子どもの不登校で心身ともに疲れている中、身近な存在であるはずの祖父母から理解を得られず、辛い思いをしていませんか?
「あなたの育て方が原因じゃないの?」「甘やかしているから学校に行かないんだ」
そんな心ない言葉に、深く傷ついているかもしれません。祖父母からのプレッシャーは、時に「うるさい」と感じるほど大きなストレスになります。
この記事では、不登校の子どもを持つ親御さん、特に祖父母との関係に悩む方に向けて、不登校の現状を正しく伝え、自分と子どもを守るための具体的な方法を解説します。
この記事を読めば、祖父母との無用な衝突を避け、少しでも穏やかな気持ちで子どもと向き合えるようになるはずです。
なぜ祖父母は不登校を理解してくれないのか

祖父母が不登校を理解してくれないのには、いくつかの理由があります。その背景を知ることで、少し冷静に対処できるようになるかもしれません。
時代背景の違い|学校は行くのが当たり前の世代
祖父母世代にとって「学校は毎日行くのが当たり前」でした。戦後の復興期や高度経済成長期を生きてきた世代にとって、教育は豊かさの象徴であり、休むという選択肢自体が考えにくいものでした。
そのため、孫が学校に行かないという状況を「怠けている」「根性がない」と捉えてしまいがちなのです。これは決して悪意からではなく、ご自身の経験に基づいた価値観からくるものです。
情報不足|不登校は怠けや甘えという固定観念
現代において、不登校は決して珍しいことではありません。文部科学省の調査では、令和6年度の小・中学校における不登校児童生徒数は35万人以上にのぼり、過去最多を更新しています。しかし、祖父母世代にはこうした最新の情報が届いていないことが多く、「不登校=怠け・甘え・わがまま」という古い固定観念に縛られている場合があります。不登校の背景には、友人関係、学業、心身の不調など、様々な要因が複雑に絡み合っていることを知らないのです。
孫への愛情や心配が過干渉や批判につながる
祖父母が口うるさく言ってくるのは、根底に孫への深い愛情や心配があるからです。孫の将来を案じるあまり、「なんとかして学校に行かせなければ」という強い思いが、結果的に親への批判や過干渉という形で現れてしまいます。
「このままだと孫の将来はどうなるんだろう」という不安が、あなたを責める言葉に変わってしまっているのかもしれません。
子育ての責任感から親(あなた)を責めてしまう
特に自分の子ども(あなたやあなたの配偶者)が親になった今、その子育てに対して「親としての責任」を感じている祖父母もいます。
「自分の子育てが間違っていたから、孫が不登校になったのでは?」という無意識の不安が、「あなたの育て方が悪い」という言葉になって表れることがあります。これは、祖父母自身の不安の裏返しでもあるのです。
祖父母から「親の育て方が原因」と言われ、自分を責めてしまっている方もいるでしょう。不登校と家庭環境・親の関わり方の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
祖父母に伝える前の心の準備と基本姿勢

祖父母と話す前に、まずはあなたの心を整えることが大切です。感情的にぶつかるだけでは、状況は悪化してしまいます。
「理解させる」より「現状を知ってもらう」を目指す
最も大切なのは、「完璧に理解させよう」と気負わないことです。世代も価値観も違う相手を100%変えるのは非常に困難です。
まずは「分かってもらう」という高いゴールではなく、「今の孫(子ども)の状況と、親である私たちの気持ちを知ってもらう」ことを目標にしましょう。ゴールを下げるだけで、あなたの気持ちは少し楽になるはずです。
感情的にならず事実と気持ちを分けて話す
責められたりすると、つい感情的になって反論したくなります。しかし、感情的な言い争いは何も生みません。
話すときは、「事実(Fact)」と「自分の気持ち(Feeling)」を分けて伝えることを意識しましょう。
- 【事実】
「学校に行こうとすると、お腹が痛くなるんです」 - 【気持ち】
「そんな子どもの姿を見るのが、親としてとても辛いんです」
このように分けて話すことで、相手も冷静に話を聞きやすくなります。
夫婦で方針を統一し最大の味方になっておく
祖父母と話す前に、必ず夫婦で子どもの不登校に対する方針を話し合い、統一しておきましょう。片方が祖父母の意見に流されてしまうと、あなたは孤立してしまいます。
「私たちは、今は子どもの心を休ませることを最優先に考えている」という共通認識があれば、どちらの親(実親・義親)に対しても一貫した態度で臨めます。配偶者はあなたの最大の味方です。
すべてを分かってもらえなくても良いと割り切る
残念ながら、どれだけ丁寧に説明しても、最後まで理解を示してくれない場合もあります。その時は、「分かってもらえなくても仕方ない」と割り切る勇気も必要です。
あなたにとって最も大切なのは、祖父母の機嫌を取ることではありません。心身ともに疲弊している子どもと、あなた自身を守ることが最優先です。
不登校への対応に加えて祖父母との関係にも悩んでいると、親自身の心が限界を迎えてしまうこともあります。「もう疲れた」「自分まで辛くなってきた」と感じている方は、まず自分の心を守る方法も知っておきましょう。
【実践】不登校の現状を祖父母に伝える方法

心の準備ができたら、次はいよいよ具体的に伝えるステップです。順を追って、冷静に進めていきましょう。
ステップ1:冷静に話せる時間と場所を設ける
電話口や玄関先での立ち話は避けましょう。感情的になりやすく、話がこじれる原因になります。
可能であれば、夫婦そろって、祖父母と落ち着いて話せる時間と場所をセッティングしてください。「子どものことで、少し相談したい大切な話があります」と事前に伝えておくと、相手も心構えができます。
ステップ2:子どもの現状と親の気持ちを伝える
話す準備が整ったら、以下の内容を順序立てて伝えてみましょう。
ステップ3:してほしいこと・しないでほしいことを具体的に頼む
祖父母も「孫のために何かしたい」と思っています。その気持ちを尊重しつつ、具体的な協力をお願いする形で伝えましょう。
- 【してほしいことの例】
- ・「今はただ、あたたかく見守っていてほしい」
- ・「家に来てくれた時は、学校の話はせず、本人の好きなゲームの話などをしてあげてほしい」
- ・「本人が『会いたい』と言った時は、笑顔で迎えてあげてほしい」
- ・「今はただ、あたたかく見守っていてほしい」
- 【しないでほしいことの例】
- ・「本人に対して、学校に行くように無理強いするのはやめてほしい」
- ・「私たちの前で、『育て方が…』という話はしないでほしい。私たちも辛いから」
- ・「突然家に来たり、毎日電話をしたりするのは、本人も私たちも疲れてしまうので控えてほしい」
- ・「本人に対して、学校に行くように無理強いするのはやめてほしい」
「~しないで」という否定形だけでなく、「~してほしい」という肯定的な形でお願いするのがポイントです。
祖父母に協力をお願いするためには、まず親自身が「不登校の子どもにどのように接するのがよいのか」を整理しておくことも大切です。家庭での声かけや避けたい対応については、以下の記事も参考になります。
手紙で伝える場合の書き方と文例テンプレート
直接話すのが難しい場合は、手紙で気持ちを伝えるのも有効な手段です。感情的にならず、冷静に考えを整理できます。
手紙の文例
お義父さん、お義母さんへ
いつも〇〇(孫の名前)のことを気にかけてくださり、本当にありがとうございます。
今日は、〇〇の学校のことで、私たちの今の気持ちを落ち着いてお伝えしたく、お手紙を書きました。
ご存知の通り、〇〇は今、学校をお休みしています。朝になると体調が悪くなったり、夜眠れなくなったりと、心と体のバランスが少し崩れている状態です。私たちも親として、どうしてあげるのが一番良いのか、毎日悩んでいます。専門のカウンセラーの方にも相談しており、「今は本人のエネルギーが溜まるまで、安心して休める環境を作ってあげることが大切です」と言われています。
おそらく、お二人から見ると「甘やかしている」「このままで将来は大丈夫か」と、ご心配は尽きないことと思います。そのお気持ちは、痛いほど分かります。
ただ、一番辛い思いをしているのは、他ならぬ〇〇本人です。
そこで、お二人にお願いがあります。 どうか、今は〇〇をあたたかく見守っていただけないでしょうか。家に来てくださった時には、学校のことは聞かずに、〇〇の好きなアニメの話など、楽しい話題をしていただけると、本人も私たちも、とても救われます。
私たちも、〇〇がまた元気に自分の道を進めるよう、精一杯サポートしていくつもりです。
これからも、力を貸してください。
敬具
〇〇(あなたの名前)、〇〇(配偶者の名前)より
祖父母からの心ない言葉への切り返し方

丁寧に説明しても、心ない言葉を投げかけられてしまうこともあります。そんな時のための、具体的な切り返しフレーズをご紹介します。
「親の育て方が原因」と言われた時の対処法
「そうかもしれない、と私たちも自分を責めました。でも、専門家の方に相談したら『親の育て方だけが原因ではありません。今は自分たちを責めずに、子どもの味方でいてあげてください』と言われたんです。」
一度相手の言葉を受け止める姿勢を見せつつ、専門家の意見を引用することで、客観的な事実として伝えることができます。自分たちも悩んだ末の結論であることを示しましょう。
「甘やかしている」と非難された時の対処法
「甘やかしているように見えるかもしれません。でも、今は無理に行かせることが、かえって本人を追い詰めてしまうようなんです。今は心のガソリンが空っぽの状態なので、まずはしっかり休ませてあげたいと思っています。」
「甘え」ではなく「エネルギー切れ」という言葉に置き換えて説明することで、相手の理解を得やすくなります。「今は」という言葉を使い、あくまで一時的な対応であることを伝えるのもポイントです。
「いつまで休ませるの?」と聞かれた時の対処法
「私たちにも、正直いつまでかは分かりません。でも、本人が少しずつ元気を取り戻してきているので、そのペースを大切にしたいと思っています。焦らせずに見守っていただけると助かります。」
先の見えない不安からくる質問ですが、正直に「分からない」と伝えましょう。その上で、親として子どもの変化をしっかり見ており、前向きに捉えている姿勢を示すことが大切です。
専門家の意見や公的機関の情報を引用する
感情的な言い合いになりそうな時は、客観的なデータや専門家の意見が助けになります。
「文部科学省の調査でも、今は不登校の子がすごく増えているそうです。原因も一つではなくて、本当に様々みたいですよ。」 「カウンセラーの先生が、『不登校は“問題行動”ではなく、子どもが発している“SOSサイン”なんですよ』と教えてくれました。」
このように第三者の権威を借りることで、あなたの意見が単なる感情論ではないことを示せます。
「うるさい」と感じる祖父母との距離の取り方

何をしても状況が改善せず、祖父母の干渉が「うるさい」「しんどい」と感じるレベルなら、物理的・心理的に距離を取ることも考えましょう。あなたと子どもを守るための大切な防衛策です。
「心配しているだけ」と言われても、本人や親が負担を感じるほど関わりが強くなれば、過干渉になっている可能性もあります。過保護との違いや、適切な距離の取り方を知っておくと対応しやすくなります。
電話や訪問の頻度をコントロールする方法
- ・電話に出る時間を決める
「平日の昼間は子どもの対応で手が離せないので、夜〇時以降にかけてもらえると助かります」など、こちらの都合を伝えましょう。毎回すぐに出る必要はありません。 - ・訪問は事前に約束してもらう
「突然来てもらうと、子どもの体調が悪い時など対応が難しいことがあるので、事前に連絡をもらえると嬉しいです」とお願いしましょう。アポなし訪問には「ごめんなさい、今ちょっと取り込んでいて…」と断る勇気も必要です。
子どもの情報を伝えすぎない情報制限のコツ
心配させたくない、余計な口出しをされたくないという場合は、あえて子どもの情報をすべて伝えないというのも一つの手です。
聞かれたことに対して、「元気に過ごしてるよ」「最近は〇〇(趣味)にハマってるよ」など、ポジティブで当たり障りのない情報だけを返すようにしましょう。詳細を話しすぎると、そこからまた新たな心配や干渉が生まれる可能性があります。
スクールカウンセラー等の第三者に間に入ってもらう
夫婦だけでの対応が限界だと感じたら、スクールカウンセラーや地域の教育支援センターの相談員など、第三者に間に入ってもらうのも有効です。
専門家という客観的な立場から祖父母に現状を説明してもらうことで、これまであなたの言葉に耳を貸さなかった祖父母が、態度を軟化させるケースもあります。
一時的に関係を断つという選択肢も考える
最終手段ではありますが、あなたと子どもの心の平穏を守るために、一時的に祖父母との関係を断つという選択肢も間違いではありません。
「少しお互い冷静になる時間が必要だと思うので、しばらくはこちらから連絡するまでそっとしておいてほしい」と伝え、距離を置きましょう。罪悪感を感じる必要はありません。これは、家族関係を再構築するための冷却期間です。
体験談|祖父母との関係を乗り越えた事例

あなたと同じように、祖父母との関係に悩んだ末、状況を乗り越えた方々の事例をご紹介します。
対話を重ねて少しずつ理解を得られた成功例
「最初は『育て方が悪い!』と毎日電話があり、ノイローゼ寸前でした。しかし、夫と協力し、何度も冷静に『今は見守ってほしい』と伝え続けました。孫の好きなものを持ってきてもらい、学校の話はしない、というルールを徹底したところ、半年ほどで祖母も『この子のペースがあるのね』と少しずつ受け入れてくれるようになりました。」(40代・母親)
距離を置くことでお互い冷静になれた改善例
「義実家からの干渉がひどく、子どもも私も疲弊しきっていました。思い切って『しばらくそっとしておいてください』と伝え、半年ほど連絡を絶ちました。その間、私たちは子どもと向き合うことに集中でき、子どもも少しずつ元気に。久しぶりに会った時、義母から『あの時は言い過ぎたわね』と謝罪があり、以前より良い距離感で付き合えるようになりました。」(30代・母親)
手紙で気持ちを伝えて関係が好転した事例
「電話ではいつも感情的になってしまうので、思い切って手紙を書きました。子どもの辛い状況、親としての苦しい胸の内、そして『本当は頼りにしている』という気持ちを正直に綴りました。すると後日、祖父から『何も分かってやれず、すまなかった』と電話が。それ以来、私たちの最大の応援団になってくれています。」(40代・母親)
関係が悪化してしまった失敗例とその教訓
「祖父母の言葉にカッとなり、『もう孫に会わせない!』と感情的に言い放ってしまいました。それ以来、関係は完全に断絶。子どもは大好きなおじいちゃんおばあちゃんに会えなくなり、かえって寂しい思いをさせてしまいました。もっと冷静に、子どもの気持ちを考えて行動すればよかったと後悔しています。」(30代・母親)
【教訓】
感情的な対応は、かえって子どもを傷つける結果になりかねません。 どんなに腹が立っても、子どもの気持ちを第一に考えることが大切です。
まとめ
不登校の子どもを抱え、祖父母からの理解も得られない状況は、本当に辛く、孤独を感じることでしょう。
しかし、祖父母があなたを責めるのは、多くの場合、孫を深く愛し、心配しているがゆえの行動です。その背景を少しだけ理解することで、あなたの心も少し軽くなるかもしれません。
この記事でご紹介したポイントを、もう一度おさらいしましょう。
あなたにとって一番大切なのは、祖父母を説得することではありません。心細い思いをしている子どもに寄り添い、あなた自身の心を守ることです。
一人で抱え込まず、パートナーや専門家と協力しながら、一歩ずつ進んでいきましょう。あなたの頑張りは、必ず子どもに伝わっています。
学研WILL学園では、不登校経験のあるお子さんや、学校生活・人間関係・学習面に不安を抱えるご家庭に寄り添い、今の状態に合った学び方や居場所を一緒に考えています。
今のお子さんに合った学び方や居場所について悩まれている方は、まずは一度ご相談ください。
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