましょう。

注意点とよくある質問

最後に、就学支援金制度を利用する上での注意点や、よくある質問にお答えします。

支援金がもらえない・減額されるケース

以下のような場合は、支援金の対象外となったり、支給が停止・減額されたりすることがあります。

  • 所得制限を超えている場合
    保護者の所得が判定基準(計算式の結果が30万4,200円以上)を超えると対象外です。

  • 高校等を一度卒業している場合
    学び直し(再入学)の方は対象外となります。

  • 在学期間が上限を超えた場合
    留年などで在学期間が通算36か月(単位制は48か月)を超えた場合、超えた期間は支給されません。

  • 単位を十分に修得できなかった場合
    学校の規定によっては、成績不振で支給が停止されることもあります。

都道府県独自の学費支援・補助金制度

国の就学支援金に加えて、都道府県が独自に学費支援制度を設けている場合があります。これらの制度を併用することで、さらに負担を軽減できる可能性があります。

  • 東京都「私立高等学校等授業料軽減助成金」
    国の支援金に上乗せする形で補助があり、年収目安約910万円未満の世帯は、都内の私立高校の平均授業料まで支援が拡充されます。 (参考:東京都私学財団 https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_jugyoryo.html

  • 大阪府「私立高等学校等授業料支援補助金」
    子どもの人数に応じて所得制限が緩和されるなど、手厚い支援が特徴です。 (参考:大阪府 http://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/shigakumushouka/index.html

お住まいの都道府県や市区町村にも、フリースクールや不登校支援を対象とした補助金・助成金制度が設けられている場合があります。自治体ごとに対象者や支給額、申請条件が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。詳しくは、こちらをご覧ください。

学研WILL学園は、通信制高校のサポート校とフリースクールの機能をあわせ持つ学びの場として、不登校経験のあるお子さんや、学校生活・人間関係・学習面に不安を抱えるご家庭を支えています。

今のお子さんに合った学び方や居場所について悩まれている方は、まずは一度ご相談ください。

学費が払えない場合の奨学金・教育ローン

就学支援金や自治体の補助を利用しても、入学金やその他の費用が払えない場合は、以下のような制度の利用も検討しましょう。

  • 奨学金
    都道府県や市区町村、民間団体などが設けている返済不要の「給付型奨学金」や、卒業後に返済する「貸与型奨学金」があります。

  • 教育ローン
    国(日本政策金融公庫)や民間の金融機関が提供している、教育費に特化したローンです。

最新情報(2026年度)の確認

就学支援金制度の内容は、年度によって変更される可能性があります。この記事では2026年度時点の情報を基にしています。

最新情報は、文部科学省の公式サイトや、進学を希望する高校のウェブサイト、説明会などで確認するのが確実です。

(参考:令和8年度の高等学校等就学支援金制度等の概要および予算について

進学先を選ぶ際は、学費だけでなく入試方法や卒業後の進路も確認しておくことが大切です。通信制高校の受験制度や大学進学については、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

今回は、通信制高校の学費を支援する「高等学校等就学支援金」について解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

  • 「学費無償化」は授業料が対象
    国の「高等学校等就学支援金」を利用することで、授業料の負担が大幅に軽減されます。ただし、入学金や施設費などは別途必要です。

  • 年収約910万円未満の世帯が対象
    保護者等の所得が基準を満たせば、公立・私立を問わず支援を受けられます。

  • 私立は年収約590万円未満で支援が手厚くなる
    加算支給により、私立通信制高校でも授業料が実質無料になるケースがあります。

  • 都道府県独自の上乗せ補助も要チェック
    国の制度と併用することで、さらに負担を軽減できる可能性があります。

  • 申請は高校を通じて行う
    手続きで分からないことがあれば、まずは学校の担当窓口に相談しましょう。

通信制高校の学費は、国の制度を上手に活用することで、家計の負担を大きく減らすことが可能です。まずはご自身の世帯年収が対象になるかを確認し、気になる学校の資料請求や説明会に参加して、具体的な学費について相談してみてはいかがでしょうか。

この記事が、お子さんの未来の選択肢を広げる一助となれば幸いです。