「学校に行きたくない」と休み始めてから、家で静かに過ごしていたお子さんが、ある日突然「暇だ」「やることがない」と口にするようになった。
親としては、「エネルギーが回復してきたのかな?」と少し嬉しく思う反面、「どう対応すればいいんだろう」「またゲームばかりになったらどうしよう」と戸惑いや不安を感じてしまいますよね。
不登校のお子さんが「暇だ」と言い出すのは、実は次のステップに進むための大切なサインかもしれません。
この記事では、お子さんが「暇だ」と言う心理背景から、親として取るべき具体的な対応、そして家でできるおすすめの過ごし方まで、網羅的に解説します。
この記事を読めば、お子さんの気持ちを理解し、親子で前向きな一歩を踏み出すためのヒントがきっと見つかります。
「暇だ」と言うお子さんの心理状態

お子さんの「暇だ」という一言には、様々な気持ちが隠されています。頭ごなしに叱ったり、無理に何かをさせたりする前に、まずはその言葉の裏にある心理を理解しようとすることが大切です。
エネルギーが回復してきたサイン
不登校の初期は、心と体を休めるために多くのエネルギーを必要とします。一日中寝ていたり、ぼーっとしていたりするのも、回復のために必要な時間です。
その休息期間を経て、心身のエネルギーが十分に充電されてくると、「何かしたい」という意欲が自然と湧いてきます。この「暇だ」という言葉は、まさにそのエネルギー回復の証拠であり、前向きな変化の兆しと捉えることができます。
「暇だ」以外にも、不登校からの回復期にはさまざまな変化が現れます。今のお子さんがどの段階にいるのか、回復のサインや親の適切な接し方を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
次の活動を模索している段階
エネルギーは回復してきたものの、「じゃあ、具体的に何をすればいいんだろう?」と、次に取り組むべき活動が見つからずに戸惑っている状態です。
これまで時間つぶしになっていたゲームや動画にも飽きてしまい、「つまらない」と感じ始めているのかもしれません。これは、新しい刺激や興味の対象を探している、非常にポジティブな段階と言えるでしょう。
無気力や刺激不足の表れ
一方で、必ずしもポジティブなサインだけとは限りません。単調な毎日が続き、外部からの刺激が極端に少ないことで、無気力感から「退屈だ」と感じているケースもあります。
何をしても楽しく感じられず、時間を持て余している状態です。この場合は、少しずつ生活に変化を取り入れ、新しい刺激に触れる機会を作ってあげることが有効です。
親の関心を引きたい気持ち
「暇だ」と訴えることで、「もっと自分を見てほしい」「話を聞いてほしい」という、親へのコミュニケーションを求めるサインである可能性も考えられます。
特に、親が仕事や家事で忙しそうにしていると、お子さんは寂しさを感じてしまうことがあります。そんなとき、気を引くための一言として「暇だ」という言葉を使っているのかもしれません。
「暇だ」と言われたときの親の対応

お子さんの心理状態が様々であるように、親の対応も一つではありません。ここでは、お子さんの意欲を自然に引き出すための、基本的な対応方法をご紹介します。
まずはお子さんの気持ちに共感する
お子さんから「暇だ」「やることがない」と言われたとき、最も大切なのは、その気持ちを否定せずに受け止めることです。
「そっか、暇なんだね」「やることがないと退屈に感じちゃうよね」と、まずは共感の言葉をかけてあげましょう。自分の気持ちを理解してもらえたと感じるだけで、お子さんは安心し、次の会話へと繋がりやすくなります。
お子さんの意欲を引き出す声かけ例
共感を示した上で、お子さん自身が「やってみたいこと」を見つけられるような、問いかけをしてみましょう。親が答えを提示するのではなく、あくまでヒントを与える姿勢が大切です。
避けるべきNGな言葉と態度
良かれと思ってかけた言葉が、かえってお子さんを追い詰めてしまうこともあります。以下の様な対応は、お子さんの意欲を削いでしまう可能性があるので注意しましょう。
家でできる暇つぶし・過ごし方

お子さんの興味やエネルギーレベルに合わせて、様々な選択肢を提案してみましょう。「やらなければならないこと」ではなく、「やってもいいし、やらなくてもいいこと」として、気軽に提示するのがポイントです。
室内で一人でできる趣味・創作活動
自分の世界に没頭できる時間は、自信や達成感につながります。
親子で一緒に楽しめること
親子のコミュニケーションを深め、楽しい時間を共有することは、お子さんの心の安定に繋がります。
楽しみながら学びに繋がる活動
「勉強」と構えずに、知的好奇心を満たす活動は、学習意欲の再燃に繋がることがあります。
軽い運動や気分転換になること
体を動かすことは、ストレス解消や気分のリフレッシュに非常に効果的です。
不登校中は外出する機会が減り、体力低下や運動不足が気になることもあります。外に出るのが難しいお子さんでも取り組みやすい運動方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
「暇」を乗り越えた家庭の体験談

「暇だ」という時期は、新しい自分を発見するチャンスでもあります。ここでは、同じような状況を乗り越えたご家庭の事例をいくつかご紹介します。
趣味が自信回復につながった事例
中学生のA君は、不登校になりゲームばかりの毎日でした。しかし、ある日「ゲームにも飽きた。暇だ」と呟いたのをきっかけに、お父さんが昔使っていたパソコンでプログラミングを勧めてみました。最初は乗り気でなかったA君ですが、簡単なゲームを作るうちに夢中になり、今では自分でWebサイトを制作するまでに。「自分にもできることがある」という自信が、他のことへの意欲にも繋がりました。
親子での活動による関係改善事例
小学生のB子さんは、学校に行かなくなってから親子関係がギクシャクしていました。「暇だ」という言葉に、お母さんは「一緒にお菓子でも作ってみる?」と提案。最初は面倒くさそうにしていたB子さんですが、一緒にクッキーを作るうちに会話が増え、笑顔が見られるように。週に一度の「お菓子作りの日」が、親子のコミュニケーションを取り戻す大切な時間になりました。
外部機関で居場所を見つけた事例
「家でやることもないし、つまらない」が口癖だったC君。親御さんが思い切って、近所のフリースクールの見学会に誘ってみました。そこには、同じようにアニメやゲームが好きな仲間がたくさんいました。家と学校以外の「第3の居場所」を見つけたことで、C君の世界は大きく広がり、今では週に数日、楽しそうに通っています。
不登校と暇に関するよくある質問

ここでは、不登校のお子さんが「暇」と感じている時期に、親御さんが抱きがちな疑問にお答えします。
Q. ゲームやスマホばかりで心配です。どうすればいいですか?
A. 無理に取り上げるのは逆効果になることが多いです。まずは「暇だ」という言葉を、他のことへ興味を広げるチャンスと捉えましょう。
「1日1時間は他のことしてみない?」と提案したり、親子で楽しめるボードゲームを用意したりと、代わりとなる楽しい選択肢を提示することが大切です。ルールを作る際は、一方的に押し付けるのではなく、必ずお子さんと一緒に話し合って決めましょう。
特に不登校中は、ゲームが本人にとって安心できる居場所になっている場合もあります。「ゲームばかりだけど依存症なの?」「どこまで許していい?」と悩んでいる方は、ゲームをする心理と適切な対応についても確認しておきましょう。
Q. 昼夜逆転していて、日中暇だと言われても困ります…。どうすればいいですか?
A. 焦って生活リズムを戻そうとすると、本人にとって大きなプレッシャーになります。小さなステップから始めましょう。
まずは、朝になったらカーテンを開けて太陽の光を部屋に入れる、日中に5分でもいいから散歩に誘うなど、ごく小さなことから始めてみましょう。午前中に好きなアニメの配信がある、特別な朝食を用意するなど、ささやかな「楽しみ」を作るのも効果的です。
Q. 家での活動を提案しても乗り気でなく、外にも出たがりません。どうすればよいでしょうか?
A. 無理強いは絶対に避けましょう。外出へのエネルギーがまだ溜まっていないのかもしれません。
まずは、お子さんが家の中で安心して過ごせる環境を最優先に整えてあげてください。その上で、「コンビニまで一緒に行かない?」「好きな本を買いに本屋さんに行ってみる?」など、短時間で済み、本人のメリットになるような誘い方を試してみるのが良いでしょう。
Q. 何を提案しても『やりたくない』『つまらない』と言います。どうすれば?
A. これは、まだ心身のエネルギーが十分に回復していないサインかもしれません。こういう時期は、焦らず「待つ」ことも親の重要な役割です。
何かをさせるのではなく、ただ黙って隣で一緒にテレビを見たり、同じ空間で静かに過ごしたりするだけでも、お子さんは「一人じゃない」という安心感を得られます。親が楽しそうに趣味に没頭する姿を見せるのも、間接的な良い刺激になることがあります。
親子で相談できる外部機関・サービス

家庭内だけで問題を抱え込む必要はありません。客観的な視点を持つ専門家や、同じ悩みを持つ仲間と繋がることで、解決の糸口が見えることがあります。
公的機関(教育支援センター)
教育支援センター(適応指導教室)とは、主に市区町村の教育委員会が設置している、不登校の児童生徒を支援するための公的な施設です。学習支援や相談活動、体験活動などが行われており、無料で利用できる場合が多いです。まずはお住まいの地域の教育委員会に問い合わせてみましょう。
民間のフリースクールや居場所
NPO法人などが運営する、民間の多様な学びの場です。画一的なカリキュラムではなく、お子さんの個性や興味に合わせたユニークな活動を行っているのが特徴です。見学や体験入学を受け入れている施設も多いので、お子さんの興味に合いそうな場所を一緒に探してみるのも良いでしょう。
ただし、フリースクールは施設によって活動内容や雰囲気が大きく異なります。実際に見学するときに「何を確認すればいいの?」と迷った場合は、チェックポイントや質問事項を事前に整理しておくと安心です。
オンラインの習い事・学習支援
外出が難しいお子さんでも、自宅にいながら全国の先生や仲間と繋がれるのがオンラインサービスの魅力です。プログラミング教室、イラスト講座、オンライン家庭教師など、選択肢は非常に豊富です。無料体験ができるサービスも多いので、気軽に試してみてはいかがでしょうか。
カウンセリング等の専門機関
お子さんの心理状態について深く知りたい、親としての関わり方に悩んでいるといった場合は、専門家の力を借りるのも一つの手です。学校のスクールカウンセラーや、地域の児童相談所、民間のカウンセリングルームなどで、臨床心理士や公認心理師といった専門家に相談することができます。
まとめ
不登校のお子さんが口にする「暇だ」という言葉。それは、休息期間を終え、次のステップへ進むためのエネルギーが溜まってきた証拠かもしれません。
親として大切なのは、そのサインを見逃さず、焦らず、お子さんの気持ちに寄り添うことです。
「暇」という時間は、お子さんが自分自身と向き合い、新しい興味や「好き」を見つけるための大切な準備期間です。
この記事が、お子さんの「暇」な時間を、親子にとって有意義で前向きな時間に変えるための一助となれば幸いです。お子さんのペースを信じて、ゆっくりと歩んでいきましょう。
学研WILL学園では、不登校経験のあるお子さんや、学校生活・人間関係・学習面に不安を抱えるご家庭に寄り添い、今の状態に合った学び方や居場所を一緒に考えています。
今のお子さんに合った学び方や居場所について悩まれている方は、まずは一度ご相談ください。


